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ありえない生きもの 生命の概念をくつがえす生物は存在するか?
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 白揚社 |
発売年月日 | 2015/12/01 |
JAN | 9784826901857 |
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ありえない生きもの
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第72回アワヒニビブリオバトル「【復路】お正月だよ!ビブリオバトル」第7ゲームで紹介された本です。チャンプ本。 2021.01.03
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深海のブラックスモーカーの周りで生きるチューブワームとか、地下数キロの地層中で見つかったバクテリアとか、僕らからすると想像を絶する生き物がいて、そういう連中の話だと思って楽しみに読んだ。 確かに彼らの話も出てくるけど、えっ?えっ?と思うくらいあっさりと通り過ぎてしまって、本題は...
深海のブラックスモーカーの周りで生きるチューブワームとか、地下数キロの地層中で見つかったバクテリアとか、僕らからすると想像を絶する生き物がいて、そういう連中の話だと思って楽しみに読んだ。 確かに彼らの話も出てくるけど、えっ?えっ?と思うくらいあっさりと通り過ぎてしまって、本題は本当に「ありえない生きもの」だった。でもありえない生きってのは、ありえない可能性のほうが高いわけで、もちろん見つかったわけじゃない。だから火星に生き物がいるかと思って探したけど見つかりませんでしたとか、SF作家がこういう異星生物を想像しました、といった話が中心で、どこにも着地しない。つまらないわけじゃないんだけれど、多元宇宙の生きもの、と言われても、うーん、と思うだけだ。 どっちかというとチューブワームとか、地下数キロのバクテリアとか、「今そこにいるありえない生きもの」のほうが不思議で、読みたかったな。
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タイトルと表紙から、チューブワームとかあの手のやつだな、と当初思ったけれど、それだけじゃない。チューブワームもいまでは広く知られるようになったけど、そもそもあんな極限環境に、間接的にも太陽エネルギーに依存しないで暮らす生命がいるなんて、少し前まで誰も思わなかったのだから、そこで思...
タイトルと表紙から、チューブワームとかあの手のやつだな、と当初思ったけれど、それだけじゃない。チューブワームもいまでは広く知られるようになったけど、そもそもあんな極限環境に、間接的にも太陽エネルギーに依存しないで暮らす生命がいるなんて、少し前まで誰も思わなかったのだから、そこで思考を止めてはならないのだ。 チェルノブイリ原発の原子炉炉心の水中で見つかった菌類は、放射線をエネルギーとして、細胞に同一染色体のコピーを保管することで放射線からのダメージに対処し、成長する。 けれど、楽しいのは、生物学者が「知っていること」よりも「知らないこと」のようだ。だって彼らだって、地球上に何種類の生物がいるか、なんて正確に答えられない。知らないことはまだまだ多いのだ。微生物のことだって、わかっていないことが多い。 このあたりで一冊の本になりそうだが、本書はここまでは、まだ海岸線をうろうろして、近くの島を二つ三つ偵察した程度、と語る。ここから先は、ほとんど海図に載っていない海域で、海岸線が見えなくなるところにも行こう、と! たとえば地球の生物が水と切っても切れない関係にあるのは、水がそこら辺にたくさんあったからだ。(血が赤いのも、鉄がたくさんあるから、だよね) では土星の衛星、タイタンに生物がいたとしたら。「生命現象が化学反応という現象に本来備わった性質であるなら、タイタンには生物が存在するはずだ」という仮説がある。地球の生物は酸素と有機物の化学反応で代謝を行い、二酸化炭素と水を排出する。タイタンの生物は、水素と有機物の化学反応からエネルギーを取り出して、排泄物としてメタンを出す、と考えられた。血は何色なんだろう。タイタンだけでなく、いろいろな天体の生命の可能性、というか想像が示される。 かつて宇宙はやがて熱力学的に平衡となる熱的死を迎える、とされていたが、膨張しつづけていることがわかり、その心配はなくなった。だが逆に、そうなると広がり続けるなかで、利用可能なエネルギーも薄くなっていくわけで、生物は倹約を強いられるだろう。代謝を遅くすることでそれに対処するだろう、といいたいところだが、思考は代謝の産物である。知的生命も思考速度を遅らせて一生の大半を冬眠状態で過ごすだろう、という推測があった。はるか先の未来における生命は、プラスとマイナスの電荷を帯びだ塵粒子の集合体で、自己組織化し、電磁気力で自己対話する、と。うーん、『火の鳥』の何周目か、みたいな話になってきた。これは著者の意見ではなくて、かつてあったお話。 そういう奇想天外生物がたくさん紹介されるが、それらはまだ見つかっていない。これからも見つからないかもしれない。でも、それを考えるのはいいこともある。思いもよらないことを予期し、従来の訓練や経験では認識できるように学ばなかったものを、認識する備えが出来る。 「ふつうの生物」にだって、僕らを驚かせる多くの機能・性質があるのだから、ましてやその先の、まだ見ぬ奇想天外生物のことを考えておくことこそ、学問ではないか。なんだか不思議とやる気が出てくる本だった。
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