生贄の木 の商品レビュー
マロリーのシリーズ、10作目。 ヒロインの過去に関わるため重要な「ルート66」に続く作品。 原作でもこの間は4年、間が空いています。 キャシー・マロリーはニューヨークの刑事。 完璧な美貌だが、特異な育ちのために普通の感情をほとんど理解しない変わり者で、天才ハッカーでもあります。...
マロリーのシリーズ、10作目。 ヒロインの過去に関わるため重要な「ルート66」に続く作品。 原作でもこの間は4年、間が空いています。 キャシー・マロリーはニューヨークの刑事。 完璧な美貌だが、特異な育ちのために普通の感情をほとんど理解しない変わり者で、天才ハッカーでもあります。 前作で幼い頃の謎が思いがけない展開を見せ、今後にどう影響するのか?と思われましたが。 前作を読んでいなくとも、差支えはありません。 ほとんど出てこないので… 届けも出さずに勝手に休暇を取った後に、何事もなかったように復帰しているという。 ペナルティとして雑務を押し付けられているが、淡々とこなしている。怒りも見せない様子にやや不自然さを感じるライカーら同僚たちではありましたが。 いやそれは前作の出会いの後、しばらく心通わせながら共に過ごして、気持ちが落ち着いたから戻ったのでしょう? 広大なセントラルパ―クにある森で、高い木に吊り下げた袋が三つ発見される。中には遺体が… 奇怪な事件の目撃者は幼い少女だけ。ウィリアムズ症候群の少女から証言を引き出そうとする冷徹なマロリーに、心優しいチャールズはあわてる。 だが少女の方はマロリーにすぐ懐く。切ないほどに… 被害者に共通点はなく、捜査は難航する。 どう転ぶかわからない、思わぬ背後関係と、いたましい過去と現在の交錯。 相変わらずスタイリッシュな文体、いつにもましてダイナミックな構成、パワフルなマロリー。 十分に常人離れはしていて、周りが怖れたり心配したりするのも無理からぬマロリーですが、マロリーなりの感情もあり善悪の基準もある。 それを感じ取るのも一瞬なのですが、ほろりとさせられます。 前作での発見で別人のようになったりはしないけれど、やはり微妙に心の奥で変わったところもあるのでは、と。 シリーズ中でも傑作と思います☆ [追記: マロリーがどういう人物か?興味を持たれた方は、「天使の帰郷」を読まれるのがいいと思います。 「ルート66」はその後におススメ。]
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劇画的なまでのけれん味たっぷりな誇張により、常に超越的な存在として彫刻のように描写されてきたこの世で最も美しく冷たい女刑事キャシー・マロリーのシリーズ最新作。と言っても10ヶ月前に邦訳された作品。さらに言えば原作は2011年にUSA出版済み。 創元推理文庫の翻訳作品が原作出版...
劇画的なまでのけれん味たっぷりな誇張により、常に超越的な存在として彫刻のように描写されてきたこの世で最も美しく冷たい女刑事キャシー・マロリーのシリーズ最新作。と言っても10ヶ月前に邦訳された作品。さらに言えば原作は2011年にUSA出版済み。 創元推理文庫の翻訳作品が原作出版から10年単位の遅れというのは今に始まったことではないのだが、そういった長い長い時差を経てもなお良作と呼べる物語(もう完結してしまったがR.D.ウィングフィールドのフロスト・シリーズや、新ミステリの女王ミネット・ウォルターズの作品群等含め)をしっかりと日本人読者に届けてくれる地道な無骨さは、海外小説の老舗出版社としての信頼性に確実に繋がるものだろう。 さて、キャシー・マロリーだが、このシリーズ、実は作品毎に独立したカラーやアイディアを持っており、作品世界の振れ幅が並ではない。特に前作『ルート66』は、キャシー・マロリーの真実を知る上で『天使の帰郷』以来の重要な作品であった。 完璧に美しく冷静な女刑事マロリーは、シリーズ一作毎に新たに彫刻され、徐々にその本当の姿が露わになるように作られている。孤児であるところを刑事に拾われ育て上げられた元野生児にして泥棒少女、今では天才ハッカー、社会病質者、敏腕捜査官、氷の天使。前作でニューヨーク市警を3ヶ月無断で不在にしルート66を走り回って帰還したマロリーは、市警上層部の組織圧力を跳ね除け、セントラルパークの森に吊るされた三体の遺体の謎に迫る。 マロリーの同僚ライカーと、コンサルタントであり信奉者であるチャールズ・バトラーとの個性のトライアングルは、シリーズを通して健全。健全というのはつまり葛藤だらけだということ。 そして二人の印象的な子どもたち。染色体異常の病に侵されつつも言語的かつ音楽的早熟の才能を示すココ。存在を葬られた影となって15年前の現実を示すアーニー。 事件の裏には家族たちの恩讐、社会構造の歪みを示す財団の影、警察や法曹界を組み立てる官僚組織の中に確実に蔓延る腐敗、そして何よりも喜劇的までの人間のエゴと醜悪等々が見え隠れする。 マロリーの射るような冷たい眼差しから、奴らは決して逃れることはできない。複雑に絡み合った枝葉を通してストレートパンチのような小気味良さが最後に響き渡るシリーズのリズムは、本作でも実に健全である。
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もうマロリーとチャールズの関係は修復不可能なのだろうか?良心と真実に忠実だった者が必ずしも報われる訳ではない辛さ。それでもマロリーの徹底した復讐はまるで仕事人。ココのために螢を集める姿とは対照的。さすが氷の天使。ここで描かれるNYは地獄。だからむしろマロリーは堕天使。
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物騒なタイトルで気が引けるが、警察ものやハードボイルドはこうなる。 舞台はニューヨークはセントラルパーク。 その公園の森の中で事件が起こる。宙吊り人間袋詰めが三つ発見される(うわ!) おまけに幼女誘拐も加わって・・・。 セントラルパークはもちろん新宿御苑より広いんでしょうね。...
