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質的社会調査の方法 他者の合理性の理解社会学 有斐閣ストゥディア
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 有斐閣 |
発売年月日 | 2016/12/01 |
JAN | 9784641150379 |
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質的社会調査の方法
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◾️他者の合理性を理解する こうした、私たちにはあまり縁のない人びとの、一見すると不合理な行為選択の背後にある合理性やもっともな理由のことを、ここでは「他者の合理性」という言葉で表現したいと思います。社会学、特に質的調査にもとづく社会学の、もっとも重要な目的は、私たちとは縁のな...
◾️他者の合理性を理解する こうした、私たちにはあまり縁のない人びとの、一見すると不合理な行為選択の背後にある合理性やもっともな理由のことを、ここでは「他者の合理性」という言葉で表現したいと思います。社会学、特に質的調査にもとづく社会学の、もっとも重要な目的は、私たちとは縁のない人びとの、「一見すると」不合理な行為の背後にある「他者の合理性」を、誰にもわかるかたちで記述し、説明し、解釈することにあります。 質的調査の社会学の仕事は、いろいろありますが、つきつめて考えると、この「行為の合理性の理解」ということに尽きます。人びとの行為や相互行為、あるいはその「人生」には、必ず理由や動機が存在するのです。その行為がなされるだけの理由を見つけ出し、ほかの人びとにもわかるようなかたちでそれを記述し説明することが、行為を理解する、ということです。理由や動機の多くは、当事者にとっての「利益」や「利得」、あるいは(経済学の用語でいえば)「効用」というものに結びついています。もちろんこの行為や利得というものは、単に金銭的な利益なのではありません。それは非常に広い意味において使われています。 ◾️参与観察の視点 私は参与観察とは、特定の人びとの視点に依拠して物事を捉える営みだと考えています。… このように参与観察とは、フィールドのあらゆる関係者を万遍なく扱うのではなく、特定の人びとに観察の視点を係留してそこから調査を開始する営為だと思います。複数の視点を超越した地点から、第三者的に物事を捉えるものではないのです。では参与観察は、恣意的な視点に基づいた恣意的な観察なのかと言われると、それは違います。なぜなら、参与観察の重要な著作の多くは、特定の人びとの視点に立って物事を観察しながら、同時にその成果がどのような人びとの視点を経由したものであるかを自己言及的に記述するからです。 ◾️インタビューに関する2つのアドバイス …ひとつは、「頭のなかに情景を描きながら聞く」ということと、「なるべくそのときの感情や印象を聞く」ということです。頭のなかに情景を描きなが聞くと、その「絵」の足りないところを埋めていく感じで、かなり具体的な質問をすることができます。それから、これも繰り返しになりますが、たとえば学校のことを聞くときでも、何年にどこのどういう学校に入ったか、という事実だけを聞くのではなくて、その学校でどういう時間を過ごしたのか、主観や感情や印象に関することをじっくりと聞いてください。 … もうひとつ、インタビュー中に気をつけなければならないことで、とても大切なことがあります。それは、語り手の語りを絶対に否定しない、ということです。これはとても、とても重要なことです。私たちは、議論をするために誰かにインタビューするのではありませんし、ましてや、相手の考えの間違っているところを指摘して、言い負かしてしまうということは、聞き手の行為としては最低のことです。たとえ相手が犯罪者でも差別者でも、その語りや意見をその場で否定したり、言い返したりしてはいけません。あるいは、相手の生き方や価値観の間違っているところを、上から否定して説教したりアドバイスしたりしてもダメです。
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質的社会調査、社会学の入門書である。大学院に在籍しながら、「調査」の仕方を勉強してこなかった自分にとって、とても良い入門書となった。 ただそこにあるのは、ノウハウではない。「他者の合理性の理解社会学」と副題がついたことからも想像できるように、著者3名の経験に基づいて調査を通して同...
質的社会調査、社会学の入門書である。大学院に在籍しながら、「調査」の仕方を勉強してこなかった自分にとって、とても良い入門書となった。 ただそこにあるのは、ノウハウではない。「他者の合理性の理解社会学」と副題がついたことからも想像できるように、著者3名の経験に基づいて調査を通して同社会と関わるか、が書かれていて、教科書にありがちな無味乾燥さはない。読み物としても抜群に面白い。 あとがきに「『社会調査』である限りは、人びととのコミュニケーションの中で鍛えられ、試され、厳しく批判される」とある。この一節がこの本全体を貫く思想になっていると思う。 論文のテーマを再構築していこうとする中、非常に有意義な本であったが、それにはとどまらない、さまざまなことを考えさせられた。
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有斐閣なのでフィールドワークの教科書という位置づけであるが、研究者のインタビューの関わりがとても丁寧に具体的に書いてあるので、フィールドワークについて書かれた教科書の中で最も面白い本の一つである。 質的調査の領域の説明をすべて網羅しているわけではないが、フィールドワークをどのよ...
有斐閣なのでフィールドワークの教科書という位置づけであるが、研究者のインタビューの関わりがとても丁寧に具体的に書いてあるので、フィールドワークについて書かれた教科書の中で最も面白い本の一つである。 質的調査の領域の説明をすべて網羅しているわけではないが、フィールドワークをどのようにすればいいのだろうかということについては、学部生から修士の院生、博士論文を書こうとしている院生まで全ての学生に役立つと思われる。
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