シャープの中からの風景 シャープ社員がブログに綴った3年間

元シャープ社員A(著者)

• 販売会社／発売会社: 宝島社
• 発売年月日: 2017/03/01
• JAN: 9784800267788

商品レビュー

2020/09/01

シャープが深刻な経営危機に陥ってから、鴻海精密工業の出資を受け入れるまでの、シャープ社員のブログ。

筆者はこのブログでシャープへの提言よりも、日本企業の大企業病に警鐘を鳴らしたかったのだなと思う。

液晶という過去の栄華と大企業ならではの体質を捨てきれないために、ジワジワと時間とともに首を絞められていく感覚にもどかしさを感じた。

個人の生き方としても見習うべきところはあった。
・実より名を取ると失敗する
・成功体験に過度に固執すると効果的でない打ち手になる。
など、、、

2017/07/07

　2000年代後半の就職活動において、電気系学生からのシャープの人気は高かった。
　太陽光発電事業において、太陽パネルの生産量をドイツのQセルと競い合い、生産量世界一を誇っていた。
　しかし、当時世界一位二位を争った会社はともに他国メーカーの出資を受けて何とか名前が残り生きながらえる存在になった。

　大企業も一瞬で零落する。
　そのとき社員は何をやっていたのか。
　零落の原因は社員の怠惰か、技術力の低下か。
　いや、凋落の間も社員は各自の努力を続けていたし、技術力は世界トップレベルを保っていた。

　シャープ凋落の原因はマネジメントにある。
　経営判断の失敗がシャープの凋落を決定付けた。
　その失敗を社員のせいにはできないはずが、経営層の責任が追及されずに延命した結果がこれだ。

　日本の電機業界の低迷が注目されている。
　百年企業があっけなく消滅する。
　経営層はビジョンを掲げろ。
　ビジョンに対する方向性を示せ。

　もしもに備えて社員ができることは、常に牙を研ぎ続けることだ。
　人生の選択肢を会社に預けきってはいけない。