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ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か 中公新書2410
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ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か 中公新書2410

水島治郎(著者)

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ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か 中公新書2410

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2016/12/01
JAN 9784121024107

ポピュリズムとは何か

¥715

商品レビュー

4.3

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2026/01/12

【内容】 ポピュリズムについて、その性質と背景、各国での発展史(南北アメリカでの誕生、西欧での広がり)と既存政治への影響とその対応、リベラリズム的ポピュリズムによる排外主義の展開、そのグローバルでの広がりについて、わかりやすくまとめている。ポピュリズムを民主主義の破壊者とだけ見る...

【内容】 ポピュリズムについて、その性質と背景、各国での発展史(南北アメリカでの誕生、西欧での広がり)と既存政治への影響とその対応、リベラリズム的ポピュリズムによる排外主義の展開、そのグローバルでの広がりについて、わかりやすくまとめている。ポピュリズムを民主主義の破壊者とだけ見るのではなく、21世紀のポピュリズムが直接政治参加やリベラル的価値観を重視している点や、硬直化した既成政治を活性化させる効果をもつ点に筆者は着目している。 筆者はポピュリズムの「解放の論理」と「抑圧の論理」の二面性が、その功罪を理解する上で重要になると説く。ポピュリズムは『普通の(対エリート)、一体である(対多元主義)我々(排外主義)人民による、既得権益を貪るエリート(と彼らは考える)の打破』を訴える、左右ではなく下から上への反撃、攻撃である。南アメリカにおいては地主や大企業トップら一握りのエリートに対する平等を求める運動の契機となり国家機能の大幅拡大とそれによる特権削減、再分配、国有化等の政治変革をもたらした「解放の論理」として機能した。一方で既に福祉国家として再分配の仕組みが機能している西欧においては政治エリートだけでなく、再分配による便益を享受する移民、難民、生活困窮者等も特権層と規定されてしまい、それらへの攻撃につながる「抑圧の論理」として働いてしまっている。またエリートにおける多文化主義的傾向も敵となってしまい、それらに対する攻撃にも繋がっている。 最後に著者は3つの重要な知見をまとめている。1つ目はポピュリズムの「リベラル」な価値観に基づく排除の理論の正当化と「デモクラシー」の人民の意思実現を重視する面(なお別の側面としては手続きの正当性を重視する立憲主義的な面)を強調して政治への直接参加(住民・国民投票)を希求する姿勢。2つ目はポピュリズムはカリスマ的指導者による一過性の傾向ではなく、持続性を持った現象である点。3つ目はポピュリズムが既存政党に対して危機感を与えることでもたらす改革競争と社会の再活性効果。 ポピュリズムは法治国家の枠内であれば大衆の不満を表出する安全弁として機能する一方で制御不能になる危険性も孕んだ、デモクラシーにとっての「内なる敵」だと筆者は指摘する。 【感想】 ポピュリズムに関する概説書として非常にわかりやすく理解しやすく、大変勉強になった。政治情勢理解の助けに大いになると思う。一方でわかりやすさ故に単純化しすぎている面もあるのではないかと感じると部分もあった。個々の事象についてより深掘りして勉強したい。 投票により国民の意見を直接的に反映する姿勢は、そのわかりやすさと解決の容易さから一見民主的かつ合理的に見える。しかしその濫用は議論の欠如と多数派の論理の押し付けにも繋がりうる。権力の制限と手続きの正当性を重視する民主主義の立憲主義的側面は、その重要性を再評価されるべきでだと考える。 ポピュリズムの伸長の背景には、エリートの富の増大から取り残される大衆の不満がある。ポピュリズム、格差の拡大、反グローバリズム、排外主義、科学の否定…。現代の様々な問題は密接に関係して複雑に絡み合っている。

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2025/12/17

素晴らしい書籍。イギリスのEU離脱やトランプ旋風など、極右で反民主主義的な集団というイメージであろうポピュリズムについて、事例も含めて、すごく腹落ちする言語化をしてくれた。 ポピュリズムは解放パターンと抑圧パターンが存在、右派や左派でなく「下」からの動きである、とかなるほどなぁー...

