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禁断のスカルペル
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本経済新聞出版社 |
発売年月日 | 2015/11/01 |
JAN | 9784532171377 |
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禁断のスカルペル
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商品レビュー
3.3
7件のお客様レビュー
タイトルの「スカルペル」とは医療用のメスのことで、「禁断の」と頭につくのは、病気腎移植を巡る医療小説だからです。 日経新聞連載小説だったので読んでみました。 序盤は主人公の女医の院内不倫から始まり、離婚、失職・・・と泥沼化していくばかりで、ホントにこれが医療小説?と疑うほど...
タイトルの「スカルペル」とは医療用のメスのことで、「禁断の」と頭につくのは、病気腎移植を巡る医療小説だからです。 日経新聞連載小説だったので読んでみました。 序盤は主人公の女医の院内不倫から始まり、離婚、失職・・・と泥沼化していくばかりで、ホントにこれが医療小説?と疑うほどでした(苦笑)。 が、主人公が東北の病院に赴任してからは病気腎移植の是非が論じられ、丁寧な解説のお蔭で私にも分かりやすく、いろいろと考えさせられとてもよかったです。 しかし終盤、腎移植の調査員が偶然元不倫相手、移植を阻む派閥の長が実父(主人公は私生児)、患者は主人公の娘(幼児の時に離婚したので母を覚えていない)、とありえない設定に違和感ありあり。 更に東日本大震災まで絡めてある。それ、主題に必要だった?と突っ込みたくなりました。そして最後は家族の愛の物語みたいに締められてて、結局著者は何が書きたかったのかがよくわかりませんでした。 ただ、物語の中に出てくる患者の中で、娘から腎移植をしてもらい生き延びた父親が、その後東日本大震災でその娘を亡くしてしまうという辛い経験をします。 その父親の生死観が胸に刺さり、思わずその部分を写メしてました。 物語全体としては☆2の評価ですが、このセリフのために☆を一つプラスしました。 長いけど、最後にそれを書き留めておきます。。 私は一人で生きているつもりになっていたし、何事にもまず自分というものがある、と思い込んでいた。 でもね、そうじゃなかった。今度の震災でよくわかったんです。私はね、私一人じゃなく、例えば死んだ娘や、家族や、知り合いや、仲間や、その他の者たちとの記憶を共有していて、その記憶がなかったら、私は私じゃないんだ。そういう時間を取り除いたら、私ってものが消えてしまう。 私が生きるというのは、そういう他のモノとの繋がりで生きているんであって、一人で生きているんじゃない。死んだ者についていえば、私は震災を生き残った者として、死んだ純子や他の多くの者たちの記憶を整理して、 自分の心の中 にあの者たちが住まう場所をつくらなきゃいけない。そういう意味で、私というのは彼らの記憶そのものなんですよ。 だから純子は私が思い出すかぎり、私と一緒にいるんです。あの子がくれた腎臓は、それを思いだすためのよすがなのです。 偉そうなことを言うようだが、私たちの人生に意味があるかどうかなんて、実はわからないんだ。生命に意味があるかどうかも、わからない。じっさい、人間は生きて、死ぬのを繰り返すだけなのかもしれない。 だけど、ふと周りを見渡せば、私たちが死んだら、悲しむ者が確実にいるんです。私にとっては純子がそうだった。純子は私を死なせたくないばかりに、自分の腎臓をくれた。そして今、その思いが私を生かしている。 純子が死んでよくわかったんです。 私の死を必死に食い止めようとする者たちを、悲しませないためにも、私は生きなきゃならない。罪とか負債だとか言っていられない。私はあの者たちのお蔭で生きる意味を知った。あの者たちのためにも生きなきゃならないんです。
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病気腎移植(“病気”という単語が後ろ向きなので「修復腎移植」とも呼ばれるそうな)を扱った問題作。読み応えたっぷりでした。ただし、果たして3・11を絡める必要があったのか、疑問ではあります。ちなみに、「スカルペル」とはメスのことだそうです。
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