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B.C.1177
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3.6
16件のお客様レビュー
崩壊前の後期青銅器時代は現代に近いグローバル社会だった。出土品や交易の遺物,粘土板などの情報から其のありようを明らかにする。 各地の支配者同士の書簡のやり取りが面白い。思ったよりも内容がくだけているというかカジュアルに感じた。 筆者はこの後期青銅器時代の崩壊の原因は自然災害や侵入...
崩壊前の後期青銅器時代は現代に近いグローバル社会だった。出土品や交易の遺物,粘土板などの情報から其のありようを明らかにする。 各地の支配者同士の書簡のやり取りが面白い。思ったよりも内容がくだけているというかカジュアルに感じた。 筆者はこの後期青銅器時代の崩壊の原因は自然災害や侵入者,飢饉など様々な要因を考慮し,複雑性の理論が新たな視座を与えてくれると言っているが同時にそのあいまいさについても言及している。結局のところ分からないことが多すぎて文明の崩壊を招いた諸原因として何を選択すればいいのかすら分からないのだ。 また筆者は高度にネットワーク化した社会はその構成要素が一つでも不安定になると構造全体が崩壊するという認識のもと,この時代の崩壊を語っているが,であるならばそのネットワークが実際にどのように機能し,なぜ連鎖的に崩壊が起こるのかについてもう少し具体的に説明が欲しかった。 例えば権力者同士のやり取りや交易の途絶と文明全体の崩壊には明らかに距離があると思う。食料や物資が当時の諸国家においてどれだけ自給されていたのか,あるいは貿易に頼りきりだったのか。といった統計的なデータがあればいいと思ったが,そんな情報はない。資料の乏しい時代の研究の難しさを感じる。
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後期青銅器時代、エーゲ海から東地中海に根ざしていた複数の文明が同時期に滅んだ。滅びは暗黒時代を呼び、それは300年ほど続き、再び立ち上がった文明は前時代を継承してはいなかった。 本書は、滅びを招いたものはなにかと問い、はっきりとはわかっていない、複合的な要因であろうと答えている。 主題はおそらく、グローバル化した経済圏をもつ現代と、後期青銅器時代に文明間に構築された経済圏の相似形を語ることであろう。相互に依存した経済圏は、目に見えぬ形で積算した幾つものきっかけが原因で、ゆるやかにだが復元できぬほどの崩壊に至ることがある。 現代においてもそれは起こりうると述べている。発刊年からするとリーマンショックを念頭に置いてのことか。 ミケーネ……ミュケナイ、ミノス、ヒッタイト、ミタンニ、バビロニア、カナン、エジプト。歴史に興味がなくとも耳にしたことのある文明または勢力圏。それらの間には定常的な交易網が存在した。 イリアスで語られるトロイア、聖書で語られる出エジプト。これらは時代の趨勢の変化――文明あるいは勢力圏の弱体化――が招いた出来事であったかもしれない。 これらについてはこれまでキーワードでしか認識していなかったきらいがある。同一時空に在ったことを認識させてくれた。
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BC1177前後に一斉に崩壊した地中海の青銅器文明についての本。崩壊前の豊かなグローバル経済、国交などの様子や、滅びた都市の遺跡からわかることを詳細に語り、突然の文明滅亡の謎に挑んでいる。 遺跡の発掘、出土した粘土板の解読が進んでいるという紹介が面白かった。エジプトに黄金をねだる周辺国の粘土板や敵国への貿易ブロックを指示するものなどバラエティに富んでいて、これを3000年を超えた現代で読めるのがすごい。肝心の文明滅亡については様々な要因が絡んだ複雑なものとしか言わず、帯で煽られている海の民についても詳細はわからずじまいだが(古代のことが完璧にわかるなどありえないのだから仕方のないことだけど)、今わかっていること、議論されていることを整理してくれているので十分と思う。読んだ印象では解説の通り気候変動が引き金ではあると思うのだが、それではまずいのだろうか?
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