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人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長 中公新書2388
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人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長 中公新書2388

吉川洋(著者)

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人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長 中公新書2388

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2016/08/01
JAN 9784121023889

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人口と日本経済

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商品レビュー

3.7

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2024/07/09

少子化が叫ばれる日本の出生率は2023年に1.20まで低下した。アフリカ諸国の6.0と比べると圧倒的に低く、先進国の中でも最低レベルを推移している。一方で平均寿命は男女共に80歳を超えているから、相対的に少なくなる若年層の負担は今後暫く増加していくのは間違いない。何より寿命は誰に...

少子化が叫ばれる日本の出生率は2023年に1.20まで低下した。アフリカ諸国の6.0と比べると圧倒的に低く、先進国の中でも最低レベルを推移している。一方で平均寿命は男女共に80歳を超えているから、相対的に少なくなる若年層の負担は今後暫く増加していくのは間違いない。何より寿命は誰にでも訪れるから、出生数が減少することは将来に渡り人口が減っていく事を表している。 18世紀のイギリスの古典経済学者であるマルサスが著した「人口論」は食料生産力の増加を超える人口増加は人々を経済的貧困に陥らせる事に警鐘を鳴らし、人口抑制策の導入の必要性を説いたが、今の日本の未来はその反対側の方向へと向かっている。だが世界レベルで見れば地球上の人口は100億を近い将来超える勢いがあるし、既に食糧不足を危惧する声は大きくなって、日本でも最近昆虫食に注目が集まるような状況だ。 日本の様な人口の減少が今後何を引き起こすかについては、自然に考えつくのは経済活動の停滞に伴う、経済規模の縮小の懸念であり、昨今GDPでドイツに抜かれたことからも、それを思い浮かべる人は多いだろう(実際は円安に伴う影響が大きいだろうが)。だがドイツも出所は低迷し、日本と大きくは変わらない。違いは移民を受け入れる政策にある。移民を受け入れてまで経済拡大を望むか、人口減少による経済縮小を受け入れつつも、日本人としての道を歩み続けるのか。人それぞれ考え方の違いはあるだろうから、議論が分かれるところだ。 では経済の拡大は望めないのか。本書では過去の日本が高度成長期に労働人口の増加率を遥かに凌駕する経済成長を遂げたことに注目する。それは技術革新・イノベーションの力であり、必ずしも人口の増減と経済規模が単純比例しない事に触れる。また、その背景には人々が裕福な暮らしを望み、モノを欲しがる気持ち、所謂需要が旺盛であったことが、市場の拡大を生み、日本が世界有数の経済規模になれた事にも言及する。人間の欲は無限で、他人よりも豊かな暮らしがしたい、美しい服を着たい、美味しい物を食べたい、といった欲望が経済の拡大を引っ張る要因である事を説明する。 だが人間的な裕福が必ずしも経済規模だけで測れるかと言えばそれはノーだ。現在進行形の人口減少がこのまま続けば、勿論何もしなければ経済規模は縮小し、世界での順位は下がり続けるだろう。だがしかしそれがそのまま不幸な事だとは言い切れない。昨今量より質が問われる時代であり、更には個人の嗜好が重要な時代に入る。私にとっての幸せと他人の感じる幸せの尺度は異なる。それぞれにとっての幸福度は、国の経済規模だけでは測れない。 そうした様々な考え方と議論の中で、読者が何を考え、何を幸福・豊かさの基準とするか。我々一人一人に問いかけてくる一冊である。 また最終的にはこれからの超高齢社会や人口減少は社会が変わる節目であり、そこに新たにビジネスやイノベーションが巻き起こるチャンス・機会とも捉える事ができる。そうした意味でその時代を生きる我々の周りには凡ゆる検証機会ときっかけが溢れているという事を教えてくれる。ただひたすらに産めや増やせやで人口も生産も増加させた時代は終焉したのだから、新しい時代の新しい考え方、価値観を持つ事が重要になってくる。

Posted by ブクログ

2024/03/09

日本は少子高齢化により人口が急激に減っている。働き手は減り、地方都市は消滅の危機にある。もはや日本の衰退は不可避ではないかという論調が多いが、そのようなことはない。経済成長をもたらすものはイノベーションであり、人口が減っていくからといって、衰退が避けられないというものではない。以...

