ムッソリーニ 新装版 ファシズム序説 Century Books 人と思想130

木村裕主(著者)

• 販売会社／発売会社: 清水書院
• 発売年月日: 2015/08/01
• JAN: 9784389421304

商品レビュー

2024/04/27

　ムッソリーニの生涯とその当時のイタリアの歴史についてコンパクトにまとめた本。ムッソリーニの誕生以前、イタリアには複数の王国があり、その後いくつかの戦争を経て、1861年にイタリア王国が建国された。しかし、統一後のイタリアでは北部と南部で格差が生じていた。具体的に言うと、北部は工業化が進展したことで豊かであったが、対照的に南部は土地が不毛な農村地域で貧しかった。ムッソリーニは、イタリア中部のロマーニャ州、鍛冶屋の息子として生まれた。
　幼少期から学業は優秀であったが、その代わりに素行に問題があり、学校を中退したことがあった。成人してスイスで過ごしていた頃に、ニーチェの思想に感銘を受けており、それがその後の政治体制、すなわちファシズム体制を形成した。
　イタリアは第一次世界大戦に参戦しており、結果的に勝利したものの、思ったような成果は得られず、インフレに苦しんだ。それに加えて、工業労働者の地位、賃金は上昇して、ますます格差が拡大した。世界恐慌においては、経済的に大打撃を受けており、ドイツ同様に石炭や鉄鉱を十分に確保できなかったことが、その後の全体主義の台頭に関連するといわれる。ちなみにファシズムは当時資本主義と社会主義とは異なる思想だと見なされた。