暗幕のゲルニカ

原田マハ(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2016/03/28
• JAN: 9784103317524

商品レビュー

2025/11/05

第二次世界大戦の頃、ピカソは「ゲルニカ」を発表、そのメッセージは「芸術は、決して飾りではない。それは戦争やデロリズムや暴力と闘う武器なのだ」であった。ピカソの愛人ドラ・マールはその制作過程を写真に収め、若き青年パルド（架空の人物）はゲルニカを守るために奔走する。
一方、時代は21世紀、9.11が起こったニューヨークではMOMAのキュレーター八神遥子が「ピカソの戦争」という企画を出し、門外不出のゲルニカ（マドリッドのレイナ・ソフィア芸術センター所蔵）をなんとか貸し出してもらおうと奔走する。
この2つの時代が交互に語られながら物語は進んでいく。
有名なゲルニカの絵は知っていたがその背景を知るとますます興味をもった。この大作是非とも実物で見てみたい。
さて、物語の途中ですが登場するティム・ブラウンは「楽園のカンヴァス」では主役なのでぜひこの作品を読んでからこの「暗幕のゲルニカ」を読んでもらうとちょっと楽しい。

2025/10/06

面白かった。
今まであまり興味のなかったアートに興味を持たせてもらった作品がまた一つ追加された。
ゲルニカの絵画に対する反戦への思い、後世にも残したい作品を改めて見てみたいと思った。
ドラというピカソの恋人もピカソ作品への情熱を持った瑤子も何か格好良くて好きだった。

2025/09/22

20世紀にピカソがゲルニカを作成する過程とそれに関わる人々の物語と、21世紀に9.11テロで夫を亡くした学芸員がMoMAでのピカソの企画展に合わせてゲルニカをスペインから借り受ける活動の物語が並行して展開されるフィクション。

以前から読もうと思いながらなかなか読むことの無かった作品。というのも、原田マハ氏の作品で興味はあったのだけれど、私にはピカソの作品の良さが分からないし漠然とピカソという人物が好きでないから、実際にこの本を手に取るまで時間がかかった。

ピカソついての記述は思っていたほど嫌悪感を抱くことがなくて、すんなりと読み進めることが出来た。

21世紀のパートで学芸員がテロ組織に誘拐される展開は突拍子の無い話の様で違和感を持ったけれど、テロ組織に監禁中、学芸員とテロ組織とのやり取りで感動のために涙が出てきたことを思うと、このフィクションは重要な位置付けになっているのだなと思った。

この本を読んで、ゲルニカをじっくり見てみたいと思った。大塚国際美術館へまた行ってみようかな。。。