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誰がネロとパトラッシュを殺すのか 日本人が知らないフランダースの犬
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2015/12/12 |
JAN | 9784000610858 |
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誰がネロとパトラッシュを殺すのか
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商品レビュー
3.8
10件のお客様レビュー
フランダース(ベルギー)人の著者らによる、「フランダースの犬」を題材にしたドキュメンタリー。「ベルギー行ったときに聖地巡礼したら、現地の人フランダースの犬全然知らん」という類のエピソードは有名だと思うが、それがどういう事情で発生しているのかを原作小説、アメリカでの映画群、そして日...
フランダース(ベルギー)人の著者らによる、「フランダースの犬」を題材にしたドキュメンタリー。「ベルギー行ったときに聖地巡礼したら、現地の人フランダースの犬全然知らん」という類のエピソードは有名だと思うが、それがどういう事情で発生しているのかを原作小説、アメリカでの映画群、そして日本のアニメたちを通じて解説する。 先んじて「パトラッシュ、フランダースの犬――メイドインジャパン」というドキュメンタリー映画が製作されており、本書はその内容をさらに掘り下げたものだという。そのためか本書に関しても日本アニメの解説が異常に精密である。カルピスこども劇場版の全52話を1話ずつ解説するという力の入れようだ。 本書はある意味ヴィクトリア朝イギリス、20世紀ハリウッド、戦後昭和日本、そして現代フランダースの文化比較でもあるように感じ、なかなか面白かった。結局のところ、前者三つのどれともフランダースの価値観とは相容れなかった。だから原作も、映画も、アニメもフランダースではほとんど認知されなかったのだろう。 さて、本書はフランダース人がフランダース人に向けて記したものである。そのため、他国のフランダース像も受け入れてあげていいんじゃないか的な論調である。だけど日本人である僕としては「こんな本が書かれるくらい現地の人聖地巡礼に来た日本人のこと持て余してるのか」という微妙に申し訳ない気持ちになってしまった。旅行するときは現地の人を困らせないようにしよう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
kindle化されていなかったのでかなり久々に紙の本で読んだ。紙の本を読むのは3年ぶりぐらいな気がする。 フランダースの犬について。 ・ベルギーのフランダース地方(北側)で殆ど無名だが、日本では悲劇としてアニメ化され、アメリカではハッピーエンドで映画化された、イギリスの作家の作品。 ・1872年、イギリスの作家であるウィーダは真実を織り交ぜる系のデフォルメが好き。なので本作も様々なフランダース地方っぽくない情景が描かれる。 ー積雪なんてあんまりしないのに150センチも積もる雪。(12月の平均降雪日数は4日。過去最高積雪17cm) ーそもそも衣装や家の作りがフランス。( ーそもそもネロの出身がアルデンヌ地方(ベルギーのオランダ側)でマース川沿いのディジョン生まれとなってるが、ディジョンはフランスの街だしマース川沿いでもない。 そもそも論として、ウィーダの作風がこういった各地のいいとこ取りから妄想される舞台である。 ・半世紀に及ぶベストセラー作家だから金持ちなのだが、金遣いが荒すぎて金が無いタイプの女性でフランス人とのハーフ。 ・時代背景も、1872年の前年まで普仏戦争があった。 ・無類の犬好きで、かつしつけはしないタイプで大量の犬と母親とメイドで行動していた。フランダース地方は戦争の影響もあり犬を労働力として使っていたのでその揶揄も含まれていた様子。(また、自分の半分を流れるフランスの血がベルギーを罵りたかったのかも) ・元ネタは短編小説で、画家を目指す貧しい少年が虐められてた犬を引き取って牛乳配達しながら、貧しさに負けて犬と一緒に雪道で野垂れ死ぬ話。 ・アメリカ版フランダースの犬は、画家を目指す少年が無事画家になるというハッピーエンド。所謂アメリカンドリームを実現する話。 ・日本版は最後は教会で息を引き取り天使に連れられて天国に行く。 ・日本版、実はスポンサーのカルピス社長が敬虔なクリスチャンで、キリスト教的考えを広めようとして作った。また、日曜夕方の家族で見る時間帯なので、家族愛に溢れた仕様に変わっている。 ・フランダース地方では、ホーボーケン(ネロの家)とアントワープ(牛乳売りに行った都会)が観光名所となるべきだが、ホーボーケンはアントワープに行政統合されており、ホーボーケンに銅像があるがアントワープ側には小さいモニュメントがあるだけ。アントワープ側をこれ以上名所にしたらホーボーケン側が文句を言う。ちなみにどちらももはやかなりの先進都市化しているらしい。(元々、あの長閑な風景はそもそも存在せず、オランダ的な雰囲気だが) ちなみに、オランダとベルギーは中国と日本みたいなものなので、よくある上海とかの雰囲気が日本として描かれているのがフランダースの犬を現地人が見た時に思うもの。天使が連れていく描写は失笑ものらしい。
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自分の文化が海外からどの様に見られているかを目の当たりにすることは,心地よいことも心地悪いこともあって,外国の人からしたら「賞賛」の対象でも,自国民としては「それはちょっと…」って事は当然あって,「フランダースの犬」が,まさにフランダースの人々にとっては触れてほしくない,あるいは...
自分の文化が海外からどの様に見られているかを目の当たりにすることは,心地よいことも心地悪いこともあって,外国の人からしたら「賞賛」の対象でも,自国民としては「それはちょっと…」って事は当然あって,「フランダースの犬」が,まさにフランダースの人々にとっては触れてほしくない,あるいは見て欲しくない姿なのだろうとは容易に想像がつく.日本人だっていつまでも「スシ,ゲイシャ,ハラキリ,サムライ」では,「そりゃちょっと…」となるだろう. とはいえ,フランダース地方を訪れた経験からすると,アントワープは,大変友好的だったと言う印象しかなくて,日本で11年働いていたと言うウェイターに,日本語で見所を教えてもらい,ノートルダム大聖堂では,後ろから「日本の方ですか?」ときれいな日本語で話しかけられ,振り向けば青い目の金髪の青年が,日本語のパンフレットを手渡しながら「今日はオフィシャルな日本語ツアーがない日なんですが,私で良かったら案内します」と,ガイドを引き受けてくれたり,Dekonink目当てに入ったビアバーでは,周囲の皆さんから「日本から来たのかぁ!」と歓迎してもらい…フランダースの犬なんか無くても1000%楽しめたわけで,筆者が言うほど,日本人はアントワープに失望してないですよ,とは伝えておきたい.
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