全国鉄道事情大研究 北海道篇

川島令三(著者)

• 販売会社／発売会社: 草思社
• 発売年月日: 2017/04/01
• JAN: 9784794222749

商品レビュー

2020/09/13

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2019/04/08

北海道の鉄道は札幌付近を除いて、おしなべて元気がない。いや、瀕死の状態と申しても過言ではありますまい。
北海道新幹線は苦戦が伝へられてゐます。フル規格新幹線で、今まで失敗したところはないのですが、流石に首都圏から時間がかかり過ぎですね。
札幌まで延伸されたら少しは好転するでせうが、それまで待つてゐられませんね。いい加減に整備新幹線の最高速度２６０km/ｈはやめませんか。世界の趨勢は３００km/ｈ超が常識になつてをります。将来的に、東京－札幌間が４時間を切れば航空機との競争相手としての権利を得るでせう。現状ではライヴァルといふのは烏滸がましすぎます。

それにしても、目次を見ると北海道の路線はこれだけになつてゐるのかと、改めて慨嘆します。近い将来、更に廃線が進むと予想されます。過疎線の救世主と期待されたDMVも開発中止になつてしまつたし。
これらの過疎線について、川島氏の主張は、大きく言つて、①上下分離②観光路線化③冬期休暇（除雪費が経営を圧迫してゐる為）の三点ですかね。

①については、こんな大赤字線たちを引き受ける会社が現れるか疑問であります。②の観光列車を走らせる案は、沿線に魅力的な観光地がないとやはり難しいのでは。③については、冬期は道路が閉鎖になるところが多いので、むしろ冬こそ鉄道の重要度が増すと思はれます。
川島氏も承知の上とは勘考します。何もしなければただ廃線を待つのみですので、せめて何か方策を......といふ思ひからくる提言だと。

しかし宗谷本線にシベリア鉄道が乗り入れる話は、ロシアのトップが話したのではなく、運輸次官が「日本側と協議してゐる」と述べたのみであります。夢物語としては面白いけれど、真面目に取り上げる案件ではありませんね。

といふ訳で、後ろ向きの話ばかりの北海道篇でした。

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