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少年の名はジルベール
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784093884358 |
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少年の名はジルベール
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商品レビュー
4
67件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
萩尾先生の「一度きりの大泉の話」を半分だけ読んだ後に、先に刊行された竹宮先生の本書を読んだ。 「一つ屋根の下に作家が2人いるなんて聞いたこともないよ。とんでもない話だ」 編集者Yさんの言葉は予言だった。 大泉サロンの二大作家は、切磋琢磨しあったトキワ荘の少年漫画家達とは違い、モチーフの剽窃を巡って絶縁してしまう。 萩尾先生との訣別の件は歯切れの悪い文章が続く。都合よく記憶から抹消してしまいたかったのではないのか。 編集者Yさんは竹宮先生と萩尾先生の関係性を冷静に分析しながら、亀裂の原因を作った人物だと思う。 編集者に無許可で少年愛を掲載したくらい竹宮先生は「風と木の詩」を描きたがっていたのに、Yさんは先に萩尾先生の少年愛を掲載した。不義理にも見えるが、生徒同士のセックス、生徒と教員による売買春、少年と父との近親相姦が描かれている「風と木の詩」を載せるのは、商業誌にとって大きな賭けだと思う。 実績の不足した漫画家が掲載しても、すぐに打ち切られただろう。編集者と漫画家、相性の良さでは乗り越えられない商業誌のシビアな部分だ。 「風と木の詩」を掲載にこぎつけるため、具体的な条件を示した編集者Mさんは、理想的な編集者だと思う。Yさんではなく、Mさんと先に出会っていたら、竹宮先生と萩尾先生の関係は少し違っていたのではないか。 萩尾、竹宮、両先生の告白本に登場する増山さんは、大泉サロンを探した人物でもある。築30年以上のオンボロ長屋のせいで竹宮先生達は増山家の風呂を借りる羽目になるのだが、それが狙いだったのでは…。 美意識が強く毒舌家、音楽家になってほしい親の期待に応えきれないまま竹宮先生に依存する増山さん、読み進めるにつれて彼女がジルベールと重なってしまった。
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表紙のジルベール、美しいですね。このジルベールが主人公であるかの名作「風と木の詩」を世に出すまでの苦闘、少女マンガの黎明期というか勃興期というか、高まる需要に対する描き手側の事情が詳述されていて、たいへん面白く読めた。読んだ当初は特に感想も書かず放置していたのだが、最近Kindleで再読した際に、萩尾望都著「一度きりの大泉の話」との関連で書かれたレビューが多く、そっちも読んでみた上で、感想を書いておこうと思った次第。 この本は、「大泉サロン」という「トキワ荘」の少女マンガ版みたいな世界の始まりから終焉まで、その間の葛藤を経てマンガ家として成長し大家となる竹宮氏のお話で、最後は「素晴らしい時間たち」と手放しで賛美している。中でも、萩尾望都氏のことに大きくページが割かれ、氏の絵の上手さやら創作の姿勢やら、かなり詳しく描かれていて、受けた影響の大きさを物語っている。結局、萩尾氏の才能への嫉妬から距離を置く途を選ぶことになり、大泉サロンは無くなってしまうのであるが。 竹宮氏がマンガ家として安定するのは、むしろ「大泉」後で、にこもよんだことのある「ファラオの墓」などを経てついに「風と木の詩」の連載にこぎつける。それが70年代の半ば。もう半世紀近く前のこと。もう何年も新作のマンガは描いていないのではないだろうか。だが、一ジャンルとして確立したBLの礎を築いたのは間違いないところだし、にこ的には、マンガを文学のような芸術作品の域にまで高めたマンガ家の一人だと思っている。少々鼻白むような思いもするが、第一線を退いた名プレイヤーが昔を懐かしんで、ちょっぴり美化して書いた本。そう感じた。 が、当然ながら、この本はあくまでも竹宮氏側の想いや考えで書かれたもので、この本で氏が名を挙げた他のマンガ家さんたち、特に萩尾望都氏側からすると、だいぶ事情は異なるようだ。本作では「24年組」と称して、旧態依然とした少女マンガ界を改革しようとしたマンガ家の集まりっぽく定義されているが、萩尾氏は自身がそこに含まれることに異を唱えている。 下衆の勘繰りだが、竹宮氏は本作を通じて萩尾氏と何らかの和解ができることを期待したのではないだろうか。が、その期待がかなえられることはなく、カウンターを食らったような状況で、両者のファンにいらぬ論争を招く結果となってしまった。これには、ドラマ化とかそういうことを目論む、異なる勢力の影響もあってのことで、これらの影響がなければ、萩尾氏側が「大泉」に関して本を出すことはなかっただろう。こういった楽屋裏というか舞台裏のゴタゴタ、覗き見るの楽しいよね。どっちが正しいとか悪いとかではなく、マンガ家自身の実像に触れられたようで。 でも、作品の前にマンガ家は立つべきじゃないのよ。過去の名作はそのまま、美しいままで、燦然と輝き続けていればいいのよ。竹宮氏、晩節を汚すことにならなければいいんだけど。そういう意味で、☆3つです。
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ジルベールといえばいまや魔性の少年の代名詞になっているけど、その生みの親であり名作「少女」漫画『風と木の詩』の作者による自伝的なもの。漫画家として上京してきてから『風と木の詩』誕生前夜までが書かれている。 意気揚々と上京してきて萩尾望都や増山法恵といった同志と「大泉サロン」を開き...
ジルベールといえばいまや魔性の少年の代名詞になっているけど、その生みの親であり名作「少女」漫画『風と木の詩』の作者による自伝的なもの。漫画家として上京してきてから『風と木の詩』誕生前夜までが書かれている。 意気揚々と上京してきて萩尾望都や増山法恵といった同志と「大泉サロン」を開き、『風と木の詩』的なものを書きたいと自分や周囲と戦っていく。竹宮惠子というと著名な漫画家だし学問や教育の場でも活躍した才媛という印象だったけど、これほど悩み苦しんだ時期があったのかという印象。一方で、この人は天才系ではなく努力系・理論派なんだなと思った。だから、学問や教育としても漫画をとらえることができ教えることができるんだろう。 学生運動にもちょっと首を突っ込み、でも自分は少女漫画で革命を起こそうと決めた竹宮惠子。そしてそのとおりのことをなし得た人。もちろん一人でできたわけでなく、1970年代のあの頃、様々な才能の化学反応が起きてのことだろう。そんな若者の熱さから生まれた物語を読ませてもらった。 それにしても、知識的には既知の事ではあるけど、少女漫画って少年漫画より一段……いや数段低く見られていたんだなあ。少年漫画のほうがよほど思想や思い入れがなさそうな感じがするのに。ただ単に、スポーツやゲームの世界のように男たちが自分の好きなものを社会的なものに位置づけ、それ以外を低く見ているだけのようにも思うのに。 でもこの本を読んで思ったのは、そういう思想とかとは別に技術的な理論のようなものが少年漫画ではだいぶ確立されていて、それによって一段高く見られていたのかもということ。それにしたって、書き手はともかく編集者に女性がほぼいなくて女性の視点が入っていなかったからってことだと思うけど。
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