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鍵の掛かった男 幻冬舎文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 幻冬舎 |
発売年月日 | 2017/10/06 |
JAN | 9784344426511 |
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鍵の掛かった男
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商品レビュー
3.9
53件のお客様レビュー
前回まで読んでいた榎本シリーズがとにかく怖すぎたんで「これは久々に私の大好きな火村シリーズに癒してもらうしかないな!」と思って読み始めたんですけどビックリするくらいこっちも最後の方が怖くて「やっぱり人間が一番怖いんだ……」と思い知らされた。 そろそろ全部読み切ってしまいそうな...
前回まで読んでいた榎本シリーズがとにかく怖すぎたんで「これは久々に私の大好きな火村シリーズに癒してもらうしかないな!」と思って読み始めたんですけどビックリするくらいこっちも最後の方が怖くて「やっぱり人間が一番怖いんだ……」と思い知らされた。 そろそろ全部読み切ってしまいそうなんで少しずつ読んでる火村シリーズですが、今回の話は何と言うかちょっと火村シリーズっぽくない話でしたね。 勿論ある事件が起きて火村がその謎を追求していくっていう流れは変わらないんですけど、今回の話は「あるホテルで人が死んだ。自殺か他殺か分からないから結論を出して欲しい」みたいな依頼から始まるんですよね。普通探偵ものって殺人事件であることが確定している状態で探偵に話が来るものが多いので(私が読むものは特に)、この始まり方は珍しいなぁと思って。 そしてもうひとつ珍しいのは話が半分くらい進まないと火村が本格的に登場しない事。そう、今回の前半パートの探偵はアリスなんですよね、そこが珍しい! や、今までもアリスが解決した話はあるんです、あるんですけどそれは短編ばっかりだったのでこんなにアリスがガッツリとフィーチャーされるのも珍しいなぁと。珍しい尽くしですね。 それにしてもアリスのパートは観光旅行も兼ねてのんびり、って感じだったのに火村が来た途端にサクサク展開し出すのちょっと笑ってしまいました、火村ちょっとせっかちすぎんか。 話の展開もひとりの男の生涯を追いかけていく感じだったし、途中で何回か「あれ?私って今東野圭吾作品読んでたっけ?」となるシーンがありました。感覚的には火村シリーズを読んでるというより凄く東野圭吾作品に近い気がします。 それにしても長い話だった……これきっと火村シリーズ最長なのではあるまいか。
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大部分が冒頭で既に亡くなっている「鍵の掛かった男」の秘密や人生を追う内容になっている。長々と追いかけた分、男の真相にはグッとくるものがあって、久々に良質なヒューマンドラマを読んだ気分。ミステリ部分についても、安定のロジックで個人的には有栖川作品でも上位にくる作品。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とにかく分厚い力作! 有栖川有栖は、個人的には話もしたことのない大作家・影浦浪子(かげうら なみこ)から、警察が自殺と断定しようとしているある男の死の真相を、火村とともに究明してほしいとの依頼を受ける。 火村は、勤務する大学の入試の監督業務に当たるため、有栖が先行して調査に当たることになった。 前半は有栖の地道な聞き込み調査、後半は火村が登場して怒涛の解決編! 梨田稔(なしだ みのる)は、大阪中之島の「銀星ホテル」に5年前から滞在していた。 ホテルで一番良いスイートを利用し、死後に二億円入った預金通帳が発見される。 クレジットカードも携帯電話も持たず、身寄りもなかった。 これだけで、何か身を隠すような訳ありの人物なのだろうと思う。 梨田が自殺でなく他殺であるとすれば、支配人夫妻を含む当日宿泊していた人物たちと従業員が容疑者となる。 すでに警察の聞き込みは済んでいるのだが・・・ 常連たちが語る梨田の印象は、生活のほとんどをボランティア活動に費やし、節度を持った人付き合いをする穏やかな人物。 彼らは梨田の自殺の原因を、寂しかったのだろう、孤独だったのだろうと口を揃えて言う。 有栖が話を聞いている間は「家族的なホテルのスタッフと常連さんたち」に思えていた人々が、火村が登場した途端に「容疑者」の顔に見えてくるのが不思議。 しかし、この流れでは他殺なんだろうなと思っても、誰が怪しいのかということさえ全く分からなかった。 ミステリ物の小説やドラマにおいては、こいつはまあ殺されても仕方ないな、むしろ死んでよかったじゃないのなどと思うこともある。 しかし、なんでそんなくだらない理由で殺すの?と思う時、犯人は刑務所から出てまた生きていくのだということがたまらなく理不尽に思えてくるのだ。 梨田稔は、「事故多発型」の人生だった。 その挙げ句の最後には、石ころに蹴つまずいた程度の犯人のくだらない理由で殺されてしまう。 しかし、死後には、救いがあったのだろうか。 少なくとも報いはあったと信じたい。
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