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H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って
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H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って

ミシェル・ウエルベック(著者), スティーヴン・キング(著者), 星埜守之(訳者)

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H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って

定価 ¥2,090

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 国書刊行会
発売年月日 2017/12/01
JAN 9784336061775

H・P・ラヴクラフト

¥1,815

商品レビュー

4.8

10件のお客様レビュー

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2024/10/19

ウェルベックによるラヴクラフトへの愛や尊敬や親近感や執着心を赤裸々に綴ったラブレター。だと、読み終わって感じた。本作はウェルベックのデビュー作らしく、ラヴクラフトマニアであるところの著者が彼の人生を追いながら、作品やラヴクラフトの人物像を探る、というもの。だがそこに、ウェルベック...

ウェルベックによるラヴクラフトへの愛や尊敬や親近感や執着心を赤裸々に綴ったラブレター。だと、読み終わって感じた。本作はウェルベックのデビュー作らしく、ラヴクラフトマニアであるところの著者が彼の人生を追いながら、作品やラヴクラフトの人物像を探る、というもの。だがそこに、ウェルベックの偏屈さや、作家としての視点、悲観主義が加わることで、ただの「作家研究」には止まらない、「文学性」のようなものを獲得するに至っている。というのは、ウェルベックがラヴクラフトの人生や人間性にある種の共感を示しているからで、お互いつくづくリアリズムに興味がない人なのだということが伝わってくるからだ。 ウェルベックが言うように、ラヴクラフトの文章は「文学的ではない」。それは彼の視点がもはや人間の生き方だとか愛だとか、そういう根拠に乏しい概念へはほとんど向いておらず、むしろ世界への「恐れ」や「絶望」にこそ信頼を置いていたからに他ならない。 生来備わっていた気質も関係しているのだろうが、短い結婚生活や、ニューヨークでの貧困や差別的な暮らしからその「傑作群」は生まれたのだとウェルベックは言う。彼の生み出す短編は、ヴァンパイア伝説や、幽霊譚などと言った、何かに再解釈が不可能な領域ーー議論の余地の無い異界であるから、神話となったのだと。 ウェルベックはラヴクラフトについて知ることで、考察を重ねることで、彼に近づき、共鳴する。混沌に満ちて、輝くほどの絶望を描くこと、それは現実の写鏡であり、世界にも、人生に対しても戦うことをやめないそのラヴクラフトの生涯に。ラヴクラフトこそは抗う者であり、真の詩人だったとする締めくくりは感動的ですらあった。 一人の男が絶望の淵に沈み、世界に宇宙的恐怖をばら撒く、という流れは主人公が悪堕ちする小説や映画のようですらあってーー 「生きることに成功しなかった男は、最後には書くことに成功した。苦しみの道のりだった。幾年もかかった。ニューヨークが手助けしてくれた。あれだけ心優しく、礼儀正しかった男が、そこで憎悪を発見したのだ。(P.198)」 序文にはスティーヴン・キングが寄稿しており、視点や熱量の違いもまた良い。ほか、ラヴクラフトの人種差別がどのように形成され、移り変わって行ったのかを真摯に突き詰めてもいる。

Posted by ブクログ

2024/03/03

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト 1890年ー1937年 エドガー・アラン・ポーと並ぶ、アメリカ怪奇・幻想文学を代表する巨匠。 「クトゥルフ神話」の創造者として現在に至るまで、小説・漫画・映像作品・ゲームなどの文化に、多大な影響を与え続けている。生前は文通を好み、仲間からは「...

ハワード・フィリップス・ラヴクラフト 1890年ー1937年 エドガー・アラン・ポーと並ぶ、アメリカ怪奇・幻想文学を代表する巨匠。 「クトゥルフ神話」の創造者として現在に至るまで、小説・漫画・映像作品・ゲームなどの文化に、多大な影響を与え続けている。生前は文通を好み、仲間からは「HPL」と呼ばれていた。 本書の帯に書かれている文章を転記しました。 本書はH.P.ラブクラフトさんの生涯と彼の作品に関して愛情深く綴った本です。 ミシェル・ウエルベックさんのデビュー作であることが帯にも記載されています。 ミシェルさんの作品はまだ未読なので、いずれ読むことになるのだと思います。 HPLさん(私も親しみを込めて彼の友人が使っていた呼び名を使わせていただきます)の作品は中学か高校生の時に創元推理文庫で発売されている全集を読んでいます。怪奇・幻想といった分野にハマっていた時期で、このころにエドガー・アラン・ポーの全集も創元推理文庫からの『ポオ小説全集』で体験していました。 HPLさんの作品はどれも太古の地球でかつては繁栄していた人類とはまったく異なる種族が登場します。見たこともない生物なので、HPLさんが描写する活字から想像を膨らませて読んでいたことを思い出しました。久しぶりに読み返したいなぁと思ったのですが、実家にも残っていないかな?なので、国書刊行会が提供している『新編 真ク・リトル・リトル神話大系』全7巻を読むとするか、はたまた、青心社が提供している『クトゥルー (暗黒神話大系シリーズ)』全13巻を読むか、新潮社の『クトゥルー神話傑作選』3巻(まだ続くのですかね?)にするか、書店でラヴクラフト作品試読会が必要です。 肝心の本書の感想ですが、再びHPLの作品を読み返したくなりますし、未読の方は読みたくなります。ところどころに作品の一部が引用され、その構成の妙だったり、的確な表現スタイルだという解説が心地よいのです。HPL本人の当時の生活環境が作品にどんな影響を与えたのかという考察も読むことができます。 もう一つ嬉しかったのが、スティーブン・キングさんの序文が読めること。 ラヴクラフトの世界が好きな人には、超おすすめです。

Posted by ブクログ

2023/07/18

ラヴクラフトの人生とその内面にうまく切り込んだ良書でした。 人種的恐怖と金銭的困難に陥った保守派の白人が作り上げた、宇宙規模の暗い神話群を再読したくなる。

Posted by ブクログ