物騒なタイトルで気が引けるが、警察ものやハードボイルドはこうなる。 舞台はニューヨークはセントラルパーク。 その公園の森の中で事件が起こる。宙吊り人間袋詰めが三つ発見される(うわ!) おまけに幼女誘拐も加わって・・・。 セントラルパークはもちろん新宿御苑より広いんでしょうね。 森がやたらと広く、木々がうっそうとしている描写があり、 いかにもおぞましいことが起こりそうな・・・ さすがにニューヨーク!って、知らないんだけど。 そこに登場して活躍するのはキャシー・マロリー=ニューヨーク市警ソーホー署巡査部長。 知らんかったけれど、これシリーズもので10作目、4半世紀も続いているとか。 このヒロインの波乱にとんだ出自やとっぴな性格がシリーズが進むにしたがってだんだんわかる仕掛け。 こういう時、シリーズの最初の本から読みたくなるのがわたしだけど、解説にこのシリーズに限ってどこから読んでもいいとあったので、まいいか。 クリスティのような清張のような古典に親しんでいる者にとって、場面の展開の目まぐるしさ、仕掛けの複雑さに慣れるまでが、ちょっと読みづらいけどね。 魔術的文章に魅せられてっていうのとは(サラ・ウォ-ターズ『半身』がそうだけど)また違う。 猟奇的事件の陰に「いじめ」や「家庭崩壊」「組織」「賄賂」「政治家」・・・ など、どこにでもありそうなことをさらりと盛り込んで、読ませる。
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マロリーシリーズ。 前作で、がっつり職場放棄をやらかしたマロリーは署内で微妙な位置にいるのだけど、まぁ、そんな風に思っているのは周りだけで、本人はまったく気にしてないというか、いつも通りで毎度ながら強い。 唯一繊細なキャラ、チャールズは右往左往してるんだけどね。 それ...
マロリーシリーズ。 前作で、がっつり職場放棄をやらかしたマロリーは署内で微妙な位置にいるのだけど、まぁ、そんな風に思っているのは周りだけで、本人はまったく気にしてないというか、いつも通りで毎度ながら強い。 唯一繊細なキャラ、チャールズは右往左往してるんだけどね。 それに対して、もう完全に開き直ったって感じなっているライカーがへんにいけてる。素敵オジサマになってるよww 森の中で袋に入れられて木につるされていた3人。 唯一の目撃者は、ウィリアムズ症候群の少女だった。 子供だろうが、まったく躊躇しないマロリーなので繊細なチャールズと対立するのだが、当の少女はマロリーにめっちゃ懐いてしまう。一番守ってくれる人をチョイスするのは、子供の生きるための本能なんでしょうかね。 被害者3人に共通点はなく、捜査は難航する。 話は、陰謀とか過去とか、どんどん拡大していくのだけど、最終的には子供のところに集結する。 大人は、子供がよりよく生きるために力を尽くす義務や責任がある。 それぞれ立場や価値観や方法が違っていてもだ。 それを間違ってしまった人と、揺るがない人の話だったように思う。
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ウィリアムズ症候群という病気を本書で初めて知った。 今回、マロリーは、浮浪児時代、庇護者役だった娼婦(名前忘れた)的な立場に立たされることになる。 過去作に出て来た元児童娼婦(エドワード スロープが引き取った)、父親(前作「ルート 66」)、大叔母さん(過去作「天使の帰郷」)のエピソードのように、ココも今回限りの存在っぽく(少なくとも数話は塩漬け)、個人的には今後が気になる。
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「キャシー・マロリー」シリーズ。 悪徳警官の賄賂とか証拠隠滅とか、極端な例として殺人とかは、 刑事ミステリーにはある意味欠かせないパーツだが、 腹黒上官、それもトップに上り詰めようとしている元警官が直接手を汚したというのは、 なんだかしっくりこなかった。 いくら金と権力を併せ持つ存在の後押しがあるという設定としても。 現在の殺人事件、マロリーの処遇、過去の殺人事件、 遺伝的特徴を持つ目撃者である少女とマロリー、 といろいろな話が盛り込まれていたが、この順で興味が引かれたので、 正直現在の殺人事件のことは途中でどうでもよくなっていた。 とはいえ、シリーズの中では面白かった。 きっちりしっかり読み込むタイプの人には余計なお世話だが、 そうでない人は一度読み終わった後に、 日記の部分だけ読み直した方が良い。 そこだけでも、素晴らしい作品だ。 悲しい物語だが。
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マロリーシリーズ10作目。最新邦訳本に追いついたー 氷の天使が妖精になつかれるの巻 まだ未翻訳があると知って嬉しい!
