また次の春へ 文春文庫

重松清(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋
• 発売年月日: 2016/03/01
• JAN: 9784167905651

商品レビュー

2025/01/14

■サマリー
・短編7つで構成された物語
・テーマは震災や災害などで親族を亡くした家族の人生
・強く生きようとする人々の生き様が描かれている

■気付き
地震で家族を亡くしたという方のニュースを目にすることがある。
前を向こうとしている人、立ち直れない人いろんな人がいると思うが、
私は限りなく立ちなれない人になると思う。
家族や大切な人と過ごす時間は、一瞬足りとも無駄にしてはいけない。
もしかするとその時が最後になるかもしれない。
だから、スマホばっかり見ててはダメ。顔を上げる必要がある。
この物語の中には、あの時、〇〇していたら良かったという後悔も描かれている。
きっとどんな風に過ごしていても、少なからず後悔はあると思う。
ほんの少しだけ、今を大事にして〇〇して良かったと思えるように
生きていきたいと感じた。

■心に残った部分
運命について思う。悲しみはある。
ないと言えば嘘になる。けれど、悔しさや無念や恨みだけは抱くまい、
と自分に言い聞かせる。
ひとはそのために、運命のせいにするという知恵を授かったのかもしれない。

2025/01/10

被災した人でなければ分からない気持ち、何か少しでも助けになりたいと思いつつもどうすればいいのかわからない非被災地域に住む人の気持ち、そのどちらもが重松さんの筆致らしくとても丁寧に描写されていてどの物語も心に染み入りました。あの頃しきりに『絆』という言葉が溢れていた気がしますが、声高に『絆』と言わずとも、静かに誰かを思うことが大切なのではないか、と本書を読み終えた今は感じています。

2024/06/02

011年3月の東日本大震災から一歩踏み出す物語。
もう11年も前の事になるんだ…
あの時のニュース映像、その後の震災関連のドキュメンタリーともに記憶に新しい。
いろいろな事を理解しているつもりでいてもその場にいて体験した人でないとわからない事、わかるなんて簡単に言っては行けない事がたくさんあるんだろうと思う。
そんなことを思いつつ読んだ。
あたりまえだと思っていたことが急に目の前から消え、喪失感たるや想像を絶する。
立ち直るのに時間も必要だっただろうし、今なお必要かもしれない。
どの物語も心に響いた。
今ここにいることは決してあたりまえではない。
あたりまえなんてない。
そのことを忘れては行けないと思わされた。