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生贄の木 創元推理文庫
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生贄の木 創元推理文庫

キャロル・オコンネル(著者), 務台夏子(訳者)

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生贄の木 創元推理文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社
発売年月日 2018/03/12
JAN 9784488195182

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商品レビュー

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2020/10/08

マロリーのシリーズ、10作目。 ヒロインの過去に関わるため重要な「ルート66」に続く作品。 原作でもこの間は4年、間が空いています。 キャシー・マロリーはニューヨークの刑事。 完璧な美貌だが、特異な育ちのために普通の感情をほとんど理解しない変わり者で、天才ハッカーでもあります。...

マロリーのシリーズ、10作目。 ヒロインの過去に関わるため重要な「ルート66」に続く作品。 原作でもこの間は4年、間が空いています。 キャシー・マロリーはニューヨークの刑事。 完璧な美貌だが、特異な育ちのために普通の感情をほとんど理解しない変わり者で、天才ハッカーでもあります。 前作で幼い頃の謎が思いがけない展開を見せ、今後にどう影響するのか?と思われましたが。 前作を読んでいなくとも、差支えはありません。 ほとんど出てこないので… 届けも出さずに勝手に休暇を取った後に、何事もなかったように復帰しているという。 ペナルティとして雑務を押し付けられているが、淡々とこなしている。怒りも見せない様子にやや不自然さを感じるライカーら同僚たちではありましたが。 いやそれは前作の出会いの後、しばらく心通わせながら共に過ごして、気持ちが落ち着いたから戻ったのでしょう? 広大なセントラルパ―クにある森で、高い木に吊り下げた袋が三つ発見される。中には遺体が… 奇怪な事件の目撃者は幼い少女だけ。ウィリアムズ症候群の少女から証言を引き出そうとする冷徹なマロリーに、心優しいチャールズはあわてる。 だが少女の方はマロリーにすぐ懐く。切ないほどに… 被害者に共通点はなく、捜査は難航する。 どう転ぶかわからない、思わぬ背後関係と、いたましい過去と現在の交錯。 相変わらずスタイリッシュな文体、いつにもましてダイナミックな構成、パワフルなマロリー。 十分に常人離れはしていて、周りが怖れたり心配したりするのも無理からぬマロリーですが、マロリーなりの感情もあり善悪の基準もある。 それを感じ取るのも一瞬なのですが、ほろりとさせられます。 前作での発見で別人のようになったりはしないけれど、やはり微妙に心の奥で変わったところもあるのでは、と。 シリーズ中でも傑作と思います☆ [追記: マロリーがどういう人物か?興味を持たれた方は、「天使の帰郷」を読まれるのがいいと思います。 「ルート66」はその後におススメ。]

Posted by ブクログ

2019/01/24

 劇画的なまでのけれん味たっぷりな誇張により、常に超越的な存在として彫刻のように描写されてきたこの世で最も美しく冷たい女刑事キャシー・マロリーのシリーズ最新作。と言っても10ヶ月前に邦訳された作品。さらに言えば原作は2011年にUSA出版済み。  創元推理文庫の翻訳作品が原作出版...

 劇画的なまでのけれん味たっぷりな誇張により、常に超越的な存在として彫刻のように描写されてきたこの世で最も美しく冷たい女刑事キャシー・マロリーのシリーズ最新作。と言っても10ヶ月前に邦訳された作品。さらに言えば原作は2011年にUSA出版済み。  創元推理文庫の翻訳作品が原作出版から10年単位の遅れというのは今に始まったことではないのだが、そういった長い長い時差を経てもなお良作と呼べる物語(もう完結してしまったがR.D.ウィングフィールドのフロスト・シリーズや、新ミステリの女王ミネット・ウォルターズの作品群等含め)をしっかりと日本人読者に届けてくれる地道な無骨さは、海外小説の老舗出版社としての信頼性に確実に繋がるものだろう。  さて、キャシー・マロリーだが、このシリーズ、実は作品毎に独立したカラーやアイディアを持っており、作品世界の振れ幅が並ではない。特に前作『ルート66』は、キャシー・マロリーの真実を知る上で『天使の帰郷』以来の重要な作品であった。  完璧に美しく冷静な女刑事マロリーは、シリーズ一作毎に新たに彫刻され、徐々にその本当の姿が露わになるように作られている。孤児であるところを刑事に拾われ育て上げられた元野生児にして泥棒少女、今では天才ハッカー、社会病質者、敏腕捜査官、氷の天使。前作でニューヨーク市警を3ヶ月無断で不在にしルート66を走り回って帰還したマロリーは、市警上層部の組織圧力を跳ね除け、セントラルパークの森に吊るされた三体の遺体の謎に迫る。  マロリーの同僚ライカーと、コンサルタントであり信奉者であるチャールズ・バトラーとの個性のトライアングルは、シリーズを通して健全。健全というのはつまり葛藤だらけだということ。  そして二人の印象的な子どもたち。染色体異常の病に侵されつつも言語的かつ音楽的早熟の才能を示すココ。存在を葬られた影となって15年前の現実を示すアーニー。  事件の裏には家族たちの恩讐、社会構造の歪みを示す財団の影、警察や法曹界を組み立てる官僚組織の中に確実に蔓延る腐敗、そして何よりも喜劇的までの人間のエゴと醜悪等々が見え隠れする。  マロリーの射るような冷たい眼差しから、奴らは決して逃れることはできない。複雑に絡み合った枝葉を通してストレートパンチのような小気味良さが最後に響き渡るシリーズのリズムは、本作でも実に健全である。

Posted by ブクログ

2019/01/11

もうマロリーとチャールズの関係は修復不可能なのだろうか?良心と真実に忠実だった者が必ずしも報われる訳ではない辛さ。それでもマロリーの徹底した復讐はまるで仕事人。ココのために螢を集める姿とは対照的。さすが氷の天使。ここで描かれるNYは地獄。だからむしろマロリーは堕天使。

Posted by ブクログ

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