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彗星パンスペルミア 生命の源を宇宙に探す
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 恒星社厚生閣 |
発売年月日 | 2017/05/01 |
JAN | 9784769916000 |
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彗星パンスペルミア
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いただきものを拝読。 何やらSFかスピリチュアルかと思うタイトルだが、生命の起源に関する話である。 パンスペルミアとは、ギリシャ語で、ありとあらゆるところにある(pan)種(spermia *英語の精子(sperm)も同じ語源である)を指す。 現在、生命の発生については、無機ガ...
いただきものを拝読。 何やらSFかスピリチュアルかと思うタイトルだが、生命の起源に関する話である。 パンスペルミアとは、ギリシャ語で、ありとあらゆるところにある(pan)種(spermia *英語の精子(sperm)も同じ語源である)を指す。 現在、生命の発生については、無機ガスの集まりから、紫外線や放電などのエネルギーにより、有機物が生じ、「原始のスープ」状態からアミノ酸や核酸などの生物の基本単位が生成され、生物が生まれるに至ったとする説が主流となっている。 もちろん、長時間を要する現象であるため、証明されたわけでも再現されたわけでもない。おそらくそうであろうと考える人が大半であるという程度だ。 一方で、この説に異を唱える研究者もいる。著者もその1人だが、著者とともに、この説を強力に主張したのはフレッド・ホイルだ。天文学者でもあり、SF作家でもあったホイルは、太古の地球で「原始のスープ」から生命が誕生したというのは、”がらくた置き場の上を竜巻が通過し、その中の物質からボーイング747が組み立てられるのと同じくらい”確率的にありえない、と主張した。ではどのように誕生したのか。それは彗星が運んできたのである。 とはいえ、宇宙人が彗星に乗ってやってきたと言っているわけではない。彗星が運んだのは、微生物やウイルスだというのが彼らの主張である。 つまり、宇宙のありとあらゆるところにある生命の種が、彗星によって地球にもたらされたのだという仮説が、パンスペルミア説ということだ。 それをできる限り「科学的に証明しよう」というのが本書の主旨なのだが、さて、それには成功しているのだろうか。 ぱらぱらめくるとグラフや写真が多く、論理的な記述なのかと思うわけだが、個人的な結論から言うと、本書を読んでも「パンスペルミア説」はまったくあり得ない説ではないという傍証を積み上げたようにしか受け取れなかった。 この説のアドバンテージは1つ。地球45億年では無理かもしれないことが、宇宙138億年の歳月をかければありえたかもしれないという時間的拡張と、小さな地上では無理でも広大な宇宙ならどこかで起こるかもしれないという空間的広がりによる、可能性の増加だ。生命の種子が誕生し、それが彗星に乗ってやってくるということは「あり得る」ことかもしれない。それを否定する証拠は今のところない。 となれば、あとは積極的にこの説を支持する具体的能動的な証拠が出てきたときに、それを排除しない姿勢を持てばよいだけではないのか? 著者がしようとしているのは、その枠を超えて、牽強付会であるように感じられる。監修者(パンスペルミア説自体には好意的)が時折、冷静な突っ込みを入れているが、特に後半に向かうにつれ、自説の押し売りが強まる感がある。 このテーマで仮説を自由に展開したいのであれば、むしろ科学をベースとするよりも、SF小説で自由に羽ばたいたらよいのではないだろうか。ネタになりそうなトピックはいくつもありそうだ。 以下は本書とはあまり関係がないのだが、「通説にとらわれない」本書の姿勢に励まされたということで、昔から疑問に思っていることを書いてみる。 生命、生命というが、現在地球上で見られる生命ともっとかけ離れた「生命体」というのは考えられないものだろうか。例えば炭素骨格を使わない、例えば酸素を呼吸しない、例えばクエン酸回路を使わない、例えばATPをエネルギーの基本単位として使わない、例えばセントラルドグマ(DNA→RNA→タンパク質)にとらわれない、まったく別の構造体。外界から区切られていて、自律複製能を持ち、代謝が可能であればよいのなら、現在の地上の生命体とまったく違う体系の生物が存在していてもよいのではないか。 そういう意味では、後の方にちらりと触れられていたリン酸、つまりDNAを持たない細胞の存在が「もしも」証明されるのであればなかなか興味深いと思う。 現在知られているものと全く異なる生命体系が存在するには宇宙138億年は短すぎるかな・・・?
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