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鬼平犯科帳 決定版(19) 文春文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
| 発売年月日 | 2017/09/04 |
| JAN | 9784167909284 |

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鬼平犯科帳 決定版(19)
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鬼平犯科帳 決定版(19)
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池波正太郎の連作時代小説『決定版 鬼平犯科帳〈19〉』を読みました。 池波正太郎の作品は先日読んだ『決定版 鬼平犯科帳〈18〉』以来ですね。 -----story------------- 双肌をぬぎ、太やかな腕を剥き出しにして、せっせと桶をつくる働き者のおろくは、息子の変事を...
池波正太郎の連作時代小説『決定版 鬼平犯科帳〈19〉』を読みました。 池波正太郎の作品は先日読んだ『決定版 鬼平犯科帳〈18〉』以来ですね。 -----story------------- 双肌をぬぎ、太やかな腕を剥き出しにして、せっせと桶をつくる働き者のおろくは、息子の変事をきいて顔色が変わった。 「これ、どうしたのだ?」「うちの子が、勾引(かどわか)されたんでございます」叫ぶようにいったおろくが、平蔵の手を振り切って家を走り出た。 ──幼児誘拐犯は、実の親か? 卑劣な犯罪を前にさすがの平蔵にも苦悩の色が……。 「霧の朝」「妙義の團右衛門」「おかね新五郎」「逃げた妻」「雪の果て」「引き込み女」の六篇を収めた力作短編集。 ----------------------- 文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1978年(昭和53年)12月号から1979年(昭和54年)7月号に連載された後1990年(平成2年)に刊行された作品……実在の人物である火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳、鬼平犯科帳シリーズの第19作です。 ■霧の朝 ■妙義の團右衛門 ■おかね新五郎 ■逃げた妻 ■雪の果て ■引き込み女 女密偵おまさは、万年橋から川面を見つめている女に気づく……以前、同じお頭の許で、「引き込み」をつとめた女賊のお元であった、、、 (さて、どうしたらよいものか?)おまさは迷うが、平蔵は、密偵たちの複雑な心境を理解していた(「引き込み女」)。 ほかに「霧の朝」「妙義の團右衛門」「おかね新五郎」「逃げた妻」「雪の果て」の全6篇を収録。 テレビドラマでもお馴染みの鬼平犯科帳シリーズ……原作となる小説も面白いです! 本作品の収録作では、 火盗改方に何かと協力を惜しまない御用聞き・富蔵とおろくの夫婦の息子・幸太郎が拐かされた! 幸太郎は富蔵夫婦の実の子ではなく貰い子だったことから、おろくは実の親で瓦焼き職人の吉造、おきねの夫婦を疑うが……親子の愛情が巧く描かれている『霧の朝』、 密偵・馬蕗の利平治に、盗賊・妙義の團右衛門が江戸での盗みをするために近付いてくる……しかし、利平治が密偵であることが妙義の團右衛門に知られてしまい、盗賊と火盗改方の化かし合いとなる、一体どちらに軍配が挙がるのか? 失敗(しくじり)をした平蔵の壮絶な仇討ちが、カタルシスのある結末を迎える『妙義の團右衛門』、 男が未練がましいのか? 女が男を狂わすような女なのか? 浪人・藤田彦七と夫と娘を残し、男とともに彦七の元から去った元妻りつを主人公に男女の複雑な関係を描いた『逃げた妻』、『逃げた妻』、 おまさが、過去に同じ盗賊のもとで引き込みをやっていたお元に偶然再会、お元は引き込みである店に入っており、この店の主に一緒に逃げないかと言われているが、盗賊の掟には背けないし、店の主を憎からず思っているし、この両者に板挟みにあい悩んでいた……お元の判断は? 皮肉な運命を描く『引き込み女』、 が印象的だったかな……連作短篇のカタチを取っており、1篇ずつでも愉しめるのですが、それぞれの短篇が繋がって大長篇としても読める構成なので、順番に読み進めると大河ドラマ的な愉しみがありますね。 平蔵を取巻く登場人物の存在感も幅広く、関係性も濃くなり、それぞれの人間味に深みがでてきて、巻が進むに連れてどんどん面白くなっていきますね……第20作以降も順次、読んでいこうと思います。
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ゆったりした描写もあるるんだけど、全体的にはなかなか厳しい話の運びかも。江戸時代って今よりもさらに明日の保証はまったくないから、その場の欲望に従ったり、すべてをなくすことを覚悟して生きていたのかな。 『霧の朝』 桶屋の亭主富蔵は町奉行所の御用聞きの手伝いをしている。そのため桶を...
