月と手袋 江戸川乱歩文庫

江戸川乱歩(著者), 落合教幸

• 販売会社／発売会社: 春陽堂書店
• 発売年月日: 2015/11/01
• JAN: 9784394301561

商品レビュー

2024/12/28

　「月と手袋」のほか、「地獄風景」、「モノグラム」、「日記帳」収録。

　「月と手袋」は倒叙形式で犯人が心理的に追い詰められるサスペンス。「モノグラム」と「日記帳」は淡い恋に隠された真相が語られる恋愛ミステリ。

　しかし「地獄風景」…これはいけない（いい意味で）。
　郊外に建造された金持ちのヘンテコ遊園地で起きる連続殺人、その犯人を追うという展開はあるものの、そんなことどうでもよくなる最後のまさに「地獄風景」。おもちゃ箱を適当に片づけて最後全部ひっくり返したような感じ。はちゃめちゃすぎる怒涛の展開。未読の方は是非一読してほしい。乱歩作品への印象が変わると思う。

　本書のように毛色の違う物語を見事に紡ぎだす乱歩先生はやっぱりすごい。
　「四十女のふてぶてしいおしり」、「半ちぎれの肉塊どものネコ踊り、化けネコ踊り」など、ワードセンスもすごい（ネコは犠牲になりません。ネコはね…）。