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戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る 岩波現代文庫 社会291
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2015/07/18 |
JAN | 9784006032913 |
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商品レビュー
4.2
7件のお客様レビュー
太平洋戦争の日本とそこに住む我々の祖先を描いた映画、テレビドラマは数あるが、その食生活に焦点を当てて描いたものはあまり記憶がない。確かに、米がない、腹一杯食べたいが食べれない、人間の食べ物ではないものを無理矢理食べざるを得ない等、その結果のみドラマの背景の中で描かれることはあるが...
太平洋戦争の日本とそこに住む我々の祖先を描いた映画、テレビドラマは数あるが、その食生活に焦点を当てて描いたものはあまり記憶がない。確かに、米がない、腹一杯食べたいが食べれない、人間の食べ物ではないものを無理矢理食べざるを得ない等、その結果のみドラマの背景の中で描かれることはあるが、それらの料理を作るために、どれくらい苦労して食材を調達し、料理(と呼べるか?)していたのか、それを僕は知らなかった。 両親から、色々戦中の苦しい生活について聞いてきた自分でさえ、正直この本の内容は想像をはるかに越えていた。 戦争は、人が死ぬだけではない。国民の生活レベルが著しく低下するため、その間に子供から大人に成長した人達は本来身に付けるべき常識や倫理観、論理性、責任感等重要な人間としての要素を身につけずに社会に出てくる。それが、丁度僕の両親や学校の先生達の世代である。だから、彼等は不思議なくらい暴力的であり、自分勝手であり、論理性に欠けるケースが多かった。故に、我々世代もある意味戦争の被害者なのかもしれない。 日本は令和になって大きく変わった。我々の近い先祖の生活を、この機会に振り返ってみるのもよいのではないかと思う。
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「飽食の国に住む私たちは、食べることが大好きだ…(中略)でもほんの50数年前までは、日本も『飢えた国』のひとつだった。」 から始まるこの本。 食から見る戦争…というと 悲惨な想像しかできないかもですが、 この本はちょっと違っていて 悲惨になっていく食生活だけど 日々が楽しくなる...
「飽食の国に住む私たちは、食べることが大好きだ…(中略)でもほんの50数年前までは、日本も『飢えた国』のひとつだった。」 から始まるこの本。 食から見る戦争…というと 悲惨な想像しかできないかもですが、 この本はちょっと違っていて 悲惨になっていく食生活だけど 日々が楽しくなるような工夫で食事だけでも、 ちょっとでも楽しいものにしよう~というような 人々の生活が見えてくる 戦争が始まる前から中間、そして後の食の変遷がすごい デコった「飛行機メンチボール、軍艦サラダ、鉄兜マッシュ」などはまだ楽しいけど、 後半になると、もう野菜も調理しないで生で食べましょう的なことを推奨されたり、 野草も食べれるから苦みも楽しみましょうだったり、 主食が全然足りないから水分でいろんなものを煮込んでかさましするとか、 魚の骨も粉にして食べきるとか… 「こりゃどうよ?」的なものも登場してくる 著者の斎藤さんのつっこみもおもしろい 読んでいくと、 やたらデコったお弁当作ったり カサましレシピやら ●●の代わりに★★を使う代用レシピやら (いや、なんならダイエット本のレシピとしてここに書いてあるお料理を推奨できるかも…ウソです) 現代も、いろんな人が工夫してレシピを考える原点ここにあり!という感じ なんだろう…この時代の食の記憶が日本人の中に埋め込まれているんじゃないだろうか?などと思ってしまう。 著者が書かれている「グルメガイドや料理本のように楽しんでもらえたら…」というのがすごくわかる。 レシピ付きなので実際に作れるのも楽しい そして、食べられる野草の写真付き! 戦争の悲惨さを食で感じる でも、工夫して食べることで生きること、楽しさを確認する 人々の生活の中にある「食」 それこそが色々な意味で戦下を生きる人々を支えるものだったに違いない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
戦争の話をするたび、「ものがなくて悲惨だった」「食べるものがなくて常に飢えていた」等の話を聞くたび、そんな話じゃなくて戦争の本質について話を聞きたいと思っていましたが、戦争時の食糧難の話は私の想像を絶していた。 この本では戦前の食事情から始まって日中戦争がはじまったころの節米食、太平洋戦争に発展してからの食、空襲が始まってからの食、敗戦後の食についてを当時の体験談や婦人雑誌のレシピなどから食事情をあぶりだした本です。 読みはじめは楽しかったです。洋食が庶民に浸透し、当時の雑誌にもおいしそうなレシピがいろいろと掲載されていたようで、興味を惹かれるものもありました。 日中戦争下の節米食もまだまだ楽勝レベルというか、節米食として食べていたのがうどんにそば、炊き込みご飯にお好み焼きって・・・このメニュー、家族が喜ぶよなんて思って読みました。 ところが戦況が悪化すると食事情が悪くなったというのはすでに知っている話ですが、敗戦前後の食事となるとドラマでよくあるすいとんや雑炊でさえごちそうに思えるほどひどく、私の想像を超えていました。 食材がなくてその辺の雑草でさえ貴重な食糧だったというのはよく聞きますが、少ない食材を増量するために粉にしたり、すりつぶしてドロドロにしたりして調理して食べていたというのはレシピを細かくみないとわからなかったこと。そして調味料も少ないのでケチって使うことになります。当時の人たちは食感も味もないものをひたすら生きるために食べ続けていたということなのですね。 本の最後のほうに「戦争はなぜ食糧難を招くのか」について書かれていました。もううなずくことばかり。当時の日本政府も日本軍も食料の調達について完全にナメていたということなんですね。とどめに書かれていたのが「食糧がなくなることが戦争だ」 そうかもしれない。 「食べ物がない」「飢え」総力戦だった戦争の本質とはこれだったのか。 ちなみに「当時の婦人雑誌なんて金持ちしか読んでないのに、そんな資料が参考になるのか」という話が出てきますが、筆者いわく、「当時の食生活をそのまま反映しているわけではない。その時々の条件で、最も気の利いたレシピを提示するのが婦人雑誌の役目。なので、ここに掲載されているレシピが悲惨さを帯びていると、当時の人々はもっと悲惨な食生活を送っていることになる。精いっぱい頑張った上限が「これ」。これで全体のレベルが推し量れる」 納得。 頭でっかちに戦争を考えていた私はこの本で考え方が変わりそうです。
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