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銀河鉄道の父
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銀河鉄道の父

門井慶喜(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2017/09/14
JAN 9784062207508

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2026/08/09

 宮沢賢治の童話は、声に出して読みたくなる。いろいろなフレーズが心に残る。それが時々、口をついて出てくる。  「ああ疲れたな うれしいな サンタマリア。」  「かまねこはもう悲しくて悲しくて 頬のあたりがすっぱくなり そこらがきいんと鳴ったり」  「ほんとうに みんなのさいわいの...

 宮沢賢治の童話は、声に出して読みたくなる。いろいろなフレーズが心に残る。それが時々、口をついて出てくる。  「ああ疲れたな うれしいな サンタマリア。」  「かまねこはもう悲しくて悲しくて 頬のあたりがすっぱくなり そこらがきいんと鳴ったり」  「ほんとうに みんなのさいわいのためならば、僕のからだなんて百遍焼いてもかまわない。」  賢治の父への言葉に  「一年遅れだったども結局、高等農林に行かせてくれたでねえすか。あそこでおらは、物理や化学や地学のことばを知ったんじゃ。だからこそ」 とある。喀血でその言葉の続きは話されなかったが、「だからこそ「自分にしか書けない詩歌や童話ができた。」ということかなと思う。  「羅須地人協会は、その活動のすべての川が、ことばの海めがけて駆けくだっているのだ。」という一文があったが、賢治の生きてきたすべてが詩や童話という海めがけて轟々と音を立てて流れていったのだろう。  父も賢治も「ことばの持つ力」を信じている。トシの生きたあかしを世にとどめたいと、遺言を書き取ろうとする父。それを強く遮った賢治は「永訣の朝」にトシの言葉を書く。トシの口から出たものではないが、贋物というのではない「人造宝石」としての言葉だ。  父のようになりたかったが、なれなかった賢治は「子供のかわりに童話を生む。」と言う。  多くの作品の中に賢治の生きたあかしがつまっている。

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2026/08/06

賢治が石を拾い集めた河辺に建っている湯治宿を訪れたあとに読んだのでひとしお。 息子思いの父。 妹思いの宮沢賢治。

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2026/04/09

丸刈りに人民服めいた外套。椅子に腰かけ、やや俯きながらこちらを窺う視線――教科書で見慣れた宮沢賢治のあの写真に、私は長く違和感を覚えてきた。いかにも垢抜けない。作家というより、土にまみれて働く農民の風貌である。同時代の芥川龍之介や太宰治が漂わせる知性の陰影とは、あまりに趣が違う。...

丸刈りに人民服めいた外套。椅子に腰かけ、やや俯きながらこちらを窺う視線――教科書で見慣れた宮沢賢治のあの写真に、私は長く違和感を覚えてきた。いかにも垢抜けない。作家というより、土にまみれて働く農民の風貌である。同時代の芥川龍之介や太宰治が漂わせる知性の陰影とは、あまりに趣が違う。 では、その実像はどうだったのか。本書は、父・宮澤政次郎の視線を通して賢治を描き出す。 賢治が深く帰依した法華経の常不軽菩薩は、すべての人を敬い続け、罵倒や迫害を受けてもなお礼拝をやめない存在である。「雨ニモマケズ」に託された生き方も、その延長線上にある。また、羅須地人協会の活動を通じて、賢治は理想主義的なヒューマニストとして語られてきた。 だが、父の目に映る息子は、必ずしもそのような像に収まらない。 家業である質屋を継がず、農業や宗教、文学に傾いていく。社会的な成功や安定とは無縁の道を選び続けるその姿は、見方を変えれば「定まらない人生」にも映る。現代的な言葉で言えば、居場所を見出せないまま彷徨う青年である。 それでも政次郎は、賢治を手放さない。否、手放せない。資産家の父と、現実に適応しきれない息子――この構図は、時代を越えて繰り返される。近年の事件を引くまでもなく、親子の距離は容易に測れるものではない。 理想に殉じた聖者でもなければ、単なる夢想家でもない。賢治は、現実と折り合えなかった一人の人間である。 その不器用さこそが、作品の根にある。

Posted by ブクログ

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