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史上最高に面白いファウスト
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2016/10/01 |
JAN | 9784163905372 |
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史上最高に面白いファウスト
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商品レビュー
4.1
12件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【人生を賭けるファウストと悪魔の劇作品】 ゲーテの「ファウスト」は、とても分厚く読みにくい印象があって、読んだことがないのですが、 この本で、ざっと設定やあらすじを楽しむことができたと思います。 ファウストは、小説ではなく、劇作なのですね、そんな形式では普段にも読んだことがないので、 この本では、そんな環境設定にも触れつつ、とても分かりやすく、それぞれのシーンを思い浮かべやすく、とても分かりやすい解説が簡潔に加えられていて、助かりました。 ・・・ ファウスト、という主人公と、メフィスト、という悪魔の間の「賭け」のお話。 本来、キリスト教だと契約、日本・仏教的だと絆や信頼、輪廻?みたいなところが、 「賭け」というところでユーモアセンスが見られることも知りました。 ファウストという16世紀の実在人物をモデルとして書かれ、ゲーテの作品は1800年に初版が発行されています。 これを作るにあたったゲーテの基本思想が、 天国、現世から地獄に至るファウストのストーリーについて、そこから一貫した理念を見いだそうとする学者などを揶揄し、単なる「筋書き」に過ぎない、と語っているとのこと。 ファウスト伝説なるものを私はあまり理解していなかったのですが、 「Es irrt der Mensch, solang' er strebt.」の意味するところがキーとなっていることについて、あとがきでの著者なりの解説も興味深かったです。 日本語訳ではさまざまな訳がこれまでなされてきたようですが、 著者は、この主の文を、 「人間が、野心に駆られて奮闘努力すれば、必ず、罪を犯す」 という、人間の業を指摘する側面を強調しています。 そしてその後に続く言葉について、 「わしの見込んだ者であれば、悪の道から正道にもどるじゃろう」 と、フォローが入っているという。 以下、あとがきより。 __…一般的な「よい人間」の範疇で考えたとしても、ファウストは最後まで「よい人間」にはなりません。このあと「暗い衝動に駆られて」悪魔と結託し、我欲の充足の「活動」に終始していきます。… …ファウストはこのような主の意図に沿って、悪魔という仲間を同伴し、悪魔の仕事」を続けることになります。そして一度も正道に戻ることなく、間違いだらけのまま生涯を終えます。… ・・・ これは観劇を目的として書かれた作品だとのことなので、 舞台が見たくなりました。
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これはよくできた本。タイトルのポップさを鵜呑みにせず、最後まで通読すると得られるものが大きい。 抄録に解説が適宜織り交ぜられ、最後にこの作品の本質を著者なりの解釈で解き明かす。抄録の部分も舞台感がリズミカルにうまく表現されている。 はじめて『ファウスト』が分かった。どんな形で...
これはよくできた本。タイトルのポップさを鵜呑みにせず、最後まで通読すると得られるものが大きい。 抄録に解説が適宜織り交ぜられ、最後にこの作品の本質を著者なりの解釈で解き明かす。抄録の部分も舞台感がリズミカルにうまく表現されている。 はじめて『ファウスト』が分かった。どんな形でも、これまで『ファウスト』は分からなかったのに。
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「まんがで読破 ファウスト」と「手塚治虫ファウスト」という、マンガ2冊に続いての、活字の入門本へのステップアップとして購入しました。 === 著者は、ゲーテひと筋60年という教授の先生。 高尚な人格者による、ものすごく難解な大長編の文学作品という、誤ったイメージがあるけど、そうじ...
「まんがで読破 ファウスト」と「手塚治虫ファウスト」という、マンガ2冊に続いての、活字の入門本へのステップアップとして購入しました。 === 著者は、ゲーテひと筋60年という教授の先生。 高尚な人格者による、ものすごく難解な大長編の文学作品という、誤ったイメージがあるけど、そうじゃない。 退屈で苦しいだけの日々に忙殺されている庶民に、笑い転げたり、怒ったり、泣いたり、心の底から楽しんでもらいたいという一心で、ゲーテが生涯をかけて取り組んだエンターテイメント作品。 もっとガードを下げて、1人でも多くの人に気軽に楽しんでほしい。 この点を、この本の中で何回も強調しています。 === 例えば…… 序盤、悪魔メフィストは、プードルという犬に化けて主人公ファウストに近づきます。 ググってみたら当時、プードルは新しく開発されたばかりで、庶民の間で大人気だったそうで。 向こうの人達なら誰もが幼い頃に慣れ親しんでる、(ギリシャ神話ベースの)童話と同じシチュエーションで、童話と同じ名前の老夫婦も登場します。 なるほど、続編なんだね、と思うじゃないですか。 ところが、その直後、悪魔がこの老父婦を焼き殺します。 そもそもの基本的な構成が、旧約聖書のヨブ記のパロディだそうで。 ラストも、カトリック全盛の神聖ローマ帝国の時代に書かれたとは思えない、キリスト教の根底になってるタブーを侵して幕が降りる。 さすがに殺されると思ったのか、後半(第2部)はゲーテの遺言に従って、ゲーテの死後に公開されたそうです。 === たぶん、今でいうと、高名な会社経営者がタピオカドリンクを片手に楽器箱に隠れようとしたところでそのドリンクが大爆発するような展開。 しかも、鶴が恩返しではた織りしている小屋ごと火事で燃やして登場人物みんな殺しちゃうような、破茶滅茶の連続。 よくわからないカタカナ語を1つ1つググりながらなので、2週間ぐらいかかっちゃいましたが、すっかり虜になりました。 「なるほど、いかにもキリスト教の発想だね」「そうか、キリスト教社会の連中はこう考えるのか」という、新しい気付きもいっぱいありました。 この本のおかげで、次は森林太郎さん(後の森鴎外)訳の「本物」を読んでみようと思い立ち、(絶版なので)中古で探し回っているところです。
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