京の絵草紙屋満天堂 空蝉の夢 宝島社文庫

三好昌子(著者)

• 販売会社／発売会社: 宝島社
• 発売年月日: 2017/09/06
• JAN: 9784800276056

商品レビュー

2024/08/02

他の方のレビューにもある通りなかなかの盛りだくさん。
最初はホンワカしたお話なのかなぁと思っていたらなかなかドロドロしている。
兄と妹の許されない恋や人斬りとしての惨殺、その人斬り集団の連続殺人等結構重い話でもあった。
それにしても、いろんな話に出てくるみんながたまたま京の町の、すごく近所にいすぎではないか？とは思ったけど。そうでなければ話は進まないんだろうけどね…f^_^;
そして行馬さん、モテすぎでしょ（笑）

2023/09/05

当時の文化を上田秋成などという大物を完全な脇役にしながら生き生きと紹介してくれる作品であるかと思いきや、一振りの刀をめぐる哀しくも清々しい物語でした。
有名な武将の逸話でもなく、江戸の人情ものや捕物帖でもない、オリジナリティの高い時代ものという観点では、葉室凛氏に通じるところがあるでしょうか。
これで三好さんの作品は2冊目ですが、是非他にも読んでみたいと思わせる良い一冊でした。

2023/01/10

一応過酷な過去が付与されてはいるものの、主人公の造形は現代劇では今時見られないような真っ直ぐなもの。所謂明朗時代劇と見なしていいだろう。お話の方は大体読者の想定内に収まるが、明朗時代劇ならそういうもの。ただ、大風呂敷を広げすぎたきらいがあって、お話のたたみ方は少しバタつく。黒幕など敵方にもほんとうの悪人はいない話なので、悪党ばらをバッタバッタと斬り倒すカタルシスには欠けるが、その代わりに読後感は爽やか。