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社会科学の考え方 認識論、リサーチ・デザイン、手法
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 名古屋大学出版会 |
発売年月日 | 2017/06/01 |
JAN | 9784815808761 |
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商品レビュー
4.5
3件のお客様レビュー
リサーチデザインや研究の方法論の本は、試行錯誤しながらこれまで数冊読んできた。そのうちの経営学分野でよく用いられる田村(2006)は、解説が淡白であり無駄なくその技術を紹介している文献と感じていた。他方、本書『社会科学の考え方:認識論、リサーチ・デザイン、手法』の特色は、研究につ...
リサーチデザインや研究の方法論の本は、試行錯誤しながらこれまで数冊読んできた。そのうちの経営学分野でよく用いられる田村(2006)は、解説が淡白であり無駄なくその技術を紹介している文献と感じていた。他方、本書『社会科学の考え方:認識論、リサーチ・デザイン、手法』の特色は、研究について研究する側の認識論を見極めたり確認したりする作業を経た上で、その後で採用する手法を選択できるよう、工夫が凝らされている点にある。認識論は「『我々は世の中をどのように認識することができるのか』という問いに関する考え方」(p.1)であり、研究上の問いの設定の根本を押さえた上で、後の手順を踏む構えになっている。 認識論の前提にある存在論で大切なのは、「基礎づけ」主義かどうかであり、基礎づけは「私たちの知識や考えは、強固な疑いようのない真実という基礎の上に組み立てられているとみなす」(p.13)と立場である。私が今後進めようとしている研究は、存在論における基礎づけ主義に立ち、実証主義か批判的実在論のどちらかが選択されるものと捉えている。前者は事象の関係(相互関係や因果関係)を検討し、後者は目に見えない構造を説明すること(p.14)を主たる目的としている。批判的実在論は「我々が目にする出来事や現象、各主体の行為は、その背後に持続的に存在する構造、つまり個人・集団間の諸関係によってもたらせられる」(p.25)と考える枠組みとしている。別の論者は、「社会的メカニズム・社会構造が構成されるときに知識が関与していることを強調し,また説明を普遍的なメカニズムによらず歴史化されたメカニズムから説明する実在論」(伊賀2012)と説明している。この理論を、執筆者は対象としている大学群に当てはめようと思案している。 試しに批判的実在論をヒントにして博士論文の分析枠組みを構想して、指導教員と議論したところわりと反応がよかった。端折ると以下のような感じである。 A)分析対象としている教育は、政策文書を含めた理念論や限られた事例によって語られることが多かった[背景]。 B)他方、現状分析する限り、ある特性が確認できる。その機能の中心にはある概念が厳然と存在している[現実]。 C)そうした現状の背景には、各大学の体制や事情があるはずである[経験]。 D)以上から、各大学の体制や仕組みが、分析対象としている教育を実体化させ、その特性を形成している構造があるのではないか[実在]。 本書によれば、人間社会は「様々な要因・メカニズムが重なった結果を知覚したもの」(p.26)というとしており、社会の中のごくわずかな対象にクローズアップしてみても一部の「経験」を観察しているだけで、これのみでは一般化に程遠い。背景構造を理解せずに本質的な問題解決に至らない、という主張が記されている。 批判的実在論の研究は、量的研究と質的研究を併用できるのがおもしろく、取り入れたいと思った理由の1つだった。例えば、「統計データの分類に使われる概念は、調査当時のドミナントな見方を反映しているが、その概念がどのように抑圧的な構造と結びついているかという視点から、批判的・理論的に考察して、違う概念をもたらすような形で扱われる」(p.29)とのことだ。 以上の批判的実在論の他は、事例研究における事例選定の方法、インタビュー(半構造化・非構造化)の導入と、コード化(記述的・理論的・推論的)といった箇所が参考になった。 https://niigata-u.repo.nii.ac.jp/records/26695#.YQ9uR4j7S70
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2021.43 ・方法論=認識論+リサーチデザイン+手法 ・存在論としての基礎づけ主義と反基礎づけ主義 ・認識論としての実証主義、批判的実在論、解釈主義
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卒業論文の執筆や卒業研究を行う際、場合によっては「どういう手法を使って自分の立てた問いにアプローチするのか」を考える必要があると思います。インタビューや統計分析といった具体的な手法の選択はもちろん、人によっては存在と認識、いわゆる方法論について考える必要があるかもしれません。 ...
卒業論文の執筆や卒業研究を行う際、場合によっては「どういう手法を使って自分の立てた問いにアプローチするのか」を考える必要があると思います。インタビューや統計分析といった具体的な手法の選択はもちろん、人によっては存在と認識、いわゆる方法論について考える必要があるかもしれません。 今回紹介する本は、特に社会科学分野の方がこうしたことを考える際の1つのとっかかりになると思います。これ一冊を読んでおけば大丈夫という訳ではないですが、手法や方法論に関して少し考える材料が欲しいというときに、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。 (ラーニング・アドバイザー/国際(政策) WATANABE) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/3421461
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