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世界が記憶であふれる前に
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2016/09/04 |
JAN | 9784093864398 |
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商品レビュー
2.8
4件のお客様レビュー
これは、面白かった。 話の展開がスピーディーでページをめくる手が止まらず、1日で読了してしまった。 この小説を手に取ったのも、表紙イラストがloundraw氏だったからですが、この小説は当たりでした。 この作家さんは初読みの作家さん。この作者さんの代表作は2014年に『想いのこし...
これは、面白かった。 話の展開がスピーディーでページをめくる手が止まらず、1日で読了してしまった。 この小説を手に取ったのも、表紙イラストがloundraw氏だったからですが、この小説は当たりでした。 この作家さんは初読みの作家さん。この作者さんの代表作は2014年に『想いのこし』というタイトルで映画化された『彼女との上手な別れ方』という小説なんですね。ちょっとそちらもチェックしてみよう。 本書は、8歳の時に父親を病気でなくして以来、記憶を忘れることができないナノという女の子が主人公。 ナノは施設に預けられ不遇な少女時代を送りますが、自分の特殊な能力を生かして東大の理Ⅲ(医学部)に合格します。しかし、教授と不仲となり、大学を中退。今はある目的の為、自分の能力を生かして他人のクレジットカード情報を盗み、ネット詐欺によって大金を稼ぐ生活をしています。そして、もう一人の主人公、宅配ドライバーのソライは、ナノにたまたま見られてしまったカード情報から、数百万円の預金をナノに盗まれてしまいます。ソライは、警察の手を借りつつ、持ち前の行動力からナノにたどり着きます。「自分を見逃してくれたら盗んだお金を全部返す」というナノの言葉を信じ、ナノが隠し口座を持つ香港に向かう二人。口座から現金を引き出し、日本に帰国しようとしたところで、二人はひったくりにその大金をカバンごと盗まれてしまいます。ほとんど手持ちのお金を持っていない二人が取った行動とは・・・。ここから「犯罪者」と「被害者」という交わることのなかったはずの二人の運命が大きく変わっていくのです。 ホント、面白かったですよ。ジャンル的には、やはりラブストーリーになるのかな。 ロードムービー的にどんどん場面が変化していくスピーディーな展開で、文章はナノとソライの一人称形式の文体が交互に繰り返される。 ほぼ、前知識がなかった状態で読んだけど、ナノが最初は超嫌みったらしい小生意気な女から、ソライとのふれあいを通じて、可愛らしく変わっていく状況が微笑ましい。そしてソライはバカがつくほどの好青年で、ちょっとおバカキャラですが、裏表のない性格は非常に好感が持てます。そして天才的なナノとちょっと天然の入ったソライとのやりとりがとにかく楽しい。 そして物語が進むにつれ、ナノの秘密が明かされていくとともに、悲劇的なラストに向かっていく。そして二人に訪れる結末は・・・。 いや~、満足しました。本当にいい映画を1本見た後のよう。 なんで、みんなの評価あまり良くないのか理解できないんだよなぁ。面白かったよ、これ。 まあ、ナノの記憶が突然過去の状況を思い出してしまう状況が結構でてきて、文章のつながりが分からなくなるところが何カ所かあるけど、それはナノの病気の症状を表現しているからであって、作者の文章力が無いとかじゃないしね。 面白い、面白くないは、まあ、考え方、人それぞれですからね。少なくとも僕は面白いと感じました。 この小説こそ、映像化したらちょうど良いんじゃないのかな?自分的にはナノを芳根京子さん、ソライを佐藤健さんで脳内再生しながら読んでたんだけどね(笑)。 と言う訳でloundraw氏のイラストから選ぶ小説で「当たり」を選んだ時のこの『してやったり感』は何物にも代えがたい満足感があります。この『イラストレーターloundraw氏の作品一覧から選んだ小説を読むキャンペーン』はまだまだ続きますね(←なんのこっちゃ)。
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すべてを記憶してしまう障害を持った女と単純というかまれにみるまっつすぐな性格の青年の恋。舞台出身の著者らしく、状況があれよあれよと展開して、主人公たちを思わぬ方向へ連れてゆく。上質なロードムービー。
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とんでもない記憶力の持ち主、ナノと彼女にクレジットカード情報を抜き取られてしまったソライ。 この二人の物語である。 厳しく表するなら、「なんだか釈然としない」。 設定は非常におもしろい。 何事も瞬時に記憶してしまう才能を持ったナノが自らの脳内メモリを減らさないためにしている行動や...
とんでもない記憶力の持ち主、ナノと彼女にクレジットカード情報を抜き取られてしまったソライ。 この二人の物語である。 厳しく表するなら、「なんだか釈然としない」。 設定は非常におもしろい。 何事も瞬時に記憶してしまう才能を持ったナノが自らの脳内メモリを減らさないためにしている行動や香港にまで舞台を広げたところ、ナノの母親との確執といった、それぞれのパーツは興味を惹かれる。 しかしどうも話が唐突で全体的につぎはぎな印象を受ける。 マカオでのカジノにおけるやり取りは次がきになるし、確率論の部分も興味深い。 しかし賭け事につきもののやるかやられるか、という面白さなら映画スティングに及ばない。 あれは詐欺の話、こちらは小説、比べる土俵が違っているのは十も承知しているが、 「華麗な」テクニックの見せ方がうまくないのだ。 同じようにテクニックを一つの見せ場とするなら、もう少し的を絞るべきではなかったか。 エンディングについても、なんだか熱に浮かされたようで、解決には至っていない。 ナノ自身が、母に対して持っていた誤解が解けたことで、自分自身を助ければいいのではないか。 愛だのなんだので全てが解決するわけではないまずナノ自身が変わらない限り、前へなど進めまい。 今や時代は王子様など求めてはいないのだ。 王子様が助けてくれました、なんて安易な幕引きは王子様だらけのディズニーだってもうやっていない。 ナノ、自らの足で立ち、進め!
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