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引き裂かれた自己 狂気の現象学 ちくま学芸文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
| 発売年月日 | 2017/01/10 |
| JAN | 9784480097699 |
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引き裂かれた自己
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商品レビュー
4.6
11件のお客様レビュー
2025年5月6日、グラビティの読書の星で紹介してる男性がいた。 「『引き裂かれた自己』R・D・レイン 統合失調症の僕にとっては、この病気はなかなか他人には理解できない超越状態だというレインの考えに惹かれるところがある。」
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統合失調症及びその前段階の統合失調気質について、実存的に、つまり無意識やリビドーなどの概念で一方的に論ずるのではなく、我々及び当事者が理解・追体験可能な現象として分析している点が優れている。ただし、異常な状態をそのまま受け入れるのではく、病理は病理としてはっきりと問題視する。 ...
統合失調症及びその前段階の統合失調気質について、実存的に、つまり無意識やリビドーなどの概念で一方的に論ずるのではなく、我々及び当事者が理解・追体験可能な現象として分析している点が優れている。ただし、異常な状態をそのまま受け入れるのではく、病理は病理としてはっきりと問題視する。 レインは統合失調(精神分裂)の状態として特に、自己(自意識)と肉体の間の分裂を重視する。正常な人間は「(自己/肉体)⇄他者」であるが、統合失調気質では「自己⇄(肉体/世界)」であるという図式は、明快であり鮮烈である。 他にも、「存在論的安定」と「存在論的不安定」の区別、存在論的不安定の形態である「呑み込み」「石化」「爆入」や、「肉化された自己」と「肉化されざる自己」、「偽自己-体系」、「対他アイデンティティ」と「対自アイデンティティ」など、精神病論に限らず他の実存的分析にも応用できそうな有益な概念が多い。 「真の」自己を防衛するために、自己の中に閉じこもり、肉体と他人の世界を外なるものとして断念するというのが統合失調気質の特徴である。しかし、自己自身の他に誰からも「真の自己」を知られていない状態は結局心理的な懊悩や齟齬をきたす。 このような過程は、精神障害者に限らず、内向的な人間や逸脱意識を持った人間なら多少なりとも身に覚えがあるのではないか。本書はアウトサイダー意識の分析の手引としても有用だろう。 ところで、宗教的意識の本質的な要素の一つに、自己の二重性、つまり主たる霊なる自己と従たる肉なる自己という二元性があると私は思う。そして、この図式は統合失調気質の「自己⇄(肉体/世界)」の世界観と類似している。では、宗教的意識はなぜ自己の分断にも関わらず精神的に健全を保てるのだろうか、あるいは、むしろそのような意識への昇華こそ統合失調気質者の活路なのではないか。このような議論への地平も開かれているように思える。
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ここに自分自身が「ある」。それはこの生身の肉体を伴う、確固とした実存の実感をもたらす……はずのものである。だが、その肝心の「実感」がありありと感じられないほど「自分・自己」が遠く感じられる。そんな病理について、きわめて微細にレインは分析を試みる。ぼく自身過去に自分がどこにいるのか...
ここに自分自身が「ある」。それはこの生身の肉体を伴う、確固とした実存の実感をもたらす……はずのものである。だが、その肝心の「実感」がありありと感じられないほど「自分・自己」が遠く感じられる。そんな病理について、きわめて微細にレインは分析を試みる。ぼく自身過去に自分がどこにいるのかわからなくなるほど頭でっかちに物事を考え、自意識の純度を上げようと試みたことがあるのでいきおい患者側の心理に感情移入してしまう。レインはそうした患者たちをなんとかして理解しようとする。その親身な態度に裏打ちされた分析はなお読ませる
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