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牛と土 福島、3.11その後。 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2018/02/20 |
JAN | 9784087457070 |
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眞並恭介(1951年~)は、主に医学・医療分野の分野を取り上げた作品を執筆するノンフィクション作家。本書は、2015年に出版され、同年の講談社ノンフィクション賞を受賞、2018年に文庫化。 我々は、2011年3月11日の東日本大震災時に起こった福島第1原発事故により、東京23区の...
眞並恭介(1951年~)は、主に医学・医療分野の分野を取り上げた作品を執筆するノンフィクション作家。本書は、2015年に出版され、同年の講談社ノンフィクション賞を受賞、2018年に文庫化。 我々は、2011年3月11日の東日本大震災時に起こった福島第1原発事故により、東京23区の半分もの広さの地域が帰還困難区域となり、数万人の人びとがそれまでに住んでいた場所から未だに離れて暮らしていることを知ってはいるが、その記憶は日々の生活の中で僅かずつとはいえ薄れつつあるし、ましてや、その地域にいた動物たちのその後を意識することは、残念ながらほとんどない。 しかし、本書を読むと、原発事故発生時に警戒区域に約3,500頭の牛がいたこと(豚は約3万頭、鶏は44万羽)、そして、その牛たちと牛飼いの畜産農家の人びとの運命と生活が、その日を境に不可逆的に変わってしまったことを改めて認識する。 震災から約4年後の調査報告によると、約3,500頭の牛は、安楽死処分が1,747頭、処分に不同意の所有者による飼養継続が550頭、安楽死処分と畜舎内で死亡した牛を合わせた一時埋葬処分が3,509頭である。単純合計が元の頭数をはるかに上回るが、事故後に自然交配で生まれた牛などが把握できないことによる。 また、数百の畜産農家は、(国の命令である)安楽死処分に同意せざるを得なかった人と同意しなかった人、(人に迷惑をかけないように、餓死しないようにという思いは共通でも)牛をつないだまま逃げた人と放して逃げた人、牛飼いを続けている人・再開しようとしている人と諦めた人、故郷に帰ろうとしている人と帰らない人・帰れない人などに分かれ、更に賠償金や慰謝料の格差もあり、畜産農家間での亀裂は深まっているという。 そうした中で、本書に描かれているのは、必死になって牛の命を守り続ける牛飼いや獣医師たち、特に、帰還困難区域に指定された浪江町小丸の牧場にいる、震災時8ヶ月齢だった双子の安糸丸・安糸丸二号の運命を軸として、被曝牛に深く関わった人びとの姿と心の内である。 西洋であれば「牛は人の食料として存在する動物であり、人間が被曝の危険を冒しながら飼育する意味などない」と大半の人びとが考える状況で、国が殺処分を命じた牛、被曝した牛を生かす意味を探り求めながら飼い続ける牛飼いたちの姿。。。それは極めて日本的であるし、それ故にこそ、心からの共感を覚えずにはいられない。 「福島、3.11その後」を知ることができる、貴重かつ心に迫る一冊と思う。 (2019年8月了)
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序章 安楽死という名の殺処分 第1章 警戒区域の牛たち―餓死でも安楽死でもなく 第2章 飯舘村の牛たち―人も牛も姿を消した 第3章 飛散した放射性物質―土と動物の被曝 第4章 放れ牛と牛飼いの挑戦―牧柵の内と外…牛の生と死 第5章 ふるさとを遠く離れて―牛の時間と人間の時間 第6...
序章 安楽死という名の殺処分 第1章 警戒区域の牛たち―餓死でも安楽死でもなく 第2章 飯舘村の牛たち―人も牛も姿を消した 第3章 飛散した放射性物質―土と動物の被曝 第4章 放れ牛と牛飼いの挑戦―牧柵の内と外…牛の生と死 第5章 ふるさとを遠く離れて―牛の時間と人間の時間 第6章 牛が生きつづける意味―牛飼いを支援する研究者 第7章 被曝の大地に生きる―家畜と野生の狭間で 第8章 帰還困難域の牛たち―牛が守るふるさと 第9章 検問を越えて牛の国へ―牛が教えてくれたこと 終章 牛と大地の時間 第37回講談社ノンフィクション賞、第58回日本ジャーナリスト会議賞 著者:眞並恭介(1951-、茨木市、ノンフィクション作家) 解説:小菅正夫(1948-、札幌市、獣医師)
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