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マーケット進化論 経済が解き明かす日本の歴史
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 日本評論社 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784535558144 |
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商品レビュー
3.7
4件のお客様レビュー
[商の知恵の跡]日本史を「市場(マーケット)」の成長・変化という観点から考察した作品。楽市・楽座,租庸調といった,教科書のどこかで目にしたことがあるような言葉が新たな意味を持って立ち上ってくる,目からウロコの一冊です。著者は,経済史を専門とする横山和輝。 一味違った角度から眺...
[商の知恵の跡]日本史を「市場(マーケット)」の成長・変化という観点から考察した作品。楽市・楽座,租庸調といった,教科書のどこかで目にしたことがあるような言葉が新たな意味を持って立ち上ってくる,目からウロコの一冊です。著者は,経済史を専門とする横山和輝。 一味違った角度から眺める日本の歴史という意味だけでも抜群に面白いのですが,「市場」という概念がそもそもかつての日本にはなかったことを考えると,驚きすらも覚えさせてくれる作品です。「日本人は商売下手」と言われることもありますが,本書を読むと,商売をするための素地作りはなかなか上手だったんじゃないかと思わせてくれます。 〜マーケットは,自由放任とすればうまくいくわけではありません。かといって,人々のビジネス慣行を無視したルールを設定するわけにもいかないのです。制度設計あるいは市場設計などと言葉を使うのは簡単なことです。しかしながら実際に政策として遂行する際には,様々な利害関係を調整しなくてはなりません。市場設計の歴史は,いかにして利害調整に成功したか,あるいは失敗したかをめぐる物語でもあります。〜 挿し挟まれる著者の家族のエピソードがほのぼの☆5つ
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日本史における経済的トピックを取り上げたコラムのまとめ。 朝廷が全国を支配し、租庸調を集めその循環を始めたところに取引および市場が活性化してきた。戦国時代は、権力が分散されたため、各戦国大名が富国政策として市場の整備特に信長の楽市楽座政策が生まれることになったが、それぞれは分断さ...
日本史における経済的トピックを取り上げたコラムのまとめ。 朝廷が全国を支配し、租庸調を集めその循環を始めたところに取引および市場が活性化してきた。戦国時代は、権力が分散されたため、各戦国大名が富国政策として市場の整備特に信長の楽市楽座政策が生まれることになったが、それぞれは分断されていたため難しい政策課題であった。 年貢の徴収は、太閤検地の際の度量衡の統一が重要な事項であるが、農民たちの計算能力も石高を測る際には重要であった。九九は奈良時代の文献にもあり、藤原家の7歳児の教科書にも記述がある。明治時代には小学生も福利の計算をしていた。 江戸時代には、上方を中心に工芸品が集められ、江戸に下って行った。またその裏側に貨幣経済と米市場が発達して行った。
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※このレビューにはネタバレを含みます
楽市楽座は、座の本所にとっては打撃でしたが商人たちにとってはビジネスの新天地が与えられたものでした。戦国大名は有力商人との結びつきを強め、領国支配の基盤を固めます。 (中略)この他にも、駿府今宿の豪商友野座を支配下においた今川氏、越前北庄の唐人座と結びついた織田氏・柴田氏など、戦国大名は座を支配下におきます。彼らは遠隔地取引の実績があるこうした有力商人を招いて、城下を活動拠点とさせたのです。ここに、城下町というビジネスの一大拠点が形成されることになります。(p.59) 第1に、自然災害は、短期的には経済成長にマイナスの影響を与える一方、復興を通じてより高度な物的資産が普及することなどを通じて長期的にはむしろ成長にプラスとなることが知られています。関東大震災もまた、復興を通じて日本経済が産業化を推し進める契機となりました。 物的資産が失われたことの第2の側面として、不良債権が累積するという問題があります。物的資産が健全であればその資産は収益をもたらすでしょう。だからこそその資産の元手となる資金の返済に充てることができます。その物的資産が焼失したとなれば、資金返済の見込みが薄れます。すなわち、貸し手は不良債権を抱えてしまうことになります。(pp.141-142) 景気回復の要因は3つに分類できます。第1に金本位制離脱による為替ショック、第2に技術進歩、そして第3が金融システムの進化です。(中略)技術進歩:発電電力が水力から火力へシフトするとともに、電力料金が低下します。電気機械をはじめ製造業各工程の電化が進み、技術進歩が達成されます。他部門への波及効果という点では鉄鋼業が躍進し始めるなど、重化学工業の進展がみられます。(中略)金融システムの進化:株式市場を軸としたコーポレート・ガバナンスが機能していたことです。昭和恐慌のさなか、様々な企業で経営者交代がなされました。配当が少ない低水準な企業ほど経営者交代が進んでいたのです。(pp.169-170) 戦時体制から戦後改革を経て、政策レベルにおいて、市場や民間に任せる経済よりも計画重視の経済が優位であるとする考え方が強まります。それと同時に、企業システムの主体は資本市場参加者ではなく銀行に移ります。不特定多数の投資家が情報収集活動をもとに企業をオークション評価する仕組みから、情報収集の専門組織が長期的視野からプロジェクトをサポートする仕組みへと取って代わられるのです。(p.174) 「ハタコ」というのは漢字では旅籠と書きます。宿泊施設のことです。旅籠銭は宿泊料金を指すことになります。 『永禄六年北国下り遺足帳』では「サケ(酒代)」や「舟チン(乗船料金)」等も記載されていますが、支出項目の大半が「ハタコ銭」です。興味深いのは、各地の二人のハタコ銭が一定範囲(40文から50文)に収まっているという点です。宿泊サービスに関して広範囲な協定料金が設定されていたことが窺えます。そのため、移動範囲を設定すれば旅の必要経費が計算できたことになります。宿泊サービスにおいてこのような協定価格が成立したことは広範囲に活動する商工業者にとって不確実要素を軽減させる効果があったものと考えられます。 こういった宿泊サービスの協定あるいはネットワークは徳川の時代にも引き継がれていきます。この歴史的前提のもと、徳川政権は通行者向けのサービスとして、各地の宿場町近隣住民に助郷役と呼ばれる負担を課します。(pp.210-211) 鉄道という新機軸の交通手段が登場したことで、ビジネス面での人々の計算感覚は様変わりします。交通の発達、あるいは交通のイノベーションとは、交通を通じて時間や距離の概念が変化することを、ひいてはそれにより人々の計算感覚や行動原理が変わることもふまえて捉えるべきプロセスなのかもしれません。(p.215)
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