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熊楠の星の時間 講談社選書メチエ630
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熊楠の星の時間 講談社選書メチエ630

中沢新一(著者)

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熊楠の星の時間 講談社選書メチエ630

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2016/05/01
JAN 9784062586337

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商品レビュー

4.3

5件のお客様レビュー

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2024/03/21

中沢新一さんによる、南方熊楠の本。 南方さんの難解な思想、人となりを自然や仏教思想、ラカンなどの用いたキーワードを元に紐解いていきます。ページを開くたび新鮮な驚きがあり、好奇心に溢れながら読み進めました。 普通の学者としての枠には、収まらない南方熊楠という人をとても魅力的に紹介...

中沢新一さんによる、南方熊楠の本。 南方さんの難解な思想、人となりを自然や仏教思想、ラカンなどの用いたキーワードを元に紐解いていきます。ページを開くたび新鮮な驚きがあり、好奇心に溢れながら読み進めました。 普通の学者としての枠には、収まらない南方熊楠という人をとても魅力的に紹介していると思います。

Posted by ブクログ

2019/05/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 明治の知識人たちは、親鸞の思想に強く惹かれていました。その思想がカントやヘーゲル穴どの近代思想と構造的な共通点を多く持っていたために、一方から他方への行き来が容易だったためかと思えますし、華厳経学のような古代的な思想体系と近代ヨーロッパ思想とを結びつけて、自在に相互比較をおこなえるような段階にはまだなかったからかもしれません。そういう時代に、南方熊楠は自由な思索者として、華厳教に並々ならぬ関心を寄せたのです。(p.38) 神社整理(1902〜):それまで新党は決して道徳一本やりのものではありませんでした。道徳の側面を持ちつつも、道徳を超えた価値、すなわち人間的価値の外に広がる自然と瓜生に開かれた価値に通路を開いてきました。ところがそれ以後の日本の神道は、道徳的な側面を全面に出して、それ以外の「人間ならざる者」の領域につながっていく要素を隠してしまう傾向を持つようになります。(p.69)  生物学者としての熊楠がいちばん気にしていたのは、植物世界に致命的な損傷が加えられ、それによって貴重な生物種の生存が脅かされる危険です。しかしそれと連動して、深いレベルで「社会のエコロジー」や「精神のエコロジー」における危機が進行していくことを、熊楠は見落としませんでした。当時の人々に先駆けて、誰よりも深くそのことを理解していました。(p.85)  神社合祀は神主や政治家が気づかぬところで、この自然な直感を破壊して、人々をデラシネ(根を持たない存在)に追いやってしまうことになります。 「社会のエコロジー」レベルで起こるデラシネ化は、個人「精神のエコロジー」にとって、さらに重大な脅威をもたらします。人と神社のつながりというレベルを超えて、それは人間を人間世界の外(非人間世界)から切り離してしまう働きをするからです。意識が清明や無意識から切り離され、知性が感性から切り離され、因果性が偶然性から切り離されて、人間が人間だけの世界に閉じこもって自足するようになる、そのことが人間の「精神のエコロジー」を破壊するのです。これは根源的な人間のデラシネ化にほかなりません。(p.86)  モーツァルトは作曲する前に曲がいちどに全部頭の中に現れてくる、と自分で書いています。一つの音楽が着想されると、その曲はすべてが一挙に頭に浮かんでくる、ということは、曲全体がかたまりになって一つの和音として聞こえてくるということでしょう。作曲とはモーツァルトにとって、その一つの和音のかたまりの中から、時間軸に沿って展開していく日ものようなメロディの線を引っぱり出し、全体に響き合っている和音の影響を受けつつ、その音の紐を楽譜に書いていくやっかいな「仕事」にすぎませんでした。音楽が浮かんでくるときはまさに悦楽とともに彼のもとに到来するのですが、それをみんなが理解できる曲につくりかえるためには面倒な労働をしなければなりません。それは退屈で苦痛な仕事にすぎないけれども、お金を稼ぐためにはこの苦痛に耐えなければいけないというのがモーツァルトの考えでした。(p.116)

Posted by ブクログ

2017/02/17

南方熊楠の思想を西洋の碩学らとの対比で考察した本だが,難しい.第1章では土宜法竜,明恵上人,ラカンらとの華厳経の議論,第3章ではジョイスのフィネガンズ・ウェイク,第4章ではフィリップ.デスコラ,第5章ではレイチェル・カールソンやレヴィ=ストロースが登場し,熊楠の思想との接点が考察...

南方熊楠の思想を西洋の碩学らとの対比で考察した本だが,難しい.第1章では土宜法竜,明恵上人,ラカンらとの華厳経の議論,第3章ではジョイスのフィネガンズ・ウェイク,第4章ではフィリップ.デスコラ,第5章ではレイチェル・カールソンやレヴィ=ストロースが登場し,熊楠の思想との接点が考察されている.第2章は1906年に始まった神社合祀の話で比較的楽に読めた.明治政府は宗教的に酷いことをやってきたのが実感できた.

Posted by ブクログ

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