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シンプルな政府 “規制"をいかにデザインするか
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | NTT出版 |
| 発売年月日 | 2017/10/30 |
| JAN | 9784757123663 |
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シンプルな政府
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商品レビュー
3.8
8件のお客様レビュー
政府の大きさは本書の対象ではなく、いかにシンプルにするかが重要ということが述べられていた。 規制の手段として命令、義務、禁止があるが、ナッジも有力だという。ナッジは「選択の自由を保持しつつ決定に影響を与えるアプローチ」(68ページ)のこと。 ナッジのもとで選択の自由を保持出来...
政府の大きさは本書の対象ではなく、いかにシンプルにするかが重要ということが述べられていた。 規制の手段として命令、義務、禁止があるが、ナッジも有力だという。ナッジは「選択の自由を保持しつつ決定に影響を与えるアプローチ」(68ページ)のこと。 ナッジのもとで選択の自由を保持出来ているのかという疑問をこれまで持ってきた。9章にその疑問に関する筆者の考えが示されていたが、スッキリしたわけではない。 ナッジによって他人がしてくれた選択を前提に行動ができるメリットはなるほどと思った。ナッジはしなくていい選択に煩わされることがないようにするという利点があるということか。選択の自由とはいうものの、どの選択肢にするかで迷いしんどくなることもある。 ナッジはシステム1(短期的思考、直感)がまず作用するという人間の本能的なものを利用すると理解しているが、この点の在り方について考えていきたい。抽象的議論では深まらないらしいので、具体例をもとにしつつ考えられればと思う。 またナッジを進めるには費用対効果分析が重要。何を費用とし何を効果とするか、それが難しいのではないかと思った。 まだまだ理解が不十分なので、引き続き学んでいきたい。
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大げさに言えば、まるでアメリカ全土で行動経済学の実験をしているような話、面白くないわけがない。 ナッジ(肘で軽く押す)というのは、強制力を伴わずに、人びとに望ましい行動を促す政策的なアプローチである。刑罰や規制によって禁止したり、たばこ税のように経済的なインセンティブを変えた...
大げさに言えば、まるでアメリカ全土で行動経済学の実験をしているような話、面白くないわけがない。 ナッジ(肘で軽く押す)というのは、強制力を伴わずに、人びとに望ましい行動を促す政策的なアプローチである。刑罰や規制によって禁止したり、たばこ税のように経済的なインセンティブを変えたりせずに、人びとの行動を望ましい方向に誘導してゆく。 内容的にはフレーミングなど行動経済学や心理学の基本的な説明もあるけれど、本書を手に取る人にとって面白いのはやはりそれらが実際の政策にどう役立つかという話だろう。いわゆる食育の一環で作られた栄養ピラミッドには笑った。「意味がまったく伝わってこない」。バイバイピラミッド、ハロープレートというのは前任者に悪いのでは、という日本的配慮のかけらもなくてまた笑った。だがたしかにプレートのほうが分かりやすい。シンプルであるということは、曖昧さがなく、分かりやすいということ。ほか、環境保護庁による燃費表示、クレジットカードの年利や手数料の表示方法、教育機関の学費や卒業率、就職率などの表示と、次々と改革を行っていった。オバマ政権下でこれだけの改革が果たされたのかと思うところだ。 なかでも燃費表示の話は面白くて、たしかに燃費を「C」とランク付けで表示されれば分かりやすいけれども、「C」と書かれた車を買いたい人など少ないだろう。それは確かに分かりやすいのだけど、燃費だけが車の性能を示すバロメーターとして目立ってしまい、購買行動に与える影響が大きくなってしまう。それもまた環境的にはよいのかもしれないが、業界が大反発したのも無理はない。このあたりの塩梅がいかにも政策の泥臭さで、このあたりの話は著者の面目躍如という気がする。 ただナッジについて真っ先に思い浮かぶ問題は、パターナリズムとのバランスということになる。端的に言えば、政府が国民の望ましさを一方的に決め、政府が決めた望ましい行動をとるように動機付けられる、ということも理屈としては考えられる。日本で言えば、公共の福祉と、個人の自律性とのあいだで、どこまでの介入なら正当であると考えるか、また合意が得られるかというところにある。それは社会福祉のみならず業界や自由経済を巻き込んだ話になる。この点でナッジに必要なのは、選択の自由の確保、透明性(情報開示)、そしてまた不当な目的に用いないことだ。この点、国粋的ポピュリズムの台頭する諸国や、情報開示の不透明性に疑念の深まる日本を思うと、強力な武器となりうるナッジの使い方も今一度考え直したいと、読み終えて思ったところである。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「本書では、オバマ政権でのOIRA(オアイラ=行政管理予算局情報・規制問題室)室長だったころに進んだ米政府の大改革を描く。」と書かれているが、そう思って読み進めると肩透かしを食う。かなりボリュームのある本だが途中はほとんど行動経済学について書かれているからだ。他著を読んでいれば第一章と巻末にappendixとして掲載されている大統領令、西田亮介氏のわかりやすい解説で十分かもしれない。 悪例として引かれている連邦農務省の栄養ピラミッドの図には笑った。 P29 オバマ大統領は各省庁に対し、厳格な「設計基準」(デザインスタンダード)ではなく、柔軟な「達成基準」(パフォーマンススタンダード)を用いることを求める大統領令を出した。このアプローチなら、コストを削減できるし自由を尊重できる。しかし、「常識」を優先し不要な指図を批判するのは、言うは易しであることがわかってきた。OIRA時代、私はたびたび民間部門から「お願いだから何をしてほしいのかはっきり教えてください」と懇願された。その理由の一つは、法的トラブルを避けたいということだ。 P44 ナッジは左翼には不人気なことが分かった。左翼は確固たる義務化を好むのだ。だが深刻な問題をもたらしたのは右翼のほうだ。 P59 OIRAの最大の任務は、行政プロセスをきちんと機能させることで、法の順守にとどまらず、必ずしも義務ではないが、広く言えば「良き政府」という理念のもとに含まれる手続き規範にも沿ったプロセスを堅持することである。 P61 競争と私的財産制度を大事に思うなら、市場や繁栄を可能にする規制が必要だ。純効果(効果マイナス費用)が高ければ、規制について抽象的なレベルでは懸念があろうとも、規制を進めるべきもっともな理由になる。 P230 もちろん人々の価値観は異なる。しかし明らかな証拠があれば、価値観では激しく異なる人々を同じ結論に導けるということだ。 P264 (公平性や尊厳などの言葉を使ってお気に入りの方向に進むだけではないのかという疑問に答えるには)内訳分析を行うことが有効だと多くの省庁が気付いてきた。このアプローチで省庁は、量的に、あるいは金銭的に表せない恩恵がどれほどのレベルならコストを正当化できるか、具体的に示している。 P293 手段についての温情主義と目的についての温情主義を区別する必要がある。ナッジは手段の温情主義に専念し、人々の目的を問うことはしない。
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