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ヒトはなぜ争うのか 進化と遺伝子から考える
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新日本出版社 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784406059626 |
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ヒトはなぜ争うのか
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リチャード・ドーキンスの利己的な遺伝子?ジャレド・ダイアモンド?橘玲?どこかで読んだ事のある話が満載。でも、それでも良い。この手の本は、一つの研究論文を焼き直しているのだろうが、何度見ても面白い。例えば、人間は精巣の大きさから乱婚型だとか、ネアンデルタール人と交雑している証とか。...
リチャード・ドーキンスの利己的な遺伝子?ジャレド・ダイアモンド?橘玲?どこかで読んだ事のある話が満載。でも、それでも良い。この手の本は、一つの研究論文を焼き直しているのだろうが、何度見ても面白い。例えば、人間は精巣の大きさから乱婚型だとか、ネアンデルタール人と交雑している証とか。自らのルーツを知るのだから、知的刺激溢れる興味深い読書になるはずだろう。
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「戦争の世紀」と云われた20世紀が終わり、21世紀を迎えた今も戦争は絶えません。 戦争が絶えないどころか、テロという形で驚異は世界各地に拡散し、かえって事態は深刻になっているように映ります。 日本では、「より戦争に巻き込まれなくなる」という政府の考えのもと、安保法制が整備されたの...
「戦争の世紀」と云われた20世紀が終わり、21世紀を迎えた今も戦争は絶えません。 戦争が絶えないどころか、テロという形で驚異は世界各地に拡散し、かえって事態は深刻になっているように映ります。 日本では、「より戦争に巻き込まれなくなる」という政府の考えのもと、安保法制が整備されたのは周知の通りです。 この間、賛成、反対両派入り乱れて活発な議論(実際には互いに云いっぱなし)があったわけですが、「そもそも何故、ヒトは戦争をするのか?」と根本に立ち返った議論はありませんでした。 それはそうです、そんなところから議論していては、いつまで経っても埒があきません。 ただ、永遠普遍のテーマであることは事実で、折に触れて考えるべきテーマと云えましょう。 この永遠普遍のテーマについて、「進化と遺伝子から考える」というのですから、興味がかき立てられます。 結論から云うと、いや、大変に面白かった。 本書はまず、全宇宙の成り立ちから説き起こし、生命の誕生からその進化、ヒトの誕生と徐々に焦点化していきます。 宇宙の全歴史である137億年を1年間、365日に置き換えた「宇宙カレンダー」は有名ですが、最初の人類が誕生したのが「12月31日」で、北京原人が火を使用したのが「同23時46分」だと知って、ヒトの活動がほんの一瞬であることを再認識しました。 とはいえ、そのヒトだけが大きな脳を発達させて地球を支配するようになり、今や75億人もの人類が地球の隅々まで進出しています。 こうみると、地球は「ヒトの天下」のように見えます。 ただ、数の上では昆虫に到底及びません。 一説には、ヒト1人に対して2億匹もの昆虫が地球上には存在するそうです。 日本人の歴史は世界的に見てもかなり稀有なようです。 狩猟・採集・漁労生活を送っていた縄文時代は大きな争いもなく1万5千年も続きましたが、これほど長く平和で安定した時代が続いたのは、世界でも例を見ないのです。 「ヒトは自然に生かされている」という縄文時代からの考えは、現代の日本人の自然観の底流に流れていると云えましょう。 それは、たとえば虫の声を、西洋人(中国人や韓国人も)は右脳で聞き、雑音として処理しているのに対して、日本人は言語を処理する左脳で聞いて楽しんでいることにも表れています。 さて、本題の「ヒトはなぜ争うのか」にということについてですが、2足歩行を始めた猿人の時代を含め700万年、さらに新人になってからの20万年の間に、ヒトとしての行動を支配する遺伝子が培われてきました。 この間、争いが絶えることがなかったことを考えると、生物学的には「争う遺伝子」があるというのが著者の見立てです。 しかし、一方で、ヒトは生物の一種でありながら、巨大脳を発達させてきました。 つまり、生まれつき生き物として持っている行動パターンを変え、新しい社会を切り開き、よりよい世界を作ることができるのです。 それが、他の動物とは決定的に違うヒトの能力です。 当たり前のことのようですが、実は意外と理解されていないのではないでしょうか。 グローバリストの中には「弱肉強食」「適者生存」などと訳知り顔に云う人があるが、決してそうではありません。 実は自然選択には強者も弱者もなく、弱者もそれなりに生き残ることはよく知られた事実です。 それに人間に限らず、遺伝子がすべてを決めているわけではありません。 ヤマベもサクラマスも同じ遺伝子ですが、その環境に応じて川に残るか海に残るかで形も生き方も違ってきます。 さらに人間社会には、遺伝子(ジーン)だけでなく、文化遺伝子(ミーム)も大きな役割を持っています。 そしてミームは教育次第でいかようにも変わる。 人間は自然淘汰の世界から逸脱し始めたので、その意味からも「適者生存」の原則は適用できないのです。 著者は最後に、このように結論付けます。 「ねじまがった愛国心に基づく戦争や、憎しみの連鎖を断ち切り、復讐の繰り返しの悲劇を食い止めるにはどうしたらよいだろう。これまでも繰り返し述べてきたように、野生動物とヒトとの違いは大きく発達した脳だ。ヒトはその巨大脳で言語を獲得し、思考し、思索し、情報のやりとりをし、相手と駆け引きをする中で理性を発達させてきた。この理性をもっと発達させ、動物的な感情を抑えることが大事だ」 著者自身、「実に平凡な結論」と自嘲気味に語っていますが、私はこの「平凡な結論」に未来を託したいと思うのです。 ちなみに著者は北海道生まれで、北大理学部卒の理学博士。 1970年から2007年まで北大理学部で研究・教育に従事しました。 それだけに北海道に関する記述も多く、特に本州とは異質の歴史であったことをあらためて知って、道産子としては嬉しく思いました。 他の著書も読んでみたいです。
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