カエルの楽園

百田尚樹(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2016/02/01
• JAN: 9784103364122

商品レビュー

2024/11/27

百田さんの思想が色濃く反映されている。

ツチガエルは「我々が平和だから、平和に保たれているのだ(他のカエルとの争いがないのだ)」という論理性のない理論を信じている。
ウシガエルの侵略に対して、対話をすれば分かってくれるという安穏とした策を有識者や声の大きいツチカエルたちが言い張る。一方、今までの理論を覆し、反撃・防衛する必要があると訴えるツチガエルもいる。

結末としてはツチガエルの国は滅び、一部はウシガエルの奴隷となる。
現代社会に置き換えて考えざるを得ない。

けれども、市井に生きる私たちとしては、
まずは有識者とされる人やコメンテーターの言葉を鵜呑みにせず、作中でソクラテスがしていたように色んな人や意見に耳を傾けて自分なりに答えを出していくことではないかと思った。

2024/08/03

うーむ。なかなか難しい寓話でした。
カエルの世界の弱肉強食の話のようだが、何か違う。
今の世界状況が頭の中でチラチラ見え隠れしながら読んでいる自分がいました。
私ならどうするか、まだ答えがでません。
自分達に争う意思はないが、領土を奪われ、占領されるとなると、さて、一体どうすべきか。
話し合いで解決できるなら、話し合うが、そもそも占領目的に攻撃を仕掛けてくる相手が話し合うかどうか。話し合えないだろう。
カエル達の世界なのに、人間世界に置き換えて考えさせられる話でした。
集団心理はやはり恐ろしいと、改めて感じました。

2024/07/29

ナパージュは三戒という宗教によって成り立っている国。矛盾を感じていても、三戒を信じることで現実から目を逸らし、自分たちにとって都合の良いところしか見ない考えない。その結果、国が滅びる。慎重になりすぎて、なかなか行動に移せない。幸せボケしている日本のようだと思った。