かなみ育成中！(1) まんがタイムC

田口ホシノ(著者)

• 販売会社／発売会社: 芳文社
• 発売年月日: 2015/11/07
• JAN: 9784832254343

商品レビュー

2016/02/06

あえて、オブラートに包まないで、本音の感想を書くが、正直、読み始めは面白いな、と感じられず、「ふむ、ハズレとまでは行かないが、ちょっとマズったかな」と気落ちした
ただ、中盤からじわじわと面白くなってきた。具体的に言うと、第６話あたり
そもそも、田口先生は画力が高いので、ストーリーさえ、しっかりレールにさえ乗せられれば、勢いを付けられるタイプだったのだろう
ヒロイン・かなみの個性が結構、インパクトがある
傍目から見ると、普通の女子高校生なのだが、中身は立派なおかん。作られたキャラとかじゃなく、完全に母親ポジション。これは、多忙な両親に変わって、二人の弟の面倒を見ていたからこそ、形成された個性と言えるだろう。やはり、キャラクターってのは生まれじゃなく、環境に左右されるのか
しかも、このかなみ、単に面倒見が良く、家事と子育てスキルが高いだけなら、まだ良かったのだが、かなり重度のブラコン気質だ。読んでいるコッチが、彼女の将来に不安を覚えるレベルだ
ちょっと、オチの弱さを感じる時もないではないが、実際、こんな所帯じみたＪＫっていそうだよね、と読み手に思わせるリアリティの満ちた四コマはテンポが良く読みやすい
また、そんなかなみを心配し、ズケズケと容赦のないダメだしをかます親友ポジションの、結も結構、いいキャラだ
女子高校生のイメージに言動が全く当てはまらず、お母さんとしての生き方が染みつきすぎちゃっているかなみに、こんだけ振り回されていても、まるで友情の光が曇らないトコは、ほんと、凄いな、と思った。まぁ、結も結で、かなみの世話に執着しすぎていて、青春を女子高校生らしく過ごしているかっつーと微妙、いや、アウトな訳だが
終盤では、お母さん同盟（？）に新たなメンバー・さきが加入し、これから、もっと賑やかになりそうだ
女子高校生３人の姦しい日常系でも面白いが、当初の目的通り、彼氏造りにも励んでいただきたいもんだ。子育て云々自体は賞賛されるべきだが、ここまで、男っ気がないってのは寂しすぎる。かなみとさきはともかく、結は何気にフラグが立ってる訳だし、回収できるはずだ
個人的にお勧めの話は、かなみが温泉の魔力に負け、腑抜けになるも、赤ちゃんと聞くなり、復活を果たす第１３話だ。勿論、サービスシーンが多くて嬉しかったってのもある
この台詞を引用に選んだのは、手厳しいが的を射ているな、と思ったので。これは、ホント、ちょっとやそっとのことじゃ壊れない友情で結ばれている同性だからこそ、面と向かって言えるんだよな。かなみは、結が友達でいてくれてる事に感謝すべきだ。また、実際問題、子育てってのはレアケースにしろ、自己同一性と生き甲斐を混同しちゃっている者は多い