神話と天皇

大山誠一(著者)

• 販売会社／発売会社: 平凡社
• 発売年月日: 2017/10/01
• JAN: 9784582469103

商品レビュー

2024/06/15

タイトルは「天皇」というより「天皇制」と言った方が良いかもしれない。藤原不比等が中心になって編纂された日本書紀の内容は、彼が「天皇を利用して藤原家が実権を握る政治体制を構築する」ために練り上げられたものであるという説で展開している。

最近放送されたNHKの「歴史探偵」で藤原不比等が特集された時に誰かがXで「鎌足じゃなくて不比等を取り挙げるのはさすが」と呟いていたのを思い出した。本書によると鎌足も、本来の役割以上に天皇制の確立と神格化のために盛りに盛られた設定で描かれるようになったという。

不比等の政治的手腕と共に、一級のエンタメ要素も含む歴史書の編纂というプロデュース能力と見ると、その後1000年以上継続される日本人の皇室観や国民性の下敷きを作った人物と言える。

2018/04/14

記紀神話について、誰がどのような思いで創作したか、著者の推論が展開されます。
どこまで正しいかは分かりませんが、なかなか納得でき、整合性があります。
日本と日本人の成立と正統性を示す記紀神話。これまで素直に受け止めることによって、日本人であることの心地よさを感じていましたが、確かに誰かが創作したものであり、このように検証していく必要がありますね。ちょっと複雑な気持ちです。