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血の季節 宝島社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 宝島社 |
発売年月日 | 2016/08/04 |
JAN | 9784800258564 |
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血の季節
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血の季節
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商品レビュー
3.5
28件のお客様レビュー
精神科病院の病室で幼女惨殺事件の被告の回想を聞く、という導入がまず良い。とても興味を掻き立てられる。 語り口は穏やかで冷静、知的であり、ノスタルジックで幻想的な内容も含んだ美しい世界に引き込まれる。ただ、それが如何にして幼女暴行惨殺という残忍で破廉恥極まる犯罪心理へ向かうのか…と...
精神科病院の病室で幼女惨殺事件の被告の回想を聞く、という導入がまず良い。とても興味を掻き立てられる。 語り口は穏やかで冷静、知的であり、ノスタルジックで幻想的な内容も含んだ美しい世界に引き込まれる。ただ、それが如何にして幼女暴行惨殺という残忍で破廉恥極まる犯罪心理へ向かうのか…と期待するとやや肩透かし感はある。 しかしそこを克明に描かないからこそ表現される妖しい雰囲気や上品さもあり、一概に悪いとは思わない。 むしろ長い回想の空気感がハイライト。作者自身が東京大空襲を経験しており当時の空気感を含めた描写は真に迫るものがあるし、金髪美少女の妖艶さ、少女性もドキリとさせられるし、そこここに吸血鬼を彷彿とさせる出来事が散りばめられ不穏な空気が高まる。何より上品で読みやすい日本語ながら翻訳小説的なひっかかりもある独特な文体が心地良い。 現代の感覚で言うと薄味ではあるが、これならではの魅力も確かにある。
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青山墓地で起きた幼女殺害事件。収容された精神病院での容疑者の独白と、執念の捜査を行う刑事のストーリーが交互に展開する。容疑者の戦前の幼児期における当時は物語や映画の中でしか知らなかった青い瞳、金髪の可愛らしい外国人の幼い兄妹たちとの夢の様な交流と、その後の戦時下での悲惨な体験。ノ...
青山墓地で起きた幼女殺害事件。収容された精神病院での容疑者の独白と、執念の捜査を行う刑事のストーリーが交互に展開する。容疑者の戦前の幼児期における当時は物語や映画の中でしか知らなかった青い瞳、金髪の可愛らしい外国人の幼い兄妹たちとの夢の様な交流と、その後の戦時下での悲惨な体験。ノスタルジックな回想を語る容疑者は知的でアンニュイな風貌で常に落ち着いているが、精神鑑定の結果に責任能力の有無が問われる。そこにドラキュラ伝説が絡んでいく。ラスト一行にゾッとした!だから土葬なのか…。ドラキュラ伝説を信じそうになってしまう。著者の文章がつくづく美しかったのが印象的だった。復刻版だからこその仄暗さもストーリーに陰影を与えている。
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ドラキュラ伝説にインスパイアされて書かれた和製ゴシックホラー。作者は『女には向かない職業』の翻訳などで知られる小泉喜美子さん。文体にややクセがあり、戦時下の日本と、ゴシックな味わいを出すためにあえて海外文学のような読み心地にしているようです。そのため読んでいて「淡く美しい思い出」...
ドラキュラ伝説にインスパイアされて書かれた和製ゴシックホラー。作者は『女には向かない職業』の翻訳などで知られる小泉喜美子さん。文体にややクセがあり、戦時下の日本と、ゴシックな味わいを出すためにあえて海外文学のような読み心地にしているようです。そのため読んでいて「淡く美しい思い出」を語り聞かされている気持ちよさがありました。『失われた時を求めて』を読んだときの感覚に若干近く、格式と読みやすさとエンタメ性を同時に味わえた気分。 恐怖譚というより昭和初期に起きた怪事件と、少年たちの触れあい、という側面の方が強いです。また、同時進行して書かれる「現代篇」ではミステリー調に話が進んでいき、最後にふたつの物語が重なるという構成となっています。 好き、なのだけど、ホラーとして読むと肩透かしを喰らうし、ミステリーとして読むと物足りなさを覚えるというのが本音。なのでこれは和製ゴシックホラーとしての「文体」を楽しむ小説ですね。個人的には。その点においてはほんと素晴らしいので。
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