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skmt 坂本龍一とは誰か ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2015/11/01 |
JAN | 9784480433077 |
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skmt 坂本龍一とは誰か
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商品レビュー
3.5
6件のお客様レビュー
坂本龍一の言葉は高尚過ぎて、理解できないことが多かった、会話する事があるならば、交わることはないんだろう、次元が違う別の階層にいる人 この本で良かったのは、フランク•ザッパを知った事、ドビュッシーを聴こうと思った事、自然の1番の敵は人間だという事 坂本龍一の音楽は哲学でできている...
坂本龍一の言葉は高尚過ぎて、理解できないことが多かった、会話する事があるならば、交わることはないんだろう、次元が違う別の階層にいる人 この本で良かったのは、フランク•ザッパを知った事、ドビュッシーを聴こうと思った事、自然の1番の敵は人間だという事 坂本龍一の音楽は哲学でできている 坂本龍一はいつも憂いている 彼の透明感のある音は素敵だという事
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「どんな音楽をやっていきたいのか。そういうのはない。誰かのためにという目的を持った音楽はわりと簡単で、僕にとって面白くない。だから、何のためにという目的なんかどこを探してもないような、僕という人間がそれをつくりたいから、という原因しか生まれてこないような音楽をやることを考えていま...
「どんな音楽をやっていきたいのか。そういうのはない。誰かのためにという目的を持った音楽はわりと簡単で、僕にとって面白くない。だから、何のためにという目的なんかどこを探してもないような、僕という人間がそれをつくりたいから、という原因しか生まれてこないような音楽をやることを考えています」(p.73、「どんな音楽を?」より引用) あまりに遠い。遠いがゆえに、心惹かれ、そちらへと足が向いてしまう。 坂本龍一、遠いのはなにもあなたが鬼籍に入ったからではない。 むろん、ぼくが今後いかなる活動を為そうとも、あなたと協同することはおろか、目に触れることさえ叶わない、此岸と彼岸のはるかな距離に隔てられたことは悲しい。 だがそういう遠さは、差し当たって、そこまでの重大事ではない。 本書『skmt』を読んで真っ先に連想するのは、トルストイの『イワンのばか』だ。 坂本とイワン、両者に共通するものをあえて一言で述べようとするなら、誠実さか。他ならない、じぶんの格率にたいする誠実。結果としてみずからの存立が危ぶまれたり、あとで顧みて行動の軌跡が一定に定まっていなかったりすることを彼らはちっとも恐れない。過激だ。その生き様を「ばか」と一笑に付すか、あるいは、既存の枠組みに安住することを潔しとせず、痛みや不可解を恐れずに突き破っていこうとする、森岡正博のいう「生命の欲望」に真摯な者と見做し、その背を追うのか。背——理念はあまりに遠い。 「うん、僕、ニーチェとかよく知らないけど、近いのかなあ、問題としては。人類に救いはないけれど、理念は指し示さなきゃならないっていうような元気さがあるでしょ。非常に深く絶望してるんだけど、それだけじゃどうしようもないっていうか。なんか別の元気さがあるような気がするんだけどね」(pp.179-180、「未来/希望」より引用) あなたが生き切って示した理念のほうへ、たとえそれが不在と知りつつも。 岩波少年文庫についての愛着を語った『本へのとびら』で、『イワンのばか』を、50冊の推薦図書のひとつとして挙げた宮崎駿は、こう語っている。 「人はどのように生きるべきなのでしょう。子供のころ、この本を読んでぼくはとても心をうたれました。ばかのイワンのように生きられたらどんなにいいか。でも、それはとてもむずかしい。自分にはできそうにありません。そう思うのに、ぼくは今でもばかのイワンのように生きられたらと、時々思います」(宮崎駿『本へのとびら』、2011、p.18) あえて口にするのも阿呆らしく烏滸がましいことだが、ぼくは坂本龍一になれない。 そう思うのに、きょうも鏡に向かって神妙に髪をセンターパートに分け(長さがまったく足りず現状はニコラ・テスラである)、彼に関する本を紐解き、キーボードやストリートピアノで「aqua」演奏に取り組みつづけながら、思慕することをやめられないでいる。
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「坂本龍一というものは、坂本龍一自身も所有していない、分裂し、矛盾に満ちながら運動し続ける総体である。だからこそ、ばらばらに断片化し、それぞれが次の『種』となるように、つまり散種として記述するスタイルをとった」 聞き手を務めた編集者の後藤繁雄がこう書いているように、本書は199...
「坂本龍一というものは、坂本龍一自身も所有していない、分裂し、矛盾に満ちながら運動し続ける総体である。だからこそ、ばらばらに断片化し、それぞれが次の『種』となるように、つまり散種として記述するスタイルをとった」 聞き手を務めた編集者の後藤繁雄がこう書いているように、本書は1996年から2006年を生きた坂本龍一の「アモルファス」な状態の思考の断片を蒐集し、流動するままに本という物体に仕立て上げたような不思議な質感の書籍であり、読書体験だった。 無数の断片的な思考は固着されていないがゆえに、アメーバのように時間と空間を超えてつながりあい、なんらかの新しい意味を形成している。それを予見と呼ぶこともできるし、真理とも呼ぶこともできるだろうが、宙ぶらりんで掴みどころのない本でもあるなと思う。そこに生の坂本龍一を感じられたような気もしておもしろかった。
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