腸内細菌の驚愕パワーとしくみ SUPERサイエンス

辨野義己(著者)

• 販売会社／発売会社: シーアンドアール研究所
• 発売年月日: 2016/05/01
• JAN: 9784863541986

商品レビュー

2021/02/05

腸は第2の脳（大脳に束縛されず下痢など自ら休むことなく行動する）である、腸内細菌の重さは1.5㎏、小腸と大腸の長さは7.5m、小腸は全身の半分以上の免疫細胞が密集している細菌や病原菌の防波堤、大便は食べかす、腸内細菌、消化液や細胞粘膜の残骸がそれぞれ30%程度など興味深くためになる情報満載です。ちなみに、「宿便」は基本的に存在しない、あるのは便秘が原因の「滞留便」だそうです。
本書は腸内細菌について書かれたものですが、こうした人体の本を読めば読むほど、人間の体の神がかった精巧さや不思議さに改めて驚かされます。
最後に、著者の名前は辨野で「べんの」と読みますが、まさに天職なのでしょうね。

2019/07/26

491.7-ベン
300720257

　私たちの腸管内（主に大腸）にはどのくらいの細菌が棲みついているかご存じでしょうか。およそ1000種類、100兆個という膨大な種類と数の細菌が生息し、腸内フローラが形成されていると言われています。これらの細菌は、宿主の免疫系に排除されずに共生しているだけでなく、宿主の健康と疾病に大きくかかわっていることがわかってきました。それらは腸内だけでなく、全身の生体代謝、免疫と感染防御、炎症性腸疾患、アレルギー、動脈硬化や肥満など極めて多岐におよんでいることが明らかにされつつあります。
この分野は今世界中で注目されていることから、研究が急速に進んでいます。本書は、難解な研究内容を一般のひとに向け、腸の脳との不思議な関係、腸の役割、腸内細菌の実態、腸内細菌とヒトの健康と病気との関係などかみ砕いてわかりやすく伝えています。
著者の辨野博士は、この分野がまだほとんど注目されていなかった頃からこの道一筋に研究されてこられた方です。初期の頃の便の培養の苦労から近年のメタゲノム解析まで、研究のすべてを経験されて来られたと言っても過言ではないでしょう。本書からは、著者の研究に携わる心構えにもふれることが出来ます。
学生の皆さんには、自分の“腸の健康”に関心をもち「便=毎日のお便りどころ」（辨野博士曰く）に興味を持って頂きたいとともに、“研究者”としての著者の姿にもこころを寄せて本書を手にして頂けたら幸いです。