デザイン・バイ・マネジメント Design × Management

八重樫文(著者), 岩谷昌樹(著者)

• 販売会社／発売会社: 青山社
• 発売年月日: 2014/09/03
• JAN: 9784883593262

商品レビュー

2024/09/16

デザイン・バイ・マネジメント
著：八重樫 文、 岩谷 昌樹

デザインマネジメントとは、製品、サービス、環境、経験といったものをデザインするための４つのＰ（人々、事業、過程、手順）を首尾よく管理することを意味する。異なる原理どうしと、様々な立場の関係性を管理することに等しい。

ミクロレベルのデザインマネジメントは「個別のプロジェクト完遂に関係する業務を包括する」のであり、マクロレベルのデザインマネジメントは「事業目的の実現と競争優位性の獲得のために、デザインを最大限に活用する業務を包括する」というものである。特に、企業内の活動におけるデザインの優先順を上げた企業は、イノベーションとクリエーションの増加という恩恵にあずかる。

本書の構成は以下の８章から成る。
①経験経済におけるデザイン・ベースの企業戦略
②デザイン・ベースの企業戦略における「デザイン経験」のマネジメント
③グッドデザインによるビジネスモデルの構築
④イノベーションとデザインマネジメントの関連性
⑤ファンタジー経済とデザインのＷｏｗファクター
⑥コラボレーション経済におけるデザインとブランドの関係性
⑦デザインによるブランディング
⑧デザイン・バイ・マネジメント

企業の競合における、優位性や持続可能性を学ぶ中で、デザイン経営で捉え直すことで多くの気づきがある。偏った業種ではなく、多くというよりは、全ての業種において、当たり前のように浸透している考え方でもある。

本書では、デザインマネジメントを概念的に捉え直すと共に、進化するトレンドに対して、プロセスから今後の流れを意識した柔軟な視点で追いかけながら整理してくれている。

捉えどころのない概念に対して、多くの具体例によりわかりやすく、落とし込みを行っていると共に、フレームワークや鋭くも最適なワードでの説明は、個別の例を理解するのではなく、対比から違いを学び付加価値や経験という重要なファクターを通しての学びを与えてくれる。

まだまだ進化し続けるデザインマネジメント。日本が再興するための手段のひとつであることは明白である。デザインマネジメントの進化とあらたな概念の組み合わせ等を意識することで、今後のトレンドも同時に追いかけていきたい。