ミストレス 光文社文庫

篠田節子(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2016/05/12
• JAN: 9784334772833

商品レビュー

2022/07/12

『ミストレス』は、五篇の短編集の構成となっていて、四篇は官能小説特集のために執筆されたそうだ。
五編に登場するそれぞれの女性の年代を、20代から60代近くと幅広く設定され、年代によって行動や考え方の違いが鮮明に綴られ、女性の心理描写がリアルに描かれている。
とは言いながら、女性の心理について鈍感な私には、総てを理解できる筈もなく、そんなものなのかなどと、傍観者の立場でしか考え及ばない場面がしばしばであった、
それに反し、登場する男性の行動や思考には焦ったさを覚えるほどに子供じみたところがあり、同姓として愚かささえ伝わってくる。
やはり女と男の関係には上下・優劣が存在し、何となく育ち切っていない、言い換えれば幼児性の遺る男の考え方に大きなハンディキャップがあり、男が望む男女の関係に至らないケースが多いのではと、ぼんやりと思ってしまった。残念ながら⋯⋯。

2022/06/25

上手いなあ〜‼︎篠田さんの作品を読むと、いつもそう思う。どのお話も非常に官能的な要素も多いけれど、それだけでなく、ちょっとホラーだったり、ミステリーだったりする内容との絡みが絶妙に感じます。

それにしても、一般的によく言われる言葉だけど「男ってバカだなあ」と思う部分がしばしば(^^;;（差別とかそういう意味合いではなく、あくまでも感想です）
『やまね』の翔とか、
『宮木』の勝太郎とか、
もうこの2人は、どうにか懲らしめてくれよ、とか思っちゃったくらい( *｀ω´)特に勝太郎の勝手さには腹が立ったわ。
やまね、の作中で真弓がつぶやく
「ああいうのが好きなのよね、みんな」というセリフにも強く頷いてしまったワタシでした。

印象に残ったところ少し。
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何が楽園ですか、何が永遠ですか、子供じゃあるまいし。（中略）いえ、幸せになんてそんな欲はありません。遠くにいようが、近くにいようが、喜びも悲しみもある、地に足のついた普通の人生を歩んで欲しかったです。

プラトニックラブなどという、観念的なものではない。性的にはとうてい受け入れがたい者への途方もないあこがれ。性なき恋の渇望感。それがじわじわと胸の辺りを焦がす。

尊敬されちゃったら、女もおしまいね。
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篠田節子さんもハズレがないなあ。最近ますます好きになりました。

2022/02/01

第5編の｢紅い蕎麦の実｣の話が特に好き。
題名通り、愛人をテーマにしてるから、そーゆーシーンはぶっちゃけ多め。結局愛人ってそーゆーことなんだよなあと思いつつ、それだけ感情が突き動かされるってすごいことだよなとも思ってしまうジレンマ。