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友罪
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友罪
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商品レビュー
4.1
217件のお客様レビュー
最後に主人公が実名で出版した手紙は主人公が鈴木に出会ってから別れるまでの葛藤がまとめられていて読了感があった。鈴木に届いて欲しい。 あと、美代子は幸せになって欲しい。
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なぜ(当時の)少年はそんな犯罪を犯したのか?という動機の部分を普通は描きそうだけど、あえてその辺りは直接触れず、彼のその後に焦点を絞っていることで、物語のテーマがより明確に示されていると感じた。 また、益田や美代子といった、彼に関わった人物達の葛藤が綴られていくので、少年犯罪の犯人に対する世間の反応の縮図を見ているような感覚に陥る。鈴木自身のモノローグはなく、終盤に一見異常とも取れる行動についての理由が明かされた時は、自分も彼を生まれついての猟奇的な人物と見ていたと、はっとさせられた。 関係者は皆、これからも重い苦しみを背負っていくのだろう。けれど、鈴木の純粋な想いでした行動や言動が、結果的に誰かの救いになっているのも事実で、微かな希望に思えた。
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視点人物として登場するどの人物にも共感ができる。だからこそ、彼らから見た鈴木に魅力的な部分があればあるほど、鈴木の過去を知る読み手側は「でもこいつにはとんでもない過去がある」と葛藤することになる。解説でも述べられているように、決して鈴木の視点は描かないところに、著者の巧みな構成力や筆致力を感じる。 どの人間よりも忌まわしい存在であるはずの鈴木よりも、荒んだ人間が多く登場するのも重要な点だと思う。 恐らく自分も含めて読み手のほとんどは鈴木よりも達也に憎悪を抱くし、清水や内海の薄っぺらさにも人間なんて所詮こんなもんだよなという失望を覚える。その一方で、達也とは比べ物にならない大罪を鈴木は犯しているということは忘れてはならないし、いざ自分が清水や内海の立場ならそういう態度を取ってしまうのではないかと内省することにもなる。 不気味なまでに唐突に益田を「親友」と呼び始めるところに、鈴木にとって益田はやっと巡り会えた希望の光だったのかなと思うとやるせ無い。 普段、ニュースなどで凶悪な事件を見るたびに、「こんなやつ死刑になればいいのに」と思うことが多々ある。しかし、自分が善だと思っていたことが実は悪なのかもしれないと、価値観が揺らぐ一冊だった。 ただただ、美代子に少しでも救いがあることを願いたい。
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