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好色一代男 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集11
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好色一代男 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集11

池澤夏樹(著者), 島田雅彦(訳者)

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好色一代男 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集11

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2015/11/12
JAN 9784309728810

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好色一代男

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2023/08/04

230804*読了 今巻は江戸時代の文学。 「好色一代男」は江戸版源氏物語。主人公の1歳ずつの短い色話が五十四篇。 源氏物語をすでに読んでいて、そこまで話が重なっているところは多くはないように感じたし、この話の方がかなり俗っぽい。 一人の人生でここまで!?と驚くほどの男女問わずの...

230804*読了 今巻は江戸時代の文学。 「好色一代男」は江戸版源氏物語。主人公の1歳ずつの短い色話が五十四篇。 源氏物語をすでに読んでいて、そこまで話が重なっているところは多くはないように感じたし、この話の方がかなり俗っぽい。 一人の人生でここまで!?と驚くほどの男女問わずの肉体関係。そのうちの数人とのやりとり。 永遠の誓いをしたのにほどなく捨ててしまったり、勘当されて出家したのにすぐにやめたり…おいおいと言いたくなるエピソードだらけ。 その破天荒ぶりがおもしろいのだけど。彼の最期もきっと恋と愛にあふれていたのだろうな。 「雨月物語」は、ぞわぞわとする物語が九篇。中国の話になぞらえているそう。 人間の怨念は恐ろしい。昔はよりこういった話がリアルにも感じられて、読む人を震え上がらせたのだろうな。 「通言総籬」は訳者さんの思いが強い。強すぎるあまりの注釈の多さ。注釈って勉強になるし、より深く知ることができる点は良いのだけれど、すらすらと話を読めなくて、没入感が薄れてしまうのが難点だなあと思う。 今で言うゴシップネタ。芸能ニュースや流行を伝える記事のようなもの。 当時は歌舞伎と吉原などの花柳界から流行りが生まれていて、この時代でも今みたいに言葉を略して使っていたり、流行語、その場所だけで使われている言葉があったりしておもしろい。 日本の文学は言葉をたくさん並べたり、美しい服装について詳しく記述されたりしているところが特徴的で日本人らしさを感じる。 話そのものよりも、当時、この読み物を楽しみにして、これで情報を知ろうとしていた人たちを想像したり、当時の女遊びがリアルに浮かび上がったりするところがいい。 「春色梅児誉美」は、島本理生さん訳がなんとも素敵。島本理生さんといえば切ない恋愛小説のイメージ。 三人称で書かれた話をあえて、その場面ごとに一人称を語る人物を決めて、その人の視点から書くと言うアレンジが巧みすぎる。 収録されている四作の中で一番現代っぽく仕上がっていて、読みやすかった。 この小説はなんといっても女性たちが主役。うだつのあがらないなよなよとした女好きの男性に惚れ込む米八とお長。こんな男ほっといたらいいのに!と思っても、ついつい尽くしてしまうのが恋心。わかる。 いろんな立場の女性の恋模様と、強く生きていく女性たちの様子が鮮やかに描かれていて好き。

Posted by ブクログ

2023/06/25

雨月物語のみ読了。 白峰 崇徳院というのは日本最大の怨霊だと読んだことがある。崇徳院を慕う西行が、その霊と出会い、あさましくも怨霊となった姿を嘆く話。 菊花の契り 約束の菊の花の時期に間に合わないから、と自害するかぁ。ちょっと自体感覚的にちがうものを感じる。 浅茅が宿 この...

雨月物語のみ読了。 白峰 崇徳院というのは日本最大の怨霊だと読んだことがある。崇徳院を慕う西行が、その霊と出会い、あさましくも怨霊となった姿を嘆く話。 菊花の契り 約束の菊の花の時期に間に合わないから、と自害するかぁ。ちょっと自体感覚的にちがうものを感じる。 浅茅が宿 この物語を踏襲する後代の話は多いね。 夢応の鯉魚 鯉の絵を上手に描く僧侶が、鯉になって泳いでいたら釣り上げられてしまったという話。奇妙な味、といったところか。 仏法僧 旅の僧が出会った霊たちの酒宴。例の正体が豊臣秀次だったあたり、描かれた時代かなぁ。最近だと秀次像、かわってきてるし。 吉備津の釜 これもまた、後代に下敷きとする物語が多い気がする。助かったと思って外に出たら、まだ夜だった、という恐怖。 蛇性の婬 これもバリエーションが続いた話。映画の雨月物語も、この話と浅茅が宿を混ぜた感じだったね。 青頭巾  この話の前半は知っていた。愛する稚児の死によって、死肉を食らう鬼になった僧侶の話。禅僧によって、最後は成仏するんだね。 貧福論 蒲生氏郷の家臣で岡佐内という人物が、武士として優れているんだけど、吝嗇で評判が悪かった。だけどあるとき、身分の低いものが大金をもっていると聞くと、それだけがんばってためたのだろう、と褒美に十両出したという。ただのケチじゃなかったんだ、と評判をあげ、さらには金の神さまが現れて、お前は正しい、と・・・これはなんとも解釈が難しい気がした。倹約することに武士の立場から意味を見出す議論、といったところか。

Posted by ブクログ

2022/07/16

原文の一部が載ってるくらいので読みたいと思ったけれど、完全現代語訳。だけど、それぞれ訳された作家さんたちのセンスがキラリと光り、江戸文学のエッセンスがギュッと詰め込まれた、お値打ち品の一冊。 好色一代男 原作: 井原西鶴/ 現代語訳 島田雅彦  七才の時、夜中に子守に連れられて...