素晴らしい書籍。イギリスのEU離脱やトランプ旋風など、極右で反民主主義的な集団というイメージであろうポピュリズムについて、事例も含めて、すごく腹落ちする言語化をしてくれた。 ポピュリズムは解放パターンと抑圧パターンが存在、右派や左派でなく「下」からの動きである、とかなるほどなぁーと目から鱗の良書でした。

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2025/11/17

本書『ポピュリズムとは何か』は、政治の世界で頻繁に語られる「ポピュリズム」という言葉を、感情や印象ではなく冷静に、そして多面的に読み解いていく一冊です。著者・水島治郎氏は、政治思想史や比較政治学の視点から、ポピュリズムが現代民主主義といかに緊張関係を持っているのかを明らかにしてい...

本書『ポピュリズムとは何か』は、政治の世界で頻繁に語られる「ポピュリズム」という言葉を、感情や印象ではなく冷静に、そして多面的に読み解いていく一冊です。著者・水島治郎氏は、政治思想史や比較政治学の視点から、ポピュリズムが現代民主主義といかに緊張関係を持っているのかを明らかにしていきます。 本書でまず印象的なのは、ポピュリズムのリーダーが「歯に衣を着せぬ発言」で人々の感情を揺さぶり、「民衆の声」を既成政治にぶつけることで喝采を浴びるという指摘です。これは日本の橋下徹による文楽批判など、身近な例を通じて読者に強いリアリティをもって伝わってきます。 著者はまた、現代のポピュリズムが単なる「大衆迎合」ではなく、「民主主義(デモクラシー)」という正統性の象徴を掲げ、既存のエリート層や国際主義的価値観に挑戦している構造にも注目します。とりわけ欧州においては、移民排除とエリート批判がセットで進行している点が特徴的であり、デンマークやオランダといった一見「リベラル」な国家が、実は「先進的」なポピュリズムの温床であるという洞察は、非常に示唆に富んでいます。 イスラム風刺漫画事件や、フォルタイン、ウィルデルスといった政治家のイスラム批判は、近代的価値(自由・平等・人権)を根拠に異文化への排除を正当化する姿勢を象徴しており、西欧における「抑圧型」の右翼ポピュリズムの本質を浮き彫りにします。 イギリスの文脈では、イギリス独立党(UKIP)の躍進が注目されます。本書はその成功の背景に、単なる保守層の支持だけでなく、工業地帯や取り残された地域の「忘れられた人々」への訴えと、プロフェッショナルな戦略の存在があったことを丁寧に描き出します。反EU・反移民という主張を掲げる一方、若い世代の移民寛容な価値観との対比も描かれ、英国社会の分断が浮き彫りになります。 一方、ラテンアメリカでは「解放型」の左翼ポピュリズムが台頭しており、貧困層の救済や社会的正義を旗印に、草の根の支持を背景とした全く異なるタイプのポピュリズムが展開されています。このように、地域や文化によってポピュリズムの形が異なることを示す本書は、単なる「脅威」としてポピュリズムを排除するのではなく、その背後にある社会的文脈を理解するための優れた手引きとなっています。 「難民に生活費を支給するなら、私たちの子どもに回してほしい」――ドイツのタクシー運転手のこの言葉には、現代のポピュリズムの本質が凝縮されています。それは単なる排外主義ではなく、政治から取り残されたという感覚がもたらす“声なき声”の反響なのです。 水島氏は、ポピュリズムを一刀両断することなく、その多様性と背後にある社会的苦悩に光を当てながら、私たちにこう問いかけます。「民意とは何か?」「誰がそれを代表してよいのか?」――本書は、現代民主主義の危機を冷静に、かつ誠実に見つめるための一冊です。

Posted by ブクログ