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血と肉
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血と肉

中山咲(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2017/01/30
JAN 9784309025407

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商品レビュー

3.2

7件のお客様レビュー

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2024/02/10

 ̄月は昨日とおなじ、ぎんなんのようにぷっくりとふくれて浮かんでいた。(P.16) 暮れかけた世界は、藍色とオレンジを水彩でまぜたみたいに、うつくしくにじんでいる。(P.67) 空にはぎんなんのように、不恰好に太った月がうかんでいた。あたりはすっかり夜だ。(P.81) それなりに...

 ̄月は昨日とおなじ、ぎんなんのようにぷっくりとふくれて浮かんでいた。(P.16) 暮れかけた世界は、藍色とオレンジを水彩でまぜたみたいに、うつくしくにじんでいる。(P.67) 空にはぎんなんのように、不恰好に太った月がうかんでいた。あたりはすっかり夜だ。(P.81) それなりに苦労のあとがある。歳月のすぎさりも。そして得体のしれない憂鬱をぶらさげて、ただじっとわたしのことを見る。(P.135) 海沿いの古いホテルで働くことになったみつみ。「人間はみな罪を犯して生きている」という頼子さんの言葉を信じ、行き場の無い感情を出さずにいる登場人物たちの閉塞感。みつみは母に全てを縛られて生きてきて、今度は自分が母になるという時、どんな母親を理想として思い描くのだろう。たんたんと、みつみのホテルで働き、あるカメラマンと出会い、不倫相手の家に行き、別れを告げる様子がえがかれている。かつて自分を縛りつけ、勝手に死んだ母。そして、頼子さんもまた、義母に虐げられ、夫にも手をあげられ、自分を守るために夫を殺していた。罪と許しという大きなテーマの中で隠していた、思い出さないようにしていた過去が明るみになった時、みつみと頼子さんの交わってはいけない運命が重なってしまう。女は唯一、子が産め、神聖な聖母のような描き方もされているが、子を守るためなら他人を殺すこともでき、強い生き物であり、男より執念深く、恐ろしい生き物でもある。自分が殺した女の横で出産をするという生と死の対比、死体から流れ出る血液の赤と、出産の赤の対比が美しくも残酷であり、インパクトのある終わり方で頭に残った。

Posted by ブクログ

2021/05/18

舞台は東京から半日掛かる田舎の古ぼけた海辺のラブホテル「コート・ダジュール」 不倫相手の子供を身ごもり、一人で生む決意をした高橋 光海(たかはし みつみ)が主人公です。 凄く大きな出来事は起きないまま、ホテルに連泊しに来た客、カメラマンの石岡琢磨との出会いがあったり ホテ...

舞台は東京から半日掛かる田舎の古ぼけた海辺のラブホテル「コート・ダジュール」 不倫相手の子供を身ごもり、一人で生む決意をした高橋 光海(たかはし みつみ)が主人公です。 凄く大きな出来事は起きないまま、ホテルに連泊しに来た客、カメラマンの石岡琢磨との出会いがあったり ホテルの一室で聖書の勉強会があったり、物語は淡々と過ぎて行きますが そこからは想像が付かなかった壮絶なラストが待っていました。 タイトルからイメージしたグロテスクな描写も少しあり、インパクトが残る作品でした。

Posted by ブクログ

2019/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

生まれながらにしての罪と許し。 不倫相手の子を妊娠し、相手の家庭を壊して逃げるようにラブホの住み込みの仕事をすることになったみつみ。 雇い主の頼子さんが行なっている怪しげなミサに参加して 頼子さんが言うには、人が抱えている罪と、それを神に許してもらうことができるということだった。 子供だった頃、絶対的な存在だった不安定な母によって 窮屈な日々を過ごしてきた記憶。 あっけなく関係が壊れていった不倫相手とめちゃくちゃにしてきたその家族のこと。 日に日に大きく成長していく腹のなかの子供。 温厚で物静かな頼子さんが、実は昔に旦那を正当防衛で殺していたことを知ったみつみ。 最後がなんとも、びっくり。 人の弱さを信仰することによって保つことは、それはそれでありだけど 子供という逃げ場のない存在にそれを押し付ける行為って、ゾッとするね。 そして、女って生き物は執念深く、強い。

Posted by ブクログ

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