原文の一部が載ってるくらいので読みたいと思ったけれど、完全現代語訳。だけど、それぞれ訳された作家さんたちのセンスがキラリと光り、江戸文学のエッセンスがギュッと詰め込まれた、お値打ち品の一冊。 好色一代男 原作: 井原西鶴/ 現代語訳 島田雅彦  七才の時、夜中に子守に連れられてトイレに行った時、足元が危なくないように蝋燭を持って付いていてくれた子守のお姉さんに「その火を消して、そばに来て」。「足元が危ないから、こうしているのに、明かりを消してどうするんです。」と子守。「恋は闇ということを知らないの?」。 この頃から、クレヨンしんちゃん顔負けの天才好色男児、世之介! 八歳の時に、伯母さんの家に暫くお世話になっていた時に、好きだった従兄妹のお姉さんに 「この間、僕があなたの大切な糸巻きを踏んで壊した時に、腹が立ったでしょうに「全然大丈夫よ」と言って怒らなかったのは、何か内緒で僕に打ち明けたいことがあったからじゃないですか?もしそうなら、聞いてあげたいです。」という手紙を自分で書けないから、自分のお習字の先生のお坊さんに書いてもらって、下女を通じて従兄妹のお姉さんに渡した。お陰で、代筆したお坊さんは自分が誤解されて迷惑を被った。 十歳の時には、早くも男色の気も現れ、十一歳の時には遊郭に出入りを始め…。あちこちで綺麗な人と「いつまでもいつまでも一緒にいようね。」と誓いあって、相手に血判を押した誓約書まで書かせるのだけど、世之介のほうこそ一人のひとに落ち着けないんだね。悪気はないんだけど。「子供が出来た」と言われれば逃げちゃうし。 ろくでなしの女たらし。こんな物語でも340年も経ったものだと立派に“古典”として扱われるのか…と思ってふと後書きを読んでみたら、なんとなんとこれは「源氏物語」のパロディで源氏物語五十四帖を世之介の7歳から60歳までの好色遍歴54年になぞらえているらしい。そもそも日本文学というのは、イザナキ・イザナミの頃から色恋が大好きで、戦いと冒険ばかり描いていた「イーリアス」や「オデュッセイア」とは違うんだって。 そういえば、世之介は光源氏に似てるんだ。ただの好色ではなく、生まれつきのイケメンで、おしゃれで、気が優しくて、くどき上手で、男にも女にもモテる人たらしなのだ。親に勘当されてお金が無いときでも、流しの歌手として身を立てながら、相変わらず色恋沙汰を休まない姿は憎めないし、親の遺産が入って大金持ちになったあとは、可哀想な遊女がいると、サッと身請けしてやり里に返してやるなど、男っぷりのいいことするし。吉原や島原で名だたる、当代一と言われた遊女たちの本命も“世之介様”だったし。 中年になってから、いつもの遊び仲間と、あっちの遊女がいい、こっちの遊女がいいと品定をする会話の場面なんかは、源氏物語の「雨夜の品定」そっくり。 最後には、愉快な仲間たちと舟に往年の遊女巡りの思い出の品を詰め込んで、恋風任せで船出して、行方をくらました。その前に「夕日影 朝顔の咲く その下に 六億円分の 光残して」という歌を刻んだ茶臼石に朝顔の蔓を這わせ、その下に埋めた六億円、まだあるのかなあ(京都の東山だそう)。 あとの3遍も凄く良かった。書きたいことはいっぱいあるけれど、時間の都合で、紹介だけ。 雨月物語 原作: 上田秋成/ 現代語訳: 円城塔 通言総籬(つうげんそうまがき) 原作:山東京伝/ 現代語訳: いとうせいこう 春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)原作: 為永春水/ 現代語訳: 島本理生   「通言総籬」は江戸っ子のリズム感がいい。落語を聞いている感じ。イナセ。今、江戸で流行っているファッションやイケてることなどがビンビン伝わってくる。 「春色梅児誉美」は現代の人に分かりやすいように三人称を一人称に変えて訳すという工夫されたらしいが、現代小説と変わらない。泣けるラブストーリーであり、心温まる感動の再会、友情の物語。島本理生さんのオリジナル作品読んだことないけれど、興味が湧いた。

Posted by ブクログ