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可能なる革命 atプラス叢書
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可能なる革命 atプラス叢書

大澤真幸(著者)

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可能なる革命 atプラス叢書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 太田出版
発売年月日 2016/10/01
JAN 9784778315344

可能なる革命

¥770

商品レビュー

5

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2017/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この本は、「不可能性の時代」の次にやってくる時代を先取りして未来を見据えるための準備作業であるのだと思う。大澤さんは「不可能性の時代」を提示する準備のために『虚構の時代の果て』という本でオウム真理教事件を分析しながら、新しく到来した時代の正体を明らかにしようとしていた。その時は今まさに起こりつつある変化を捉えようとしていたが、今度は現在の閉塞状況を打開し、新しい社会を構想するためにこの本を書いている。 大澤さんは、戦後日本の時代区分を、現実を意味付けている中心的な反現実のモードによって、25年ごとに「理想の時代」、「虚構の時代」、「不可能性の時代」に分けた。現実の秩序化の基準となる反現実のタイプは「理想」から「虚構」を経て、「不可能性」へと転換してきた。1995年以降の今は「不可能性の時代」にあたる。 この「不可能性の時代」とはいかなる時代なのか。大澤さんは「不可能性の時代」を氷山にぶつかったあとのタイタニック号に喩えている。数時間後に沈むことはわかっていても、人は船から逃げ出したりはしない。沈みゆく船に必死にしがみつくはずだ。冷たい海に飛び込んだら即死してしまうからだ。「不可能性の時代」の「資本主義」という船もこれと同じで、資本主義に変わる体制がない以上、現状の社会に執着することになる。経済格差からくる破局か、財政破綻にともなう社会保障制度の崩壊かもしれない、とにかくこのままでは長続きしないことを予感しているにもかかわらずにである。 大澤さんは、ある講演で「可能なことは可能である(=不可能なことは不可能である、だから可能なことだけをやる)」という今の状態(=沈みゆくタイタニック号)を打開するには「不可能なことは可能である」ことに賭けるしかない、という趣旨のことを話していた。ではどのようにして。その答えに向けて精緻な議論が展開されている。 最後から2番目の章(第12章)で、革命の条件について「かんたんなスケッチ」を描いた上で、「革命の条件についての社会学的な考察は、第一哲学(存在論)の基礎からの見直しという高度に思弁的な作業と深く連動している」と締めくくっている。次なる著作が待ち遠しい。 ちなみに1995年から25年経つと、2020年東京オリンピックの年である。ポスト・オリンピックの時代を我々はどのように迎えるのだろうか。

Posted by ブクログ

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