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闘争領域の拡大 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2018/02/06 |
JAN | 9784309464626 |
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闘争領域の拡大
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商品レビュー
3.6
18件のお客様レビュー
初ウエルベックなので読み方が手探りだった。 主人公の「僕」と醜男ティスランが主流になり、恋愛という自由主義を求めて彼らの世界が「拡大」していく。 そう信じていたにも関わらず、その拡大の仕方が頑張れば頑張る程に良くない方向へと転落してしまう。 ウエルベックを読むにあたり、登場人物に...
初ウエルベックなので読み方が手探りだった。 主人公の「僕」と醜男ティスランが主流になり、恋愛という自由主義を求めて彼らの世界が「拡大」していく。 そう信じていたにも関わらず、その拡大の仕方が頑張れば頑張る程に良くない方向へと転落してしまう。 ウエルベックを読むにあたり、登場人物に同情(共感)する事によって読み手の世界も拡大していくとあとがきで分かった。 仕事、恋愛、性生活とテーマが3つあるけど、登場人物全てが日常に潜む人間ばかりでよりリアリティを帯びる。 主人公は観察者であり、観察する事により自分の内部で噛み砕いて分析をするけれど、取り込むことはせず、だけど敏感に感じやすい体質なのかマイナス面ではかなり感化されて苦しそうに感じた。 最初はうっすらとだけど進めていくと、その感情や分析が重く苦しいものに様変わりしてしまう。 哲学的描写なのでもっと色々考えたりしたいけど、あと何冊かウエルベックを読まないとそこら辺はなんとも言えない。 確かに面白かったけど、その先にまだまだ何か色んなものが隠されている感じがした。 時には含みを持っていた書き方だったりしたから、作品をもっと読んでそれが何かを加味していきたい一冊だった。
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闘争領域で闘う同僚など、身の回りの人物を、主人公のシニカルでありつつも同情に満ちた目線で描く。最後、主人公は鬱になって闘争領域を完全に脱落するのだけれど、何故か清々しい。現代人に向けた、いい小説だ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
現代社会は、経済だけでなく、「性愛」も自由化され、富めるものとそうでないものの格差が拡大している。このような話は、しばしばSNSで話題になっている「弱者男性」問題にもつながっており、ここ数年は熱をもって議論されていることだが、ウェルベックがこの問題を30年も前に小説のテーマにしている点が興味深い。主人公は容姿がよくない同僚のティスランを心の中では散々馬鹿にしており、実際にティスランは性愛に関してひどい目に遭ってしまう。ただ、主人公の心情描写から、自由恋愛の世の中に果敢に立ち向かっていき、最後には不慮の死を遂げる彼を、著者は心の奥底では敬意を払っているのではないかという印象を受けた。愛を得られない者の哀れさを描きつつも、そういった者に対して寄り添いを感じる不思議な作品だった。 フランスでも話題になったようだが、現代の日本で広まればそこそこ議論を生みそうな一作である。
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