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マーティン・ルーサー・キング 非暴力の闘士 岩波新書1711
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2018/03/21 |
JAN | 9784004317111 |
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マーティン・ルーサー・キング
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商品レビュー
4.3
9件のお客様レビュー
キング牧師の伝記は既に読んだことがある程度の知識量で読むのが望ましいと思う。少なくとも、モンゴメリ・バスボイコットとかワシントン大行進とかは、本文でももちろん説明されているが予備知識があった方がスムーズだろう。(一般的な伝記から読む場合は岩波ジュニア新書へGO!) この本は副題に...
キング牧師の伝記は既に読んだことがある程度の知識量で読むのが望ましいと思う。少なくとも、モンゴメリ・バスボイコットとかワシントン大行進とかは、本文でももちろん説明されているが予備知識があった方がスムーズだろう。(一般的な伝記から読む場合は岩波ジュニア新書へGO!) この本は副題にあるとおり、非暴力の闘士としてのキング牧師に特に焦点を当てており、冒頭は、銃で武装した護衛に守られ自らも銃で護身することに疑問を感じていないキング牧師のエピソードから始まる。既に平和的な運動を指導している立場でありながらそれだけ緊迫した情勢だったということではあるが、平和ボケした日本で生まれ育った我が身にはなかなかショッキングな前振りである。 体裁は伝記であるので、基本的には生い立ちから凶弾に倒れるまでを時系列で追っていく構成ではあるが、そこからはみ出る解説がこの本のキモである。例えば、「牧師」であることが公民権運動へとつながるにあたり重要になる黒人教会の成り立ちや説教の伝統(コール&レスポンス)、当時の黒人聖職者の立場などの解説を読むと、なんとなくボヤーっとしていたことがクリアに説明されていて非常にスッキリする。そして特に重要なのが「非暴力」に関する説明である。 非暴力運動に参加する民衆は「戦術」としてのみ非暴力を受け入れるのでもよいが、その指導者は非暴力を「生き方」としなければならない、というのである。この非暴力のメカニズムをキング牧師は理解し受け入れてまさにガンジーと同じく「非暴力を生きる」指導者となり、この後しばらく目覚ましい効果を上げる。そのピークがワシントン大行進とノーベル平和賞であろう。 しかし、博士号を持つインテリであり公民権運動の指導者として頭角を表しつつあったキング牧師ですら理解していなかったことからも分かるように、非暴力という装置はその看板ほど容易なものではなくきちんと学ぶ必要があり、特に指導者レベルでは自らを犠牲にする覚悟まで試される厳しいものである。折しもアメリカにおけるベトナム戦争(=最大の暴力行為)のインパクトが増す中、彼を理解し、彼の運動に共感する人が減るのは必然だったのかもしれない。それでも彼は最後まで休むことなく走り続け、模索し続け、求められれば与え続けた。まさに不屈の闘士であるが、その原動力は神に評価されたいという強い信仰心だったのであろう。 世界に暴力が渦巻く現代を生きていると、自分たちを守るために何ができるのかと考えると無力感に陥ることもしばしばである。核の傘に入る?防衛費を増額する?それで本当に安全が買えるのであろうか。非暴力運動の利点は屈強な男性でなくとも誰でも参加できるというところである。自らが暴力を振るうのには向いていないと認識している人は、非暴力について知ることから始めるのもよいのではないだろうか。 本書は巻末に「読書案内」を備えており、普通の参考図書の列挙にとどまらず、ネットや映画も含めたリファレンスを豊富に知ることができる点も行き届いている。
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南部黒人の迫害、バスボイコット、公民権運動、ワシントンD.C.でのl have a dream 演説と、ぼんやりとしかイメージ出来なかったキング牧師を生い立ちからその理想、運動の姿勢まで分かりやすく提示してくれています。また、その後のキングにもスポットをあててくれており、日本人と...
南部黒人の迫害、バスボイコット、公民権運動、ワシントンD.C.でのl have a dream 演説と、ぼんやりとしかイメージ出来なかったキング牧師を生い立ちからその理想、運動の姿勢まで分かりやすく提示してくれています。また、その後のキングにもスポットをあててくれており、日本人として理解が出来ていなかった1950年代から1960年代のアメリカ
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2018年にでたキングのコンパクトな評伝。最近の研究なども踏まえたものになっており、偉人伝的なものではなくて、一人の人間として、現実のなかにおいて悩み、そして成長していく姿を描いている。 キングは、学生時代から、非暴力について学んでいて、初期のモントゴメリーのバス・ボイコット運...
2018年にでたキングのコンパクトな評伝。最近の研究なども踏まえたものになっており、偉人伝的なものではなくて、一人の人間として、現実のなかにおいて悩み、そして成長していく姿を描いている。 キングは、学生時代から、非暴力について学んでいて、初期のモントゴメリーのバス・ボイコット運動の演説でも、すでに非暴力の考えは示されているわけだが、この本によると、当時のキングの非暴力の理解はそこまで深くはなかったという。 「非暴力」を理解する、説くだけでなく、そのものを生きるという挑戦。これをキングはさまざまな痛みや苦しみのなかで実践していくことになる。 それは、ワシントンの行進やノーベル平和賞受賞でおわる物語ではなく、その後、アメリカのさまざまな状況のなかで、ほんとにたくさんの苦難、行き詰まりに直面する。 そうしたなかで、非暴力の運動をたんに理念的なものとして扱うのではなく、その具体的な運動論というか、戦術論、政治的な交渉などなども描いてあって、リアリティが高い。 こうした困難さは、キングの問題意識がいわゆる公民権運動のなかにおさまらず、ベトナム戦争反対などの平和活動、そして経済的な公平性を求めるものであったことも関連する。 もしかすると、運動のフォーカスを引き続き、公民権においていれば、さらに多くの成果をだすことができたのかもしれない。 だが、それはキングの良心がゆるさない。 つまり、法律的な公正性にとどまらず、より実質的な公正性を求めていたのだ。(法的な公正性を超えるとアメリカでは自由主義との関係で分断を生み出す論点となる) この本で提示された視点をもって、もう一度、キング自身の言葉を学んでみたい。
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