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プレヴェール詩集 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2017/08/21 |
JAN | 9784003751718 |
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プレヴェール詩集
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4.1
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この詩集は、プレヴェールの主要著作のうちの四つから、60篇余りを訳者が選り抜いて訳したものです。 プレヴェールはシャンソンの名曲『枯葉』の作詞家で他にもシャンソンの名曲をいくつも出がけており、他方、『天井桟敷の人々』や『霧の波止場』などの古い映画で脚本を担当した人です。まったく...
この詩集は、プレヴェールの主要著作のうちの四つから、60篇余りを訳者が選り抜いて訳したものです。 プレヴェールはシャンソンの名曲『枯葉』の作詞家で他にもシャンソンの名曲をいくつも出がけており、他方、『天井桟敷の人々』や『霧の波止場』などの古い映画で脚本を担当した人です。まったく知らなかったのですけど、フランスの国民的詩人だそう。1900年生まれ、1977年没(ついでながら言うと、僕が生まれた日の二日前に亡くなっていました)。読んでみて、わかるなあ、というタイプの詩はとてもおもしろかったです。 エンタメ的な柔らかくて甘い口当たりを期待してはいけません。とっつきやすい言葉が並んでいても、一文や単語同士の距離感による効果によって、読者が感じるものは、もっと尖ったものになっていると思います。 また、詩作というものはだいたいそういうものが多いですけれども、消費耐久性の高い感じがあります。何度読んでも味わいが褪せにくい。そして、その意味の飛躍に憧れながら読んでいると、何かが解放されていくような読み心地になりました。 死や殺し、暴力などがけっこうよく出てくるのだけれども、それらがないとこれらの詩は、茫洋としてしまうのかもしれない。表現における暴力は、それはそれでなにかを解き放つようです。なにを解き放っているのか? よく考えると、それは「生」なのかもしれない、と思えてくる。 「朝寝坊」という詩なんかはわかりやすくておもしろい種類の作品でした。「庭」という詩は、永遠の一瞬という言葉がでたあとに、パリのモンスリ公園でのくちづけがでてきます。「永遠の一瞬」と「くちづけ」これはイコールでつながりますよね。ウディ・アレン監督によるパリを舞台としたタイムトラベル映画である『ミッドナイト・イン・パリ』でも、主人公とヒロインがくちづけをしたとき、「永遠を感じた」というセリフがあったような覚えがあります。プレヴェールのこの「庭」が元ネタだったらおもしろいです。 あと、「はやくこないかな」という詩。このなかでの一節が個人的に笑えたので、引用しておきます。 __________ はやくこないかな しずかな一人ぐらし はやくこないかな たのしいお葬式 __________ →まったくそうだな! と思ってしまいました、不謹慎ながら 笑 訳者解説部にある、若きプレヴェールを評した、生涯の仲間となるデュアメルの言葉も引用しておきましょう。 __________ 「その驚くべき個性、ありとあらゆる因襲や権威にたいして反抗的な、絶えず沸騰している精神、そのすばらしい喋り方」(p273) __________ →活気ある精神、エネルギーに満ちて、なにかを創造するに違いない人、といった感じがします。 最後に、訳者・小笠原豊樹さんがプレヴェールの詩についてやさしく解説してくれているところを引用します。第二次世界大戦後に出版された詩集『ことば』などは、フランスで大ベストセラーとなったそうです。それをふまえて。 __________ プレヴェールの詩を読んで味わうには、なんらかの予備知識や、専門的知識や、読む側の身構えなどがほとんど全く不必要であるからです。プレヴェールの詩はちょうど親しいともだちのように微笑を浮かべてあなたを待っています。それはいわば読む前からあなたのものなのです。(p281) __________
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プレヴェールを味わうには、わたしの中身がまだ追いついてないな、と感じた。 知識不要だよって言いながらずっとにこにこして手をこまねいてるけど、わたしがその世界に入り込めない感じ。 p.23「劣等生」 p.178「祭」 p.210「とかげ」 p.96「夜のパリ」 三本のマッチ 一本...
プレヴェールを味わうには、わたしの中身がまだ追いついてないな、と感じた。 知識不要だよって言いながらずっとにこにこして手をこまねいてるけど、わたしがその世界に入り込めない感じ。 p.23「劣等生」 p.178「祭」 p.210「とかげ」 p.96「夜のパリ」 三本のマッチ 一本ずつ擦る 夜のなかで はじめはきみの顔を隈なく見るため つぎはきみの目をみるため 最後のはきみのくちびるを見るため 残りのくらやみは今のすべてを想い出すため きみを抱きしめながら。
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スタンドバイミー、グリーンマイルを世に送った小説家スティーヴン・キングは自身の著作でこう語った。「文章とは言葉を使ったテレパシーである(要約)」と。 この言葉を真に受けるなら、このテレパスをプレヴェールほど上手く使いこなす人を私は見たことがない。 極限まで削ぎ取られた短い言葉に、...
スタンドバイミー、グリーンマイルを世に送った小説家スティーヴン・キングは自身の著作でこう語った。「文章とは言葉を使ったテレパシーである(要約)」と。 この言葉を真に受けるなら、このテレパスをプレヴェールほど上手く使いこなす人を私は見たことがない。 極限まで削ぎ取られた短い言葉に、ときに身も凍るような冬風の冷たさが、ときに直の太陽を浴びるよりも燦々とした輝きが、そしてときに冷たさにたまらず熾したマッチひとつ分の仄かな温かさが、読み上げた端から頭の中に情景として広がっていくさまは見事としか言いようがない。 プレヴェールの言葉選びとそれをどう組み合わせれば自分が見た・想像した物と同じ物が相手の内にできるかという計算もさることながら、訳者もまたそのプレヴェールの意を汲み、さまざまな言の葉の中から洋服を組み合わせるかのようにぴったりな言葉同士を多種多様な日本語の内から選び出して、国や言葉を越えた感動をこうして私たちの前に提供していただけたことにひたすら平伏する他なく、陰ながらも決して無視できない職人技だ。
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