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シンパサイザー
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シンパサイザー

ヴィエト・タン・ウェン(著者), 上岡伸雄(訳者)

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シンパサイザー

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2017/08/25
JAN 9784152097026

シンパサイザー

¥770

商品レビュー

3.3

8件のお客様レビュー

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2023/09/13

北ベトナムのスパイをしている語り手の告白という形式で進む、ベトナム戦争の悲惨さを小説にした作品。サイゴン陥落など史実を元に語り手がどのように戦争を乗り越えていくのか描かれており、なかなか凄惨である。1ページに占める文字量が多く、文字の洪水のように語り手の告白を読むことになる。私が...

北ベトナムのスパイをしている語り手の告白という形式で進む、ベトナム戦争の悲惨さを小説にした作品。サイゴン陥落など史実を元に語り手がどのように戦争を乗り越えていくのか描かれており、なかなか凄惨である。1ページに占める文字量が多く、文字の洪水のように語り手の告白を読むことになる。私が知っているベトナム戦争はアメリカからの視点だったことに気づかされた。本書はベトナム側の視点でのベトナム戦争であり、新しい気づきがある。また、日本人よりはベトナム戦争当事者であるアメリカ人に刺さる作品になるだろう。

Posted by ブクログ

2021/09/21

参った。面白さがちっとも理解できなかった。一人称での語りを最初に目にした時点で悪い予感。更には登場人物が少ないのに誰がどんな人かよく理解できず。トドメは場面が変わって追想したりするがしまいには読んでて現在の話かどうかわからなくなった。普通の刑事物で口直しの必要あり。

Posted by ブクログ

2019/10/16

representされない人々。マルクスの記した言葉が、引用される度に異なる意味を響かせる。ヴィエト・タン・ウェンの「シンパサイザー」は微妙な立場に置かれた一人の「同調者」の告白文という形を取りながら個人を表現しない。かと言って集団を、組織を、国を表現するものでもない。人々を「代...

representされない人々。マルクスの記した言葉が、引用される度に異なる意味を響かせる。ヴィエト・タン・ウェンの「シンパサイザー」は微妙な立場に置かれた一人の「同調者」の告白文という形を取りながら個人を表現しない。かと言って集団を、組織を、国を表現するものでもない。人々を「代表する」とはいったいどういうことなのかをひたすら描いている。例えば「血液と石鹸」のリン・ディンの描いたものが歴史の中で翻弄される家族や個人を描いたものだとすると、ヴィエト・タン・ウェンの描いているのは文脈である筈の歴史そのものだ。その過程で、我々の認識不足のヴィエトナムの歴史が、彼ら自身によってrepresentされていなかったということをまざまざと知る。しかし文脈は移ろい易く、相対的なものでもある。その寄る辺なさが全編を通底する。 representされない人々がいること。北によって解放され統一された後でも、尚その実態は変わらない。1975年から1978年頃までの短い歴史の窓を通して、西洋と東洋を一つの身体に押し込め、北と南の両方の世界に通じる一人の男の目を通して、その事が訥訥と語られていく。 作者があとがきで語るように、物語の中で語られることのほとんどは実際に起きたことであり、比喩的に描き直されていたとしても現実にあったこと。謝辞の中で言及される夥しい参考書の数はすなわち史実を通して何かをrepresentしなければならないという作家の決意の表れでもあるのだろう。この小説は、単なるフィクションではなく、一次体験者による記録でもないが、主人公のように両側から物事を見ようとする作者が選び取った稀有な形態の小説だ。 歴史的な意味合いばかりを強調してしまいがちだが、全体はミステリー仕立ての構成となっていて、読むものは主人公が語りかけている相手、その更に上に立つものの存在、そしてそもそも何故主人公がこの境遇に留め置かれているのかを常に意識しながら読み進めることになる。主人公が留め置かれている場所がいわゆる「再教育キャンプ」であることは直ぐに認識出来る。北から南へ潜入させられていたスパイである主人公ならばその状況に陥ることも充分あり得る、とも理解できる。しかし主人公の告白する物語は彼自身を容易に祖国には連れ戻さない。何時、どうやって。投げ掛けられる疑問。それはじわじわと明らかになるのだが、本書は、そんなミステリーとしても練りに練られた小説、と言えると思う。 だが、だからこそ、この小説はどこか身体をすり抜けて行ってしまうところがある。正しくニュートラルであることは、間違って極端に主張することよりも、何かが弱い。リン・ディンの小説が訴え「人」の営みが、ここには感じられない。同調者というタイトルとは裏腹に個人的な共感や共鳴は起こらない。ひょっとすると、幼少の頃に祖国を離れた作者の思いがそこに滲むのかと構えていたが、そんな執着はほとんど無いようにみえる。それが物足りないように感じることは否めない。 にも関わらず、この物語の続きが描かれると聞けば読んでみたいと思ってしまう。それは自分自身の十年を捧げた国に対するシンパシーから来る心情ではないとは言い切れないが、小説としての魅力にやはり抗い難い。物語のセッティングには、解決されていない細々とした問いが幾つも残されたままであり、読むものはそれを説明するのが作者の務めであると思わざるを得ないのだ。ベトナムの、アメリカの、カンボジアの、ラオスの、風景と共に描かれる本音と建前のせめぎ合いの構図。そこに宿る狂気と切実。何もないことの重要性。そんなものが知らず知らずの内に深く胸に沁み入る。言葉の無力さを最後に見せつけながら。 しかし現代人である自分たちはこの展開が虚構であり、かつ真実であることを知っている。どう読もうともその事実から逃れることは出来ない。文脈に固定的な意味を与えることが決してできないように。

Posted by ブクログ

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