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魔が差したパン O.ヘンリー傑作選 Ⅲ 新潮文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 新潮社 |
| 発売年月日 | 2015/11/01 |
| JAN | 9784102072066 |

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魔が差したパン
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商品レビュー
3.6
12件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
三作の中で唯一表題作含めて知らない短編しか収録されておらず、そのせいもあってかかなり新鮮な気持ちで読むことができた。表題作「魔が差したパン」は解説を読む限りでは翻訳の苦労が偲ばれる。内容はいつも古びたパンを買う客の素性が気になり、善意で押し込めたバターが、製図を書く時に消しゴムがわりにパンを使っていたことで皮肉な結末に繋がる物語であり、かなりのブラックユーモアである。画家ではないかと思われていた客の素性の謎、古びたパンばかり買う謎と、これは立派な「日常の謎」でもあり、タイトルも含めてオチも秀逸な短編である。 こうしたブラックな読み味の短編も今までのO・ヘンリーのイメージを覆す意味でも楽しかったが、今回の短編集の中で個人的に気に入ったのはやはり善意の物語であり、特に「都会の敗北」がとても良かった。田舎を出て都会で成功した男が妻を伴って故郷に帰り、夫を紳士だと信じ込んでいる妻の前でつい田舎の饗宴にハメを外してしまう話で、言ってしまえばただそれだけの話なのだが、それでも妻は幻滅せずに「ただの人」として愛するオチがとてもいい。それはまさに虚飾と見栄に彩られた「都会の敗北」であり、田舎という出自を冷笑することなく肯定的に捉えていることが逆に斬新でとても良かった。冒頭の都会に染まるまでも書き出しも素晴らしい。 三冊通じて少しばかりの読みにくさはあったものの、この作者が前面に出る語り口は癖になり、どの話もしっかりとオチがついているのがとても良かった。
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表題の「魔が差したパン」から読み始める。 訳がうまいのか、スラスラ読み進める。 最後にクスッと上質な笑いが沸き起こる。 外国人が登場人物なのでカタカナ表記となるが、これが覚えにくい。 中には、よくわからない短編もある。 なので総合点で3にした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なかなか良かったです。O・ヘンリー短編の中でも傑作選3冊のうちの3冊目。 東工大名誉教授の小川氏による傑作選・翻訳。 ・・・ O・ヘンリーは久しぶりです。もう20年以上ぶりかも。この短編集のうち数編は何だか読んだ気がします。 洒脱な雰囲気を漂わせつつ、労働者階級の悲哀や小さな喜びを描くところがいいですね。最後にくすっと笑顔をさせてくれます。 ニューヨークはマンハッタンに生きる賃借人、あるいはテキサスなど南部のメキシコ国境沿いで生活にあえぐ労働者など。偶然というスパイスを取り混ぜることで、ちょっとした幸せを彼らに運ぶ、というハッピーエンド系のお話が多い気がします。いわゆる感動ポルノ的な大がかりなものではなく、本当にクスっとしたやつ。 読むとちょっと元気になれるかも。 ・・・ その中でも好きだったのを幾つか挙げておきます。 「魔が差したパン」・・・表題作。オチが少しずつ見えてきますが、よかれと思った行いが逆の行為を生んだという構図。恋心+お節介=ありがた迷惑、という悲しい結末。 「都会の敗北」・・・埃っぽい農場出身のロバートは、出世し、ニューヨーク社交界で大成功。とうとう高嶺の花、アリシア・ヴァン・デア・プールとの結婚に成功。隠していた母親からの手紙を妻が発見し、赴くことになった生まれ故郷。場違い感が半端ない妻から語れる言葉は・・・。 「シャルルロワのルネサンス」・・・フランス出身の没落貴族のシャルルが催す一代一世の浪費ディナー会。誰にも信用されず客がこないなか寂しいディナー会がはじまるも、神様は彼を見捨てなかった! 南部のマルディグラを思わせる雰囲気のある作品。 もちろんですが、それ以外にも「クスっ」系のユーモア交じりの作品が多かった印象。 ・・・ ということでO・ヘンリーの短編集でした。 訳者の小川氏が頑張って訳出した旨をあとがきに書いていましたが、それを読むにつけ原書でも読んでみたいなあと思った次第です。たぶん版権は切れていると思いますので、廉価で売っているのでは、と思います。まあ私はほんとうに安くないと買わないシブチンですが。
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