日本は少子高齢化により人口が急激に減っている。働き手は減り、地方都市は消滅の危機にある。もはや日本の衰退は不可避ではないかという論調が多いが、そのようなことはない。経済成長をもたらすものはイノベーションであり、人口が減っていくからといって、衰退が避けられないというものではない。以上が、本書の骨子中の骨子だと理解した。 それでは、そもそも経済成長って必要なのか、必要だとすれば何のために必要なのか、という問いも本書は投げかけている。この問いに対しての、私なりの理解を下記したい。 経済成長をもたらすものがイノベーションであるとすれば、イノベーションのないところに経済成長は起きない。では、イノベーションが起これば、どのような良いことが起こるのか。端的で分かりやすい例は、平均寿命の伸長である。平均寿命の伸長には、多くのイノベーションが与っている。それは、例えば、新しい薬の開発であったり、新しい治療方法の開発であったり、あるいは、国民皆保険や乳児に対しての予防接種というような社会システムもイノベーションとして考えても良いかもしれない。これらのイノベーションが平均寿命の伸長という果実をもたらしたのである。経済成長が起こっているということは、どこかの分野で、このようなイノベーションが起こっているということであり、一般的にイノベーションが起これば社会を良くするものである、これが経済成長が必要な理由の一つである。 また、成長か平等か、という議論が別にある。経済成長の結果、世界の多くの国で所得格差が広がっているのではということが言われている。しかし、格差を是正するためには、やはり成長による原資が必要となる。そういった面からも経済成長は必要である。ただし、これは成長した「から」格差が是正されるという関係にはなく、それはそのための対応が必要な事項である。 たしかに、このようなことは言えるとは思うが、事はそれほど簡単ではない気もする。少子高齢化により、高齢者人口が増大したことにより、社会保障費により多くの原資が必要になっている。経済成長により、国の富が増えても、そのうちの多くの部分を、追加の社会保障費に費やさざるを得ない状態が、今の日本の状態ではないだろうか。個人から見れば、折角、給料が増えても社会保険料や税金の増加により、それがなかなか実感できない、そういう状態かと思う。「イノベーションが経済成長をもたらす。従って、必ずしも人口減少は、あまりに悲観的に考える必要はない」という本書の考えは、少し楽観的かな、とも感じる。

Posted by ブクログ

2023/04/28

本書の主題を一言で言えば、経済成長は人口の伸びとは関係ない。ゆえに人口が減少するから経済が必ず縮小するとは限らず、イノベーションによって1人あたり所得が増えれば経済成長も可能である、というものです。  まず理屈としてはそうだろうな、確かに100%衰退するとは限らないだろうなとは...

本書の主題を一言で言えば、経済成長は人口の伸びとは関係ない。ゆえに人口が減少するから経済が必ず縮小するとは限らず、イノベーションによって1人あたり所得が増えれば経済成長も可能である、というものです。  まず理屈としてはそうだろうな、確かに100%衰退するとは限らないだろうなとは思いましたが、本書の説得力があったか、と言われるとそこは微妙でした。まず本書の主張の大前提が過去の経済学の知見であること。ケインズ、シュンペーター、マルサスなどの主張が織り込まれているのですが、実は足元で起こっていることはこれまでの経済学のフレームでは説明できないことかもしれないということです。本書では人口減少だけがトピックになっていますが、AIやIoTといった情報技術の発展が同時に起こっており、これらの現象はわれわれを別の次元の社会に導いているのかもしれません。つまり18世紀の産業革命が近代経済学の生みの親だとすれば、現在の情報通信革命は、今の経済学が前提としている多くの「あたりまえ」を覆し、全く異なる経済学の誕生を望んでいるのかもしれないということです。  産業革命時の英国は、国力を測るのにストックではなくフローで計測すべきだと考えましたが、これは当時画期的な発想で、それまでは国が蓄積している財貨(ストック)の量が国力を表す指標だと考えられていました。現在のわれわれはGDP統計に代表されるフローこそが国力をあらわす指標だと固く信じていますが、100年後の人類からすれば「何を馬鹿なことを」と思われるようなことなのかもしれません。そういう感覚がうっすらとあるものですから、本書のようにいわゆる伝統的な経済学者の論考だけを持ってこられても、(確たる反証はないのですが)どうしても心の底から納得できない自分がいました。

Posted by ブクログ

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