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愛憎の檻 獄医立花登手控え 三 文春文庫
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愛憎の檻 獄医立花登手控え 三 文春文庫

藤沢周平(著者)

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愛憎の檻 獄医立花登手控え 三 文春文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2017/04/07
JAN 9784167908348

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愛憎の檻

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商品レビュー

3.7

8件のお客様レビュー

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2021/10/18

藤沢周平は海外ミステリのファンということで知られている。獄医者という、犯罪者を取り締まる側にも被害者にもならぬ、人間として接せざるを得ない立場に主人公を置くという秀逸な設定は、海外ミステリから題材を採ったのではないかと当たりをつけていろいろ検索した。見つけ切らなかった(最近の「プ...

藤沢周平は海外ミステリのファンということで知られている。獄医者という、犯罪者を取り締まる側にも被害者にもならぬ、人間として接せざるを得ない立場に主人公を置くという秀逸な設定は、海外ミステリから題材を採ったのではないかと当たりをつけていろいろ検索した。見つけ切らなかった(最近の「プリズン・ドクター」という海外ドラマはある)。70年代までのミステリで、そういう小説が有ればぜひぜひ教えてもらいたい。 違う設定で考えると、日本の時代小説にはお手本がある。山本周五郎「赤ひげ」である。底辺にいる市井の人々と、修行中の医者との組み合わせである。ただし、立花登には赤ひげはいない。ほとんど仁術は行わない。立花登は、弱い者の立場に立つ普通の医者であり、たまたま柔術の達人なので、危ない橋を自ら渡るのである。 お陰で、本書には6篇もの短編があるが、全てあっという間に解決している。文春文庫版の表紙にはそのうちの一編「片割れ」の一場面が描かれているので少し紹介すると‥‥。 登の獄医の非番の日、叔父夫婦が出かけているので羽根を伸ばしていると、急患がやってくる。見るからに人相の悪い男の刀傷の手当だった。その後、登は牢獄で破傷風の男の手当てをする。見ると同じような刀傷で日にちも一致しているし、男の片割れは今は逃走中だという。だとすると、人相を見た登と従姉妹のおちえの身が危ない。登はあの手この手を使い、男の片割れを割り出す。襲ってきた片割れと登は対決をするのだが、思いもかけない事実が‥‥。 表紙の右側にいる娘がおちえである。いっときは不良娘とつるんだり、叔母に習って登を呼び捨てにしたり、どうしようもない小娘だと登も思っていたのだが、1巻目で危機一髪を救って以降かなりしおらしくなる。表紙のように登の指示に従って湯桶や焼酎を持ってくるなど、前は考えられなかった。未だに登は小娘と思っているが、ふと大人の(美人の)顔を見せたりする。この辺りがエンタメ藤沢周平の上手いところ。 犯罪者にはそれぞれの人生があり、藤沢周平は行間にそれらを埋め込む。蓋し、何度読んでも退屈しないのは其の為である。

Posted by ブクログ

2021/08/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

202104/時代連作集「立花登」シリーズ全4巻まとめて。事件解決的にはワンパターンだけど、風景や心情などの描写が素晴らしく、こういう表現の仕方もあるのか、と文章に引き込まれた。結末や罪人・被害者に救いがない展開もあったり全体的に暗めのトーン、謎解決を楽しむというより、事件を通して主人公の成長や人の世のやるせなさを見ていく感じ。主人公は当初想像してた清いさわやか青年というのではなく、割り切りや若者らしい図々しさもあったり人間臭くて面白い。(あそこで抱いちゃうのか!という展開には驚かされた…笑。)

Posted by ブクログ

2021/04/11

 藤沢周平「愛憎の檻」、獄医立花登手控えシリーズ№3,2017.4発行。秋風の女、白い骨、みな殺し、片割れ、奈落のおあき、影法師の連作6話。第3巻は読み応えがありますが、著者はなかなかハッピーエンドにしてくれませんね。「白い骨」は牢を出て17年ぶりに女房おむらと再会、これからとい...

 藤沢周平「愛憎の檻」、獄医立花登手控えシリーズ№3,2017.4発行。秋風の女、白い骨、みな殺し、片割れ、奈落のおあき、影法師の連作6話。第3巻は読み応えがありますが、著者はなかなかハッピーエンドにしてくれませんね。「白い骨」は牢を出て17年ぶりに女房おむらと再会、これからという時に殺された辰平。「奈落のおあき」は、獄中の嘉吉から5つの女の子が病気と聞き、登と叔父の二人で懸命に娘を治療して治った矢先、嘉吉は牢内で殺される。記憶には残りますが、切ない話です。登とおちえが段々いい仲になっていくのが救いですw。

Posted by ブクログ

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