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キャロル・オコンネルの作品で読んだことがあるのは『クリスマスに少女は還る』と『愛おしい骨』だけなので、このマロリーシリーズは読んだことがない。最初に感想を言うと、主人公であるマロリーの過去を知っていれば、もっと面白いんだろうな、と思った。マロリーはこの巻の前には、どうやら何か月か...
キャロル・オコンネルの作品で読んだことがあるのは『クリスマスに少女は還る』と『愛おしい骨』だけなので、このマロリーシリーズは読んだことがない。最初に感想を言うと、主人公であるマロリーの過去を知っていれば、もっと面白いんだろうな、と思った。マロリーはこの巻の前には、どうやら何か月か失踪していたようだ。クールビューティ&タフネスの女刑事という、いかにもアメリカらしい鉄板キャラ。結構この設定は好き。相棒のライカーはそんな彼女とは好対照で、ややお調子者のような感じ。そこそこ切れ者なのだが、なにぶんマロリーの能力が突出しているので、ライカーは損している。ただ彼がいないとマロリーの行動は謎が多すぎるので、物語を理解する上ではとても重要な人物。 ストーリーの展開は冒頭のショッキングな描写を除けば、いたって王道のミステリーという感じ。トリックより物語性を重視している。奇をてらう感じもなかったので、分厚い割には読みやすい。 事件は昼間の公園ではじまる。幼児たちを引率して広場を訪れていた老女が、突如として現れたネズミの群れに襲われて噛み殺された。 なぜ、こんなところでネズミが多量発生したのかを捜査していたところ、木の上に吊るされ、口をふさがれ拘束されていた瀕死の男をみつける。生きたままネズミにかじられていた男。この男がネズミの発生源だった。それをきっかけに同様に木に吊るされ、ネズミに齧られた二人の被害女性が発見される。 その後、別の事件で保護された少女ココがこの事件の目撃者であったことが判明する。しかし少女はウイリアムズ症候群と言う疾患を抱えていたため、証言をさせることが困難であった。 誰がこんな凄惨な事件を引き起こしたのか、その犯人像は… 快楽殺人だとすると、この3人で犯行が止まっているのが不可解だ。被害者に接点はあるのか… マロリーやライカーの過去の活躍を知らなくても、今回の物語だけでも十分面白いのだけれど、その他の登場人物たちも、過去の作品からの流れで登場してくるので、読んでいないと絡みがよくわからないところもある。 1作目から読んでみたいが、これが10作目だからなぁ… 分厚いし、ためらう。 1作目から読んでいる人がうらやましい。
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だんだん分厚くなるマロリーシリーズ…登場人物の名前がこんがらがって何度も一覧をひっくり返した。 ネズミの大群に襲われた老女に怖気をふるったあと、袋に入れて吊された被害者の惨状に犯人への怒りを…感じようにも無理がある。どいつもこいつも最低な奴だった。 初耳のウィリアムズ症候群なる病...
だんだん分厚くなるマロリーシリーズ…登場人物の名前がこんがらがって何度も一覧をひっくり返した。 ネズミの大群に襲われた老女に怖気をふるったあと、袋に入れて吊された被害者の惨状に犯人への怒りを…感じようにも無理がある。どいつもこいつも最低な奴だった。 初耳のウィリアムズ症候群なる病気、その特異な症状と、ココの不憫さ! マロリーに西海岸で何があったのか読者は全く知らされないままに、怒濤のように「断食芸人」を追い、権力闘争の罠をくぐり抜け、過去の出来事をたどり、追及し、復讐し…というマロリーについていく。疲れたーでもまたまた楽しめましたね。そして靴ひもを懸命に結んだココ、ホタルのやさしい灯りに眠ったココ、どうか幸せに暮らしてと願わずにいられない。 マロリー、今度はどんな事件?会えるのが待ち遠しい。
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