ゆったりした描写もあるるんだけど、全体的にはなかなか厳しい話の運びかも。江戸時代って今よりもさらに明日の保証はまったくないから、その場の欲望に従ったり、すべてをなくすことを覚悟して生きていたのかな。 『霧の朝』 桶屋の亭主富蔵は町奉行所の御用聞きの手伝いをしている。そのため桶を作るのはもっぱら女房のおろくの仕事となっている。火付盗賊改方長官の鬼平も、この夫婦の働きを好ましく思っているのだ。 そんな富蔵とおろく夫婦が赤子の頃から養子にもらった幸太郎が拐かされた。実の親が攫ったのか、富蔵の働きで捕縛された盗っ人の恨みか。 冒頭が<髪の毛を無造作に櫛巻にして鉢巻をしめ、着物のもろ肌をぬぎ、手ぬぐいを縫い合わせた肌着からふとやかな腕を剥き出しにし、あぐらをかいたような座り方で左足のつま先で桶を抑え、桶の底をはめこむための細い瑞を掘っているさまは、到底、女とも思えぬ。だが、女であることに間違いはない。(P7)>という女職人おろくの生き生きした逞しさで始まるのが良いです。 最後のオチは、桶や家族にとっては良かったんだけど、もう一つの家族のほうは大丈夫だろうか…(^_^;) 『妙義の團右衛門』 馬蕗(ゴボウのこと)の利平治は、かつて盗賊の嘗役(盗賊に、ターゲットとなる家屋敷の図面や内情を調べて売る)だったが今では鬼平の密偵となっている。利平治は盗賊親分「妙義の團右衛門」を見かけた。團右衛門は地方を荒らし回っていたが、長谷川平蔵の評判を聞き「一度腕試しがしたい」と江戸での仕事に取り掛かっているのだ。利平治が密偵になっているなどと知らない團右衛門は、利平治に協力を求める。そして火付盗賊改方役宅に一味の者を紛れ込ませているというのだ! === 鬼平の使用人に手下を忍ばせるなど、なかなか面白い敵との知恵比べかと思ったら…、話の方向が厳しくなってしまった(-_-;) 『おかね新五郎』 鬼平は小料理屋で働く老婆に見覚えがあった。まだ鬼平が粗くれていた若い頃、スアイ(売女の一種)をしていたおかねだった。しかしおかねは小料理屋の客の後をつけて刃物で襲いかかったではないか! === 売女なんだが鉄火の女で、今では出世した鬼平にへりくだりながらも一本筋が通っているおかねが良い女。彼女となにかがあったらしい、鬼平の道場の先輩原口新五郎も良い男。 …しかし私には、鬼平たちが若い頃おかねに仕掛けた「いたずら」は笑えない…(-_-;) これは未遂だったけど、別んところでヤッてんじゃないのって思っちゃうよ、、、この時代はこういうことが公になったとしても「若いんだから☆」で済まされるただろうなあ(-_-;) 『逃げた妻』 鬼平の同心の木村忠吾には同じ店の酒飲み友達浪人の藤田彦七がいる。木村忠吾が同心であることは伏せてある。その藤田彦七から悩みを相談された。「二年前に子供をおいて他の男と出ていった女房りつから助けを求める手紙が来た。でも自分は後妻をもらっているのだ」という。 同心としての木村忠吾は鬼平に報告する。もしかして、りつはもしや盗賊の女になったが逃げ出したがっているのではないか? === 最後のオチが…、なにやってんのよ…(-_-;) 同心の中堅なのに、いつまでも「長谷川様の小坊主でいたいのに、最近他の同心をかわいがっちゃってさーー」とむくれる木村忠吾が一応の癒やしどころ。 『雪の果て』 前の『逃げた妻』の続きです。前の話のラストが(-_-;)な気分だったので続いてよかったけどさあ、やっぱり(-_-;)な気分… なにやってんのよ…(-_-;) 「雪の果て」という題名だけれど「行の果て」って感じ。 江戸時代って明日の保証はなにもないから、その場の欲望に全力になるものなのかなあ…(-_-;) 『引き込み女』 鬼平の女密偵おまさは、かつて盗賊の引き込みを勤めていたころの知り合いで女賊のお元を見かけた。今でも引き込みとしてどこかの店に入り込んでいるのだろうか?だが明るいお元の様子はどこかおかしい。もしかしたら盗賊暮らしに嫌気が差しているのではないか。鬼平に報告し、お元に声をかけたおまさは、お元から驚くような悩み事を打ち明けられる。 == 鬼平の密偵たちには「長谷川様のためには命をかけるが、この盗賊だけは売れない」という盗賊がいることがあります。鬼平もそれを承知で見逃します。 おまさは同じく女賊で仲も良かったお元の力になりたいけれど、簡単に自分の正体を明かすこともできないというジレンマがあります。 心苦しくも、よい短編だった。
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▼収録作品は以下。 霧の朝 妙義の団右衛門 おかね新五郎 逃げた妻 雪の果て 引き込み女 ▼「霧の朝」 平蔵馴染みの御用聞き(桶屋職人)夫婦がおり、男の子がいる。 実はこの男の子は、生まれてすぐにとある瓦焼き職人の夫婦が手放したもの。 桶屋夫婦は我が子として大事に育てている...
▼収録作品は以下。 霧の朝 妙義の団右衛門 おかね新五郎 逃げた妻 雪の果て 引き込み女 ▼「霧の朝」 平蔵馴染みの御用聞き(桶屋職人)夫婦がおり、男の子がいる。 実はこの男の子は、生まれてすぐにとある瓦焼き職人の夫婦が手放したもの。 桶屋夫婦は我が子として大事に育てている。 瓦焼き夫婦は、夫が酒に溺ればくちに溺れ身を持ち崩し、女房が泣く泣く赤ん坊を手放した。 ここまでが前段で、6歳くらいか?に育った男の子が、誘拐される。 これはお上の用事をしている桶屋への恨み。 このことを、ひょんなことから元瓦焼き夫婦、つまり実の親も知ることになる。 そんな前後の描写で、引用すると以下があります。 ## おろくが泣き崩れた。 隣家の女房が裏口から、 「おろくさん、どうしたんだよ」 叫びながら、駆け込んで来た。 仙台堀沿いの道に、赤蜻蛉が群れ飛んでいた。 血相を変えた富蔵が、親分の政七の家に走り向かっている。 ## <仙台掘沿いの道に、赤蜻蛉が群れ飛んでいた> この一文の置き方に、「うわっ」と胸打たれました。 なんかこう、4回転半ジャンプから静かに着氷した感じというか・・